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閑話 とある上司と同僚のお話

題名、微妙に変更しました

 とある上司視点


 ワシはいったいなぜこんなことになったか未だに理解ができない。

『ファルゴ王国王立研究所魔法部門主任』それがつい昨日までのワシの役職だった。

 それが見たこともない銀髪金眼のガキが出てきた辺りで全てが狂った。


 ワシは弱みを握り、男を知らない女を良いようにするのが楽しみだった。

 ずっと似たようなことをしてきたし調査に来た外部の者には金を渡し研究員が気づいたら左遷し蹴落とす。

 そうやって、秘密がバレ無いようにしてきたしこれからもそうするつもりだったのに…


 カナメという研究員を見たとき、確実に落とせると思った。

 事実、伝手が無く出自も平民上がりを確認し協力者と追い詰める計画を実行した。

 しかし、計画は狂った…。

 協力者の研究員は王族がいる前でトイレに駆け込むという醜態を晒し、ワシは研究室に入っただけで体を切られた。


 ケガを負いつつも女の捕縛か殺害を命じれば王族に呼び出され、向かえばそこにあのクソガキがいた。

 あのガキはワシを見て笑った。

 笑ったのだ!!

 栄えある部門主任たるワシをあのガキは見下したように笑ったのだ!!


 許せないと兵へ命令を下せばなにも知らない王族たちがワシを取り調べろと命令を下した。

 そこからは悲惨だった。

 ワシは伝手を渡す代わりに体を要求しただけだ。

 どちらも得したと兵に答えれば兵は唾を吐き捨てワシを牢獄へ放り込んだままかれこれ二日過ぎた。


「出ろ。」

 兵が来て手枷を着けられ牢から出された。


「ワ、ワシをどこへ連れていく気だ!!?」

 精一杯抵抗したが後頭部を殴られ気絶したと思う。



「お?

 起きた?」

 耳に触る声であのガキがニヤついていた。


「むうぅぅー!?」

 口にも枷が着けられ唸る事しか出来ない。


「いや~。

 ちょうどよかったよ。

 ちょっとこっちの世界の人間の構造を知りたいって思ってたんだけど検体が無くてね~。

 王様に相談したらちょうど良いのがいるってもらってきたんだ。


 悪いけど、どうせ死罪だしその体を後世のためにしてね?

 それじゃ、良い旅を~」

 ガキがそう言って何かを首に注入した後ワシが目覚めることは無かった。






 とある同僚視点


 僕はある男爵の婚外子だ。

 昔は虐められていたし父親の男爵には会ったこともないけど、僕は知識を手に入れたおかげで貴族と同等の暮らしができた。

 気に入らない奴は裏で細工して潰し僕は研究所所長になるつもりだったのに…

 いや、僕が所長にふさわしいハズなのに僕はいま研究員で最下位になっている。


 発表の途中、突然の腹痛で発表を中断を余儀なくされ戻ったらすでに終わっていた。

 しかもあの女の内容が最優秀とされていた。

 内容は荒唐無稽でとてもマトモなものじゃないと僕が言ったのに周りは嘲笑して誰も見向きもしなかった。


 きっと腹痛もあの女がなにかしたのだと発表の運営に直訴すれば運営は僕の降格を告げてきた。

 理由は貴賓に醜態を晒し尚且つ研究内容の盗作の疑いが強いからだと!


 おかげで僕は研究を出来なくされた。

 最下位は雑用しか認められず研究員三名の許可が無い限り正規の研究員へ上がれない。

 僕は伝手を頼り研究員に上げるように言ったが答えは返ってこなかった。

 全員からいないものとされ、僕は研究所を去った。


「で?

 何がご所望で??」

 ここはスラムの裏ギルド。

 ここで有り金をはたいて僕はあの女の暗殺を依頼した。


「わかりました。

 では、半額は前払いですので」


「わかっている。

 ヒッヒッヒッヒ…

 見ていろ。

 あのクソ女め。

 ボロ雑巾のように慰みものにされてから死ね!」









 ある夜中の研究所にて

 カナメの寝室。

 その日は忙しく彼女は深く寝入っていた。


「こいつか?

 もったいねぇな。

 大人しめだけど十分な美人なのによ~」

 裏ギルドから派遣された暗殺者がぼやく。

 これから彼女を攫いスラムで尊厳を砕いた後、切り刻んで殺すつもりであった。

 そう『つもり』だったのだ…

 その部屋にいた人外側の存在さえいなければ…。


「敵意ヲ確認。

 防衛プログラム起動。」

 そう聞こえた瞬間、暗殺者は不可解なままあの世へと旅立つこととなった。


「記憶ヲ検索。

 …検索終了。」

 人型の影はそう言って音もなく部屋を出て何処かへ向かった。





 スラム近くの安酒場。

「そ、そろそろ終わったころかなぁ?

 ヒッヒッヒ…」

 僕は依頼完了の報告を聞くために酒場にいた。

 早く、来ないかなぁと考えながら隅の席で酒を煽っていたら視界に影が走った。


 顔を上げても何もいなかったから何かを見間違えたとグラスに手を伸ばしたとき、違和感に気付いた。

 伸ばした僕の手首から先が無かった。

 それを理解した途端、激痛が走り叫び声をあげた。


「ああぁぁぁぁぁ!?!?!?」


 叫んだはずだった。

 なのに耳に届いた音は『ひゅー』という空気の抜ける音だった。

 椅子から転げ落ちて最後に視界に映ったのは、背を向けていた窓の外から此方を見ていた黒い人型。

 ここで僕の意識は消えてなくなった。

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