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管理人さん、知識をチートる

 まずは、魔法について知らねばならない。

 というのもおれ達は人工物なせいか誰一人として魔法の魔の字も使えなかった。

 城でひとりでいた頃、自作のかっこいいポーズで『ファイアー!』と唱えて何も起こらず悶絶したのは黒歴史だったりする。


 この世界の生物には魔力器官という未知の器官があるらしい。

 らしいというのもこの世界は解剖学が発展してないから見せられた人体解剖予想はぐちゃぐちゃだった。

 日本刀のように切ることに特化した武器じゃないから断面は潰れてそれを適当に書いてるせいだと思う。

 カナメさん曰く、この器官は心臓にあるとされていて空気中の魔力を蓄積しておける器官で人によって容量が異なっているそうだ。

 彼女の研究はまず、炎系に限定しコスパを上げるもしくは純粋に強化するをコンセプトに行われ、ある程度の成果を納めて近く開催される発表会に出すつもりだったらしいが同じ研究をしていた同僚に結果を盗まれ、手元の資料は消されてた。

「でも、ゼロくん…。

 周りが納得するようなもの出せるの?」

 さっきまで泣いてたカナメさんが聞いてきた。


 ちなみに、ゼロはおれが考えた偽名だったりする。

 ぶっちゃけると、自分の名前が思い出せなかった。

 どうにも長い間マスター呼びで通したのと城に来る前の記憶が抜け落ちていたせいで自分の名前というのを必要とせず今まで頓着しなかったが、ここにきて必要になり適当に名乗ってみた。

「ものによりますけど…

 例えば、燃焼温度を上げて炎系の威力を上げるとか毒を使わず中毒死させる方法とかですね。」


「ネンショウオンド?? チュウドクシ…???」

 なんぞそれ?ときょとんとした地味美人は中々目の保養になりますなぁ~ウヘへ


「いいですか?

 簡単に言えば、炎は供給される酸素に反応して燃焼という現象を引き起こしています。

 ここで大切なのは供給量を増減させると燃焼に対して簡単にアプローチできてしまうというところです。

 薪のように燃料を持ち歩かずとも炎を強くできて密閉空間で使えば焼き殺すも酸欠などの中毒死も容易いということです。

 こんな感じでイケそうです?」


「あ、えっと…エへへ~」

 目が左右にめっちゃ泳いだ後に誤魔化すようなはにかんだ笑顔で乗り切ろうとする地味美人(カナメさん)

 ものすごく良いけど全く理解出来てないのね…。

 これは簡単な入門科学を叩き込もうか。

 そうすれば、なんとかなるでしょ。…たぶん


「もう、許してよぉぉ~…」

 この日以後、研究所の一室から叫び声が聞こえる怪談が生まれたがおれは知らないフリを貫いた。




 発表が明日に迫った夜。

「でも、ゼロくんに会えて良かったよ~。

 毎日繰り返される上司からの気持ち悪い言動とか視線、同僚の嫉妬で休まる事が無くてもうあいつら殺してやろうとかって思ってたんだよね!

 ワタシはお前らの欲望満たす人形じゃねぇんだよ!ばーか!!」

 どうやら、泥酔してるようだ。

 あんまり、遅くならないように相手しながら寝かさないと…


 しかし、なんで同僚とやらはおれ達を見逃してるんだろう?

 前のよりもっと革新的な研究だから絶対潰しに来ると踏んでたくさん罠を作っておいたのに完全に無駄になっちゃったなぁ~。

 リモート式のスパイダーボムを始め、ゴキブリ入り虫爆弾、糞を塗った毒の短剣とかたくさん用意して部屋にも飛び出す刃物や刺激物入り目潰しを配置したのに…。

 おかげで、悪戯のレベルが上がってしまいました!

 とっても楽しかったです!





「ひっひっひ…

 ようやく明日まで来ましたねぇ。

 室長のおかげであいつももう終わりですし。

 最初から気に入らなかったんですよねぇ。

 女の分際で僕より結果を出して今度は王宮に顔を覚えられる発表会でも目立とうとしやがって!


 おかげで助かりましたよぉ

 室長~。」

 僕は協力者の室長に声をかけた。

 こいつは弱みに付け込んで女の人生を壊す変態だがこの世界に長くいるため、いろんな所にコネがありコイツに睨まれるとこの国には居場所がなくなる。

 いい気味だな。

 無様にスラムにいたらペットのように扱ってやろうかな。ひっひっひ。


「ブフゥ。

 なんのワシは靡かない娘を屈服させて泣き顔を見るのが大好きなのでなぁ。

 今から楽しみでならないわ。」

 ハゲで常に汗をかき不快な匂いをまき散らす室長ことブヒンダは根暗な研究者で男尊女卑主義者のネグリスとカナメを貶める話をしていた。

 貶めるといっても、そもそもカナメ一人では太刀打ち出来ないので貶めた後の扱いについてが主な内容であったが…。


 彼らは知らなかった。

 カナメが偶然自費で購入した人形に意思があり、凡庸な存在が太刀打ちできない規格の外側の存在だということを

 人形を探し周ってる機械玩具人形が国内に入り込んでいることを

 人形が異世界の知識をカナメに叩き込み彼らが足掻いても勝てないことを

 彼らはどれも一つとして知ることはなく自分たちは優位だと信じて疑わなかった…。

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