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管理人さん、悪人を成敗したかった

 おれのセリフが会場に響き、なんか演劇のクライマックスみたいな雰囲気が広まっていく。


「う…ぐぐぐ」

 もはや、怒り過ぎてまともな言葉を喋れない上司は顔が赤を通り過ぎて黒に近い色合いになってきた。

 人ってここまで顔色変わるもんなのかな?

 血管がバツンって切れそうだけど…


「衛兵!

 連れていけ!!

 そのゴミが何も出来んよう見張れ!」

 鎧の爺さんがそう言って上司を引き渡す。



「…坊主。

 落ち着いて儂の後ろへ行け。」

 爺さんが小声でおれに呟きおれの後ろを睨みつけていた。



 何があるのかわからないけど、ここは邪魔にならないように王様がいる位置まで逃げた。


「そこの二人組!

 マントを脱げ!」

 爺さんはさっきから警戒したような口調で会場にいる二人組に呼びかけると二人組は同時にマントを脱ぎ棄てた。


「あれ?

 ヒュビリスと双子の片割れじゃね?」

 おれは呟いたつもりだったが隣にいた王様は耳聡く聞いたらしくおれに質問してきた。


「小童。

 知り合いか?」


「雰囲気が違うので言い切れないですが知ってるもの達にそっくりです。」

 そう言った瞬間ヒュビリスっぽいのが目で追えない速度で迫ってきた。


「せいやぁぁーーー!!!」

 おれが知覚できたのはその雄たけびと視覚いっぱいに広がる靴の裏のみ。


 ぐしゃぁぁぁ!

 そんな擬音が聞こえそうな蹴りを食らいおれは会場の反対側の壁にめり込んだ。


「マスター?

 ほんの少し会わないだけで私をお忘れですか?

 全く、だから何時までたっても貴方はマスターのままなんですよ?」

 艶っぽい溜息を吐きながらふわりとおれのいた位置に着地したヒュビリスさんはそう言った。



「げふっ…。

 マスターを蔑む前に言うことあるよな!?」

 めり込んで抜けないのでそのままそう返す。


「え?

 あ、マスター。

 壁の修繕はご自分でお願いしますね?」


「え、これ一人修繕はキツくね?

 …ってそんなわけあるかぁぁぁ~!!」

 めり込んだままなのでひどく滑稽な怒り方である。



「そんなことよりマスターは我々に言わないといけない事ありますよね…?」

 すぅっと表情と目のハイライトが消えたヒュビリスさんが聞いてくる。



「…えっと、

 その、落っこちてごめんなさい!」



「謝罪だけですか?

 こういうのは『誠意』を見せるのが当然ですよね?


 どうぞ、ご安心くださいませ。

 蝋燭と鞭と足枷で勘弁して差し上げますから…。」

 艶っぽい顔をしてこっちを見ないでください。


「怖っ!!

 おれどうなるの!?

 これでも左腕壊れてるから怪我人枠なんだよっ!?

 もっと、労わって!?」

 必死にOSHIOKIを回避しようとボケるがたぶん確実に執行されるだろう…

 おれは朝日を拝めるだろうか?

 拝めたらいいなぁ…

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