空腹少女 1
――小鳥のさえずりがかすかに聞こえる。
ここはどこだろう。
睡眠欲求の泥沼から意識を引っ張り上げ、目を開くと、そこには緑。
緑色が視界いっぱいに広がり、所々から白が漏れている。
――そうだ。森の途中だった。
よいしょ、と体を起こすと、もう少し森が続いていることが見て取れる。
今日中に抜けられたら良いなぁと、ぼんやり考えつつ、手探りで革袋を掴む。
その中から、干し肉を取り出――そうとしたものの、見事に食べ切ってしまっていた。
「食べれる物は……」
当たりの木を眺めるも、一つたりとして実がなっているものは無かった。
するとその時、目の前を野ウサギが横切っていった。そのまま木々の間に逃げ込もうとしている。
さっきまで動物が居る雰囲気すら無かったのなぁ、と首をかしげてみる。
この際、野ウサギでも、と銀髪の少女は後を追いかけ始めるのであった。
□□□
「はぁっ……はぁっ……あ、れ?」
どうやら私は野ウサギすら捕まえる事ができなかったらしい。
何故ならば、私のお腹がまだぐぅぐぅと鳴っているからだ。
というか野ウサギって捕まるの?男の人でも難しいんじゃないかしら……。
何にせよ、朝食が用意出来なければ、朝食は抜きとなる。
「とりあえず、川があっただけマシか……」
満足に水分もとれていないのに、走ったので、喉がくっつきそうになっている。街に行くまでの辛抱だということで、空腹の分も誤魔化す様に水を飲み、出発した。
□□□
あれからどれくらい歩いたのだろう?
お腹が空きすぎて、空腹なのか満腹なのかよくわからなくなってきた頃、少しぼやける視界に2人の衛兵が見えたような気がした。
「あれ?」
ぐらりと落ちる感覚。
「お、おい!どうした!?」
男の人の声だ。
いやしかし、目の前が土っぽい色だな――……。
なんでだろう?