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真・枕営業の魔法少女  作者: 木mori
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【第一章】第四部分

「これって、歩くのにホント邪魔なんだけど、仕事で使うから仕方ないわね。」

久里朱は高級そうな枕を、やや重たそうに背負っている。

魔法少女省からの指令は、枕営業である。文字通り、枕を販売してくるのは魔法少女に課された任務の一つである。

久里朱がやってきた待ち合わせ場所は町外れのホテル前。こうした寂れた地域にはホテルが集積している場合が多い。これはホテル利用者であるカップルがやってきた時、満室だったとしても他のホテルの空室でステイできるというシステムが便利だからである。ホテルにまでやってきたカップルは、コトを急いでおり、いちいち移動したりしないものである。


春のまだ明るい夕方に、ムダにけばけばしい光を点滅させるネオンが目立つ、比較的新しめの低層のホテル前に、久里朱は所在なげに立っている。

「よう。君が商売相手なんだな。安物枕を高く買ってやるから、オジサンを楽しませてくれよ。女子高生とエッチ、女子高生とエッチ♪」

頭頂部に臭そうな濁り汗を乗せた、ツルツルテカリ禿げオヤジと一緒にホテルに入る久里朱。

禿げオヤジは、久里朱の白い手を握ろうとするが、パチンとはたかれた。

「お~、いてえ。でもこれぐらい、イキのいい方がうまそうだよな。からだのリサーチは部屋の中でのミッションだから、ここでは無垢な状態で保存しておくとするよ。ワハハハ。」

猥雑を何乗にもしたような表情でホテルに入っていく禿げオヤジ。


2時間ほど経過して、久里朱がホテルから出てきた。背中の枕はなくなっていた。

「あのオヤジ、しつこかったわ。なかなか出さないし。しぼるの、気持ち悪いし、どうしてこんな風にからだを売るようなことをしないといけないの。こんな姿を栄知に見られたら死にたくなるわ。それだけは絶対に避けないといけないわ。納税額はそこそこだったから、まあ仕方ないけど。からだを売るだけでは売春になるから、必ず枕を買ってもらうことになってるんだけど。枕代金を納税して国庫を潤して政府間での発言権を高めるとか、魔法少女省はずいぶんなやり方をするわね。最悪なブラック省庁だわ。だから魔法少女って、ホント過酷な商売になるのよね。」

久里朱はそのまま歓楽街に足を向けて、とある雑居ビルの前に立った。

「ここは小さな暴力団が経営する麻雀クラブなんだけど、ここにお父さんの仇がいればいいけど。」

制服姿だった久里朱は、赤いベルベット地の魔法少女コスに変身して、2階にある雀荘のドアを機嫌悪そうな音を立てて入室した。

客は12人で3卓囲んでいた。音と魔法少女の姿を見て、客は握っていた牌を落とした。その腕には竜や鬼などの刺青があり、久里朱を睨んでいるようにも見えた。


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