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箱庭勇者と魔王録  作者: 鉋付ニーゴ
プロローグ
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プロローグ「前世でのとある一日」

 ――さてどうしたものか。


 目の前にはパソコンのディスプレイ。中に居るのは、小柄な銀髪の少女。職業は法術士で、レベルは二百カンスト

 このオンラインゲーム内で、最大規模を誇るギルドのトッププレイヤー。彼女が杖を振るえば、大抵のモンスターは一撃で溶ける。


 そんな彼が悩んでいたこととは。


「えるかたそコラボ衣装が当たらない……」


 現在プレイ中のMMORPG、スカイブリゲイドが、神アニメである魔法少女ロジカ☆えるかとのコラボ中なのだった。

 そのコラボガチャの一番の当たりが主人公えるかの魔法少女衣装なのだ。

 だが、百回回しても当たりは出ていない。

 ちらほらレア物が手に入っているが、彼にしてみればゴミ同然だった。

 更に回すには、また課金しなければならない。

 そして、今課金すれば、うまうぃ棒すら買えなくなってしまうだろう。

 しかし彼は、課金することを心に決める。

 この育てに育て上げた、愛おしささえ感じる少女を、魔法少女にしてあげるのだ。


 そうと決まれば行動は早い。

 とりあえず着ていたジャージ姿のまま、財布を掴み、コンビニへと向かった。


 俯きながら考え事をしていた時、ふと目の前の横断歩道を行く、背中に違和感を覚えた。


 服装からして男か?いや、体格的にショートカットの女の子かも?

 そう思わせるくらい、中性的な印象をしていた。

 しかし違和感の原因は多分そこではない。

 その印象・・・というか雰囲気が、とても懐かしくて。


 信号が赤になろうと、点滅を開始する。

 彼は思わず走り出した。


 もしかしたら、十年くらい前に行方不明となった――


 目の前の背中に話しかけようと、口を開いた瞬間。


 トラックのようなものが視界に入った気がした。


「くゲッ・・・」


 出てきたのは、言葉にならない空気の音と。


 熱く、トロっとした液体。


 ひんやりとした氷の上に、鉄板で焼かれた肉が乗っているイメージを最後に、彼の――


 ――黒谷 深礼の人生は終わった。

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