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管理人さん、状況把握をしようとする

改編2018.5.20



 落ち着いたおれは自分を確認することから始めた。

  まず、外見は10歳位で髪は黒色、眼は紅色でそれ以外は普通の子供だった。力持ちでもなく足が速いわけでもない

 結論から言えば可愛らしい顔立ち以外は何も役に立ちそうにない…。

 可愛らしい顔立ちも誰も居なきゃ使えないじゃん!


 調べていくうちに、この体は血管や臓器を配置したり体温を持たせることで限りなく人に似せることや逆に腕を増やしたり頭を増やしたり等の異形にもなれることが分かった。もちなみにおれの動力源は空気を媒介にする永久機関だった。

 

 この体を調べていく過程で見つけた唯一の利点は耐久性だ。

 これだけはアホみたいに高く地球でいうところのカーバインという物質のおよそ十倍の硬度を持っていた。簡単に言うとめっちゃくちゃ固くてダイヤモンドと比べると『え?ダイヤ柔らかくね!?』って感じだ。

 耐久性に加えておれはこの城に存在するありとあらゆる知識にはアクセスできるということだった。

 中にはどこから持ってきたのかわからない地球と同じような化学知識まであったが検索エンジンのように意識しないと呼び出せずキーワードなどが分からないと見つけれず使い勝手が悪い!


「どれだけ固いのか試しに壁に突進してみるか。

 どうせ、人形だし壊れないだろ。





 ………。

 なんかすっごい痛かった。

 おかしくね?

 おれ人形なのになんで痛覚だけ付いてんの!?

 どうせなら痛覚も取っとけよなぁ!

 あ、なんか寂しい…。」






 次の一年は城の探索に費やした。

 実際は城内を移動出来るアクセス権付の装飾品を着けるのを忘れ、遭難し彷徨うこと一年だったが…。


 この城は階数がどうやら一定期間毎に増えてるらしい。

 しかも、階数毎にまるで別世界のように環境が違う上にフロアを繋ぐ扉はランダムに繋ぐらしく同じ階層に何度か遭遇した。


 ちなみにおれが初めて、紛れ込んだフロアは大森林だった。


 なぜか屋内なのに太陽と青空が広がり濃い森の薫りが漂って多くの動植物が生息していた。迷子のおれは目印としての大森林の一番大きな樹を目指したどり着いたが、それは樹ではなく最早壁だった。

 根っこは山のてっぺんに座し樹の先端は雲の上にあるようなスケールだが不思議と安らぐ気配のする不思議な樹だ。


 その後も砂漠、孤島、鉱山らしき洞窟を渡り歩きようやく遭難前にいた場所に戻った時は流石に泣いた。


「か、帰ってきた!?

 ……う、う、うわああぁぁん。

 良かった…グズッ。

 もう帰れないんだって思った…ヒッグ!」




 次の一年は調べようとしていた書庫に赴いた。

 が……ここでも遭難した。

 最悪なことにアクセス権の付いた装飾品を身に着けていてもフロア内での移動が出来なかったのだ。

 書庫もおかしな空間で終わりの見えない廊下で永遠と本棚が続いていた。


 書庫での遭難の終わり頃に気づいたが、フロア内では行先を装飾品に伝えると光が伸び導いてくれるようだった。

 しかも、書庫の本はだれも居ないが受付で検索をするとジ検索したジャンルの棚が目の前に現れる方式になってた

 どっちももっと早くに知りたかったよ………。



 遭難中にどうせ暇だからと地上の事を調べたがどうやらファンタジー世界のようだ。

 本には当たり前のように竜や魔法について書かれており人種も獣人やらエルフやらが国を持ってることも分かった。


「そろそろさ、誰か来てもいいと思うんだ。


 …神様ぁぁ!

 マジで誰か!

 ホントお願い!

 前に神棚にあげてあったリンゴ一口齧ったの謝るから!!」 




 次の一年は転移陣で来訪者を待ってみた。

 ここに来て数年…

 そろそろ、会話がないと精神に変調が起きそうだった。


 待つこと半年…。


 …………発狂した。



 発狂したおれは誰も来ない転移陣のフロアから離れぬくもりを求めて大森林で動物を探した。

 アニマルセラピーの代わりにしようと近づくと逃げられ、ならばと植物をギリースーツのように纏い擬態してたら周辺の植物が枯れた……。

 最後に『長老』と名付けた大樹に行き、枝に登るとおれはターザンロープを楽しんだ。


「んんっ!

 ゴホン!!


 あーあー!

 よし!


 …いざ!


 アーアアー!

 アーアアァー!!


 …アッ!?

 あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」

 おれは教訓を得た。

 ターザンロープするときはちゃんと蔓か蛇かを見ようと。


 地面に落ちた衝撃でおれは正気に戻り大人しく玉座のあった階層へ戻った。







 《人がいないなら作ればいいじゃない!》

 そんな天の声が聞こえた気がしたような気がしないでもないある日の午後。


 おれは人形制作に着手した。

 書庫に篭り、人形の素材になりそうな情報を探りつつ自分と同じような人形の構造と制作法を模索して一年が立ち、倉庫内の素材を集めて吟味にさらに一年。


 最初の一体目は自分の助手兼護衛としての役目を全う出来るように全身に武器を仕込んでみた。

 頭に仕込んだ各種レーダー系統、口腔内からの火炎や毒の噴射器に始まり、腕そのものを砲身に見立てた超電磁砲機構(レールガンシステム)や手足に仕込まれた刃物、指先から射出される蜘蛛の糸等の全身武器人形になったわけだ。


 正直、ここまで埋め込まなくてもよかったかなとか思わないでもないけど記念すべき《一番目》だからと城で集めた素材の半分近くを消費して作った。

 ちなみに、レールガンやレーダーなどの化学技術はそれに近い特性を持った生物のパーツを少しずつ組み合わせて調べて適切な組み合わせを探した。




 最終調整は終了し、ようやく

 第一機械玩具人形ファーストドールたる『彼女』が目覚めた。

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