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王子と友だちになる。

 そう、たしか今は部屋で勉強しているはずだったのだ。諸事情あるとはいえ、一応は王子さまなわけだし、幼児にしては結構な量の教育を受けている。この時間帯は、庭師も他の庭園に行っていて不在であるし、多少姿は見えたとして、そう問題があるとは思われなかった。一日一回は存在力を摂取して姿をあらわし、自我を確保する必要があるリリアナにしてみれば、この時間と場所ーー中庭の片隅で、人気のないこの位置が最善の選択だった。

 なのに何故か本人にアッサリ見つかっている。まったく何の冗談だろう!

「ね、妖精さん、お名前は? ぼくはウィリアムだよ」

 仕方がない。油断した自分が悪いのだ。リリアナは覚悟を決めた。

「リリアナですわ、ウィリアムさま」

 答えた彼女に王子は、ふにゃあっと笑った。子供らしい、愛らしい笑顔だった。

「じゃあリリアナ、ぼくと友だちになって。いじめたりしないし、ぼくのおやつ、半分あげるから」

 この笑顔に逆らえるわけがなかった。リリアナは了承した。

「でもウィリアムさま、おやつは要りませんわ。お友だちって、ものと引き換えになるものじゃないんですのよ」

「引き換えじゃないよ。これは、えっと、せいい……誠意だよ」

「友だちには、そんな誠意要りませんわ。ウィリアムさまの笑顔だけで充分! 」

「そうなの?」

「ええ、ウィリアムさまの嬉しい気持ちが分かりましたから」

 リリアナの言葉に、王子は笑み崩れた。かわいい。とてつもなく可愛い。生まれたときから見守っているのだ、リリアナには王子が存在から可愛くてならない。

 と、そこに上から声が掛けられた。


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