表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真・枕営業の魔法少女  作者: 木mori
2/84

【第一章】第一部分

経済成長が低迷する中、それに反比例するかのように、世の中が荒んでいる。景気と道徳観念は非常に強い逆相関性があり、当然である。

売春や薬物が若者に蔓延っており、その裏側を牛耳っているのはヤクザ。


ここは、とある街の夜の路地裏、ヤクザにとっては公園の水飲み場である。

チンピラが酔っ払いのサラリーマンに、『肩がぶつかった』と詰め寄る、お約束の展開である。

『お巡りさん、助けて!』と酔っ払いは叫んで、警察官がやってきた。

黒いサングラスのヤクザは、ブレザーの前を大きく開いたままで、ニヤリとしながら、毛深い手で携帯を握る。

『先生、出番ですよ。』とスマホに話しかける。

数秒後、『めんどくさいなあ~。』とつぶやきながら、口からキャンディ棒をはみ出させて、黄色い衣装の女子がやってきた。

クマミミフード付きの被り物で、胸には大きな目付きの悪いクマのイラスト。下は茶色のパンツスタイルで、小柄である。山吹色の大きな瞳がギョロリとしている。

「は~い、用心棒の黄泉瓜莉よみ うりだよ~。ニックネームはウリウリだよ~。ウチの実家は昔小さなヤクザの組をやってたんだけど、警察に潰されちゃったんだよね~。だからオマワリさんをみるとスゴくむかつくんだけど~。」

黄色の少女は、背中に枕を象った黄色のリュックを背負っている。膨らみ具合から、中にはいろんなものが入っているように見える。

「ま、まさか、魔法少女、それも反社会的魔法少女!?」

「そうだよ~。反社会的は余計だけど~。ちょっとムカついたから、軽い毒魔法、使っちゃっちゃおうかな~。痛くしないから~。でも死んじゃうかもね~。」

「ひ、ひえ~。」

警察官は帽子を飛ばして走り去っていった。

「あ~あ。変身しないうちに逃げちゃったよ~。消化不良だよ~。早く宿題の『お兄ちゃんズ』を見つけないとね~。」

こう言って瓜莉はどこかへ消え去った。

ひとり取り残されたヤクザは、タバコに火を付けて、大きく吸った後、まずそうに、白い煙を吐いた。

「魔法少女が用心棒になってくれるのは楽でいいけど、俺たちヤクザの本業はいらなくなってるんじゃね?そろそろ転職でも考えないといけないのかな?」

 黒いサングラスのヤクザは、酔っ払いから財布を奪うと、そそくさと路地裏を後にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ