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僕の世界は厨二病 ~厨二病でも真っ当な社会人として生きていきたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆


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10.何をどう説明したらそんな話になるの?

 黒岩くんが帰った後、僕はソファーでふて腐れていた。

 何もかも気に入らない。

 いやこの年で見合い話自体も嫌だけど僕自身を無視して進んでいるってどういうことよ?

 しかもそれをやったのが自分の親。

 怒っていいよね?

 思わず愚痴ったらまだ居座っている信楽さんに謝られた。

「申し訳ないですぅ。

 確かにぃ矢代先輩に黙って話を進めたのはぁ間違いでしたぁ」

「いや信楽さんがやったわけじゃないんでしょ?」

「ですがぁ事前に話は聞いてましたぁ。

 私ぃも同罪ですぅ」

 信楽さんは結構早いうちから黒岩くんに相談されたそうだ。

 矢代興業の最高執行責任者(COO)というだけじゃなくて、むしろ黒幕というか意志決定の要だからね。

 信楽さんとしても当然、そんな話は断るべきだという意見だったんだけど、どうせ自分が出なくてもそうなると思って放置していたとか。

 相談を受けた矢代興業が僕の両親に否定的な結果を伝えたらそこでこの話は止まる。

 そもそもこの件って矢代興業や僕の親が何を言おうが僕自身が嫌だと言えば無くなるものだからね。

「ところがですぅ。

 調査結果自体はぁ予想通りだったのですがぁ」

「ああ、未来人と宇宙人が」

「はいですぅ。

 公式に言ってきた以上ぅ、無視は出来ないですぅ。

 その結果ぁ」

 僕に話さざるを得なくなってしまったと。

 誰が言うのかを押しつけ合った挙げ句、黒岩くんが貧乏籤を引いたということだったらしい。

「じゃあ黒岩くんが自分の結婚話を持ち出したのも」

「少しでもぉ衝撃を和らげようとしたみたいですぅ。

 私ぃも行きがかり上逃げられないのでぇ」

 それで信楽さんは理事長室に居座っていたのか。

 何かみんな僕の知らないところで暗躍しているなあ。

 別にいいけど。

「まあ大体判った。

 でも大袈裟じゃない?

 よく考えたら僕の問題でしょ。

 矢代興業にはあまり関係ないような」

 すると信楽さんは大きく溜息をついた。

「違いますぅ。

 これはもはやぁ矢代興業いえ矢代財団のぉ問題ですぅ」

 何のこと?

(判らんか。

 相変わらず矢代大地(ガキ)は鈍いというか)

 無聊椰東湖(オッサン)、何だよ。

(すぐに判る)

 そう言って黙ってしまう無聊椰東湖(オッサン)

 僕、何か忘れてる?

 忘れてました(泣)。

 時間になったので信楽さんと一緒に警備(護衛兵)に囲まれて懇親会とやらの会場に行ったら入った途端に比和さんに絡まれた。

 比和さんは怖いくらい真剣だった。

 物凄く綺麗というか冴え冴えとした美貌が迫ってくる。

 巨乳も。

「ダイチ様!」

「比和さん。

 どうしたの?」

「神薙殿から聞きました!

 ご婚姻がお決まりになったとか!」

 誤報だ!

 そう言おうとしたけど比和さんは聞いてなかった。

「お相手はいずれ名のある家のご令嬢であられるでしょうが、何はともあれ正室をお迎えに成られるということで目出度いことでございます。

 つきましては側室、いえ端女の配置についてお聞かせ願いたく」

「いや比和さん、あのね」

「もちろんご側室の第一位は相沢様と推察致します。

 信楽殿は当然、次位でありましょう。

 王女殿下については政治的な配慮が必要と存じますが、序列第三位以下については私にも判らない所がありまして」

「比和さん!」

 怒鳴ってしまった。

「はい、ダイチ様」

「あのね。

 僕はまだ結婚どころか婚約もしないよ。

 ていうか見合いすらしてないし、そもそもこの話がお見合いかどうかも判らないから!」

 一気に言い切って息が切れた。

「ダイチ様」

「それに正室とか側室とか、今は戦国時代じゃないんだから。

 突っ走るのは止めて」

「……申し訳ございません。

 頭に血が上ってました」

 比和さんが真っ赤になって最敬礼した。

 まったくだよ!

 でも比和さんが正気に戻って良かった。

 一時はどうなることかと。

 そこに押っ取り刀で駆けつけてきた黒岩くんが恐る恐るというかんじで声をかけてきた。

 ていうか黒岩くん、逃げていたな?

「ダイチ殿。

 申し訳ございません。

 この件を皆に話している最中に比和が」

 あー、判った(泣)。

 つまりみんなに話しちゃったと。

「それはもういいから。

 ていうか、だったら正確な所を話してくれない?

 中途半端に情報が広まったらえらいことになりそうだし」

「もちろんでございます。

 申し訳ございませんでした」

 頭を下げる黒岩くん。

 いつの間にか後ろにいた神薙さんも合わせて頭を下げていた。

 ぴったり揃っている。

 もう夫婦一心同体らしい。

 別にいいけど。

「矢代先輩ぃ」

 信楽さんが遠慮がちに押してくれた。

 判ってますので。

「じゃあ比和さん行こうか」

 僕はそう言って比和さんの腕をとって歩き出す。

 もちろん反対側の手は信楽さんと繋いでいるから。

「ダイチ様?」

「詳しく話すから。

 もっとも僕もよくは知らないんだけど」

「お話はぁ私ぃが」

 信楽さんが引き受けてくれるみたい。

 部屋の奥の椅子に向かい合って座る。

 懇親会という事だけどもともとは会議室なので普通の長テーブルとパイプ椅子が並んでいるんだよ。

 テーブルの上には寿司とかピザの箱とかお菓子入りの籠とかが並んでいたけど無視。

 信楽さんが比和さんに説明している間は誰も近寄って来なかった。

 向こうの方で黒岩くんと神薙さんがみんなを集めて話しているんだけど、チラチラとこっちを見ているだけだ。

 嫌だなあ。

 しょうがないけど。

「……という訳でぇ」

「そうだったのですか。

 ほっとしました」

 信楽さんの話が終わったらしくて比和さんが輝くような笑顔を見せてくれた。

「恥ずかしいです。

 ダイチ様のご正室がついに決まったと聞かされて何も判らなくなって」

「ですからぁそれは間違いでぇ」

 ていうか神薙さん。

 何をどう説明したらそんな話になるの?

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