生きてる意味 〜たかしくんの役割〜
僕はたかしって言います。
今年、小学6年生になりました。
学校は楽しい?
あぁ。"今は"ね。
僕はずっといじめられててね。
理由?
分からないな。確か学校を一度遅刻したことがきっかけだった気がするよ。
それがきっかけで、小馬鹿にすることから、物隠し、悪口、暴力……ってどんどんエスカレートしていったんだ。
辛くなかったかって?
そりゃあ辛かったさ。
学校に行く度殴られるんだから。
僕はあれ以来一度も学校を遅刻していないのに、むしろあの時は泣いている妹をあやして遅くなったんだ。
僕は何も悪いことをしてないんだよ。
ひどいよね。
世の中は理不尽だらけ。
僕は何の為に生きてるんだろう、そう思ったさ。
でもね、ある日を境に苦に思わなくなったのさ。
むしろ嬉しいんだ。
みんながいじめてくれて。
何があったのかって?
まぁ聞いててよ。
僕は好きな子が出来ててね、その子に手紙を書いたんだ。
「僕は君が好きです」って。
そしたら次の日、その子がかんかんになって怒っていたんだ。
僕は困ってしまって、どうしたのって聞いたんだ。
そしたら、『あなたのせいで私まで虐められるじゃない。どうしてくれるのよ』って。
その子は僕の目の前で僕が書いた手紙をビリビリに破って僕に投げつけたんだ。
『2度と私に関わらないで』って目に涙を浮かべながらね。
僕は悲しくなって、家に帰る途中、車道を走っているトラックに飛び込んだのさ。
気がついたら、僕はベンチに座ってたんだ。
とても居心地のいい場所だったよ。
辺りには花が咲いていてね、蝶々や小鳥達がいて、とても和やかな場所だった。
ずっとここに居たい。
そう思って座っていたら、隣に女の人が来たんだ。
とてもキレイな人だったよ。
虐められてる僕を優しい笑顔で見つめてくれた。
そしたら、女の人は『どうしてここにいるの?』って聞いてきたんだ。
僕は『分からない。気が付いたらここにいるんだ』って返したんだ。
そしたら女の人は僕の手を握って目をつむったんだ。
しばらくして、目を開けて僕にこう言ったんだ。
『あなたは役割を与えられて生まれて来ている。とても名誉な事なのよ』って。
僕は、そんなわけないよ、今でもひどい目にあっているんだって言ったのさ。
そしたらね、女の人は『あなたのおかげであなたの周りの人達は幸せになれる。あなたにはそういう力を与えられている』って言ったんだ。
僕は意味が分からなくて、首をかしげたんだ。
女の人は、『まだ、あなたにはまだやるべき事が残ってる。元いた所に帰りなさい』って言ったんだ。
気が付くと、僕は病院のベットの上に包帯を巻かれて横になっていたんだ。
両親と妹は凄く泣いていたけど、そういえば笑っていたな。
同じクラスの人達。
その夜、僕は考えたんだ。
女の人が言ってたこと。
僕の役割についてね。
僕がいるから他の人が幸せになる?
どういう意味だろうって。
結局その場では分からなかったさ。
リハビリしている間もずぅっとね。
しばらくして学校に戻ると、別の子が虐められていたんだ。
暴力の跡、机の落書き……。
僕が受けた仕打ちそのまんま。
僕が戻ってくるなり、いじめッ子達は僕に標的を変えたんだ。
前に僕にしていたようにね。
その子は全くノータッチになった。
そこで僕は気づいたんだ。
僕の役割に。
僕は犠牲になるために生まれて来ているんだって。
弱い人達の犠牲にね。
他の弱い人達は僕がいたから、今まで普通に生きてこれたんだって。
僕はそこで気付いたのさ。
その子を見たら、安心した顔してた。
そして、申し訳なさそうな顔してた。
でも僕はその子を恨まなかったな。
これが僕が生きている意味なんだから。
僕は平和を作る事が出来る。
ヒーローみたいでかっこいいだろ?
朝のテレビでやっている悪者を無闇にやっつけるヒーローより誰も傷つげず世界を平和にする事が出来るんだから。
そう思うようになってから、僕は虐められてもなんも苦じゃないんだ。
自分に誇りを持てるんだから。
だから、みんなありがとう。
僕を標的にしてくれて。
僕はまた、1日の平和を守ったよ。
毎日そう思えるのさ。
僕は寿命で死んだらまたあの女の人に会うんだ。
そして言うんだ。
"僕の役割を教えてくれてありがとう"って。
"生きてる意味を教えてくれてありがとう"って。
たかしくんは自分が生きている意味を知っている。
だから前向きに生きられる。
あなたの職場やクラスにいませんか?
虐められてる人。
その人はきっと生まれてきた意味がある。
何か使命を与えられて生きている。
僕は虐められている人を尊敬している。
……ちなみに作者はたかしくんポジションでした(笑)。