表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者であれ。  作者: siro
1/3

プロローグ



 勇者、それは生まれて来る時に神から神具を授けられた者達の事である。


 神具、それは神の根源たる力を宿し、授けられた勇者にしか使えず、勇者を勇者たらしめる力である。


 これは魔物最弱と言われるゴブリンに苦戦しながらも勇者の役目、魔王を倒す事を志す伝説の勇者の物語である。




 地図にも乗らない様な小さな村で勇者である俺は産まれた。

 俺は産まれた当時直視できない位黄金に光り輝く剣を携えて産まれてきたという。

 その黄金の輝きは村から伝説の勇者が産まれたと確信できるような輝きであったという……


「その輝きを俺も見たかったな……」


 ぼそりと愚痴を垂らしながら何時もの装備と一緒に置いてある錆びた剣を見る。

 そうこの錆びた剣が黄金に光り輝いていた俺の剣のはずだ。

 錆びてるから分からないけど。


 産まれた当時勇者である俺の剣は確かに輝いていた。 それは親や村の人にもしっかり確認は取れた。

 ただ、それは1日だけだったらしい……時間が経つにつれて俺の剣は輝きを失い、ついには錆びてしまったと言うわけだ……


「こんな剣で伝説の勇者になれるのかよ……」



 伝説の勇者、それは世界に12人いる勇者の中で最も優れた勇者に与えられる称号である。

 その伝説の勇者に最も近いと言われているのが戦士として生まれて来る12人の中の3人だ。

 その3人の中でどう伝説の勇者を決めるかというとそれは至極単純な事、つまり魔王を倒した者に与えられる。

 では1人で魔王を倒せるかと聞かれたら答えら否だ。

 魔王の力はいつの時代も勇者を遥かに上回る。 それは歴代の勇者が証明してきたものだ。

 ではどうやって魔王を倒してきたかと言うと、各勇者の戦士、僧侶、魔法使い、騎士の4人一組のパーティを組み、力を合わせる事でやっと魔王と互角に戦えるのだ。


 そして俺の役割は幸運な事に戦士なのだ。

 この役割の決め方は生まれ持った神具で決まる。 

 戦士は剣を、僧侶は本を、魔法使いは杖を、騎士は盾を、原則としてこの4つだ。


 俺の神具は剣だから戦士、錆びてても戦士なのだ。

 ならば伝説の勇者も夢のまた夢ではない! と言い切りたいが…… 


「ハァ…」


 自分の状況を噛み締めて自然とため息が出る。 まぁいつもの事だが。


 ため息が出るのは仕方ない、なにせ俺は他の勇者は叱り、この村の外の住人にすら会った事がないのだ。

 勇者の事は村にある本で勉強したが不安は尽きない。

 なんせこの村は平穏だ。 外の国では今も魔王軍の魔物達に襲われているらしいが、この村は辺境の地過ぎて魔物も来やしないし、辺境過ぎて誰も来ないから完全に時給自足生活だ。

 正直言って俺もう14歳だけど魔物に会ったことすらない。

 勇者だからって事で村の仕事は免除してもらってるが素振りしかする事がない……


 そんなこんなで毎日ため息付きながら一人思い耽り毎日過ごしているが、そんな毎日は明日までだ! 

 明日は俺が15歳になる日、つまり成人して冒険に出られる年になる!

 それに世界共通で15歳になると勇者は首都バイスに行かなければならない。

 そこで勇者達は顔合わせする訳だ。

 それに首都バイスではパーティ選抜の為に勇者達だけで5年訓練をする事になっている。

 この5年は重要で自分の強さや有能さをアピールして最も伝説の勇者へ近いパーティに入らなければいけないのだが……


 俺の場合は……

 まぁ5年間に期待しよう……


 何て自虐的になりながらも明日への期待は正直大きい。

 なにせ初めての外の世界だからな。

 こんな田舎者で大丈夫か? とも思うがまぁ何とかなるだろうと思う事にしていつも通り素振りでもしながら明日を待つ事にした。


 今日は眠れなさそうだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ