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第八話

 白石の敷き詰められた街路を馬車がゆっくりと進んでいく。


 周囲に目を向けると、私達と同じように馬車に揺られる者、徒歩にてそこへと向かう者達の姿が目に映る。


 それらは皆、官庁街を抜け、小高い陵を進んでいた。


 皇都、天津上あまつかみの中央に位置し、スメラギ皇国最大の湖である“セオリ湖”を望むその陵は、豊かな自然に覆われ、落ち着いた景観を誇っていた。

 今、その陵では、ゆるやかな風に揺られた桜花の芽吹きが春の訪れを静かに告げている。


 石畳の続く先にあるのは、今日、私が入学することになる、“皇立おうりつ白桜はくおう教育学舎。通称:白桜学院。


 その名の通り、白塗りの学舎が新春の陽光を浴びて美しく輝いていた。




 “皇立”とは、その名の通り、おう。つまり、皇国の元首である神皇しんのうの名の下に設立されたモノの呼称であり、国内でも唯一無二の教育機関である。

 初等4年、中等4年の計8年の一貫教育が行われ、教育カリキュラムも基礎学習、専門教育などの基本的部分は国内に用意された一般の教育機関と変わりない。

 ただし、皇国政府の作成した学生指導要領には一切則っていない。

 そのため、卒業生の進路は限られ、家を継ぐ者や他家に嫁ぐ者を除けば、皇室直属の機関を進路としている。

 元々は、皇族をはじめとした旧貴族達専用の教育機関であったが、現在では階級の差は無く、純粋に優秀な子弟を受け入れている。

 また、校舎には様々な設備が用意されており、複数の運動場、武道用道場などに加え、国内最大級の図書館、実験・研究施設、温室や茶室、星読み用の天文台などの文化施設なども整備されているという。

 当然、学生だけが使用するわけもなく、皇室関係者は下より国内外の研究者にも使用を許可しているという。




 父、カザミからそんな説明を受けた私は、前世においては地方の公立小中学校にしか通ったことのない事もあり、その設備の充実さや規模を聞き、改めて見え始めた校舎や周辺施設の規模に圧倒される。

 小説の舞台として、母ミオや主人公たちが青春時代を過ごしたことは知っていたが、やはり文章でそれを知るのと、実際に目で見てみるとでは印象が違いすぎた。



「ミナギ、あまりきょろきょろするな」


「あ、ごめんなさい。お兄様」


「謝ることではない。ただ、周りのものたちが何事かと見ていたぞ」



 これから自分が通うことになる学校に近づき、気持ちが昂ぶっていた私に、傍らに腰を下ろしているお兄様の声が届き思わず居住まいを正す。



「ふ、緊張していたか?」


「そ、そんなことは」



 そんな私を見て、お兄様は口元に笑みを浮かべている。



「ミナギ」


「は、はい」



 そこからあたふたと弁解していた私だったが、お兄様は過ぎに笑みを消して私へのその涼しい視線を向けてくる。



「白桜には、お前の出自を知っている者も多くいるだろう……。お前の、お母様のことをな」


「はい……」



 その言に、私はお母様のことを思いかえし。わずかに視線を落とす。


 元々、母ミオは、いわゆる貴族階級や名家層との関わりが深い。

 そのため、没落したとはいえ、ヤマシナ家一門の足取りを独自に探ったり、情報を共有する家や勢力もあるであろう。

 カザミも数年前からミオと顔を合わせていたようであるし、皇族に害を為した人間やその関係者を警戒するの当然と言える。


 それ故に、同窓生たちが私に対して思うところがあっても不思議ではないとお兄様は考えたのだろう。

 普段に比べていくらか饒舌に話す様子がそれを如実に語っている。


 実際、お兄様自身もお母様に関する噂を聞き、私を好意的に迎えることは出来なかったというのだ。



「当初は、私のように忌避する者もいるだろう。だが、お前はお前だ。つらくなったら私を頼れ」


「お兄様……」


「だが、安易に逃げは打つな。……何より、我々が為すべき使命はそれよりはるかに厳しいモノだ」


「分かっております」



 厳しいもの言いではあったが、お兄様なりの叱咤であり、私を気遣ってくれていることは分かっているのだ。静かに頷きながらそれに応えた。



「それでは、到着までゆっくりするとしよう」



 そんな話をしている間も馬車がゆっくりと進んでいき、やがて見えてきた巨大な“城門”を前に停止する。

 ここから先は馬車の乗り入れは禁止されており、同じような立場の者達も次々に馬車から降りていく。



「さて、行くとしよう」


「はい……っと」


「どうした?」


「あ、いえ。ちょっと、歩きづらくて」


「ああこれか。女物は男物と違って足元まで覆われているからな。そのうち慣れる」



 お兄様の後に続き、ゆっくりと馬車から降りようとすると、胸元から足元まで伸びる前掛けに足を引っかけそうになる。

 上下一体である上に、腰の辺りからは身体にフィットしたロングスカート状になっているので、少々歩きづらい。


 すべてオーダーメイドの支給品であり、伝統ある制服だが、祭祀用の衣服もかねているというのだ。

 また、この独特な制服は皇国近衛衛士、“神衛かのえ”にも採用されており、ツクシロ家では親子が揃い踏みの制服に身を包んでいた。


 そんな独特の制服に身を包んだ新入生とその保護者たち。そして、お兄様のような在学生達が校門へと列を成すなかに、私達の兄妹は歩みを進めていった。



◇◆◇◆◇



 入学の儀は滞りなく終わり、これから自身が過ごす教室にて今後の教育課程等の説明を受けたり、クラスメイト同士で簡単な自己紹介を交わした。



「ミナギ・ツクシロと申します。皆様、今後ともよろしくお願いいたします」



 少々固すぎるようにも思えたが、この学校の児童達は皇立と言うこともあって、最低限の礼儀などは学んでいる様子で、それほど浮くことはなかった。

 どちらかというと、ツクシロという名に驚いた者が多かったようにも思える。

 ただし、訝しげな表情を浮かべている者もおり、そのうちの数人からは射るような視線を向けられ、思わず視線を逸らしてしまった。

 それから午後になり、ほとんどの児童達は保護者とともに帰宅していく。ただ、私や一部の児童達は、とある事情から教室に残っていた。



「それでは、皆さん。ついてきてください」



 それまでの礼服から、私達と同様に白地の制服に着替えた担任の女性教師であるアツミ・ノベサワ先生の後に私達はついていく。

 ほどなく、校舎とそれに隣接する“ある重要な場”との境目にある離れへと入っていく。



「さて、ここから先は、邪念すらも慎むように。よいな?」



 とそれまでも無言で後に続いていた私達に対し、アツミ先生は先ほどまでも柔らかな笑みを消し去り、静かにそう告げる。

 ほどなく、鼓動の高まりとともに、言い難い緊張感が私達を包みはじめた。



(これが、“例の……”)



 扉をくぐり、離れへと足を踏み入れた私は、小説の中にあったとある組織のことを思いかえした。



 “白牙”


 “白百合”



 ともに、皇国においては、“忠誠”や“友情”などの象徴として扱われるモノであり、学園においては特権的な地位を示す組織の名称として知られる。

 双方を合わせて言う際には、“白の会”と言った呼び方をされていた。

 男女で所属が別れるという違いはあるが、在学している児童、生徒の中で、血筋、家柄、財力などを厳しく審査された特権階級の白桜生が属するとされる集団。


 それが小説の中での彼らだった。


 学院から様々な特別待遇を受けており、母ミオとその取り巻きたちはそれらの特権を駆使して好き放題に振る舞っている場面がいくつも描写されていた。

 教師たちも“白の会”に属する生徒たちに対しては、一歩引いた対応しかできず、一般の生徒たちが白の会の生徒と対立でもしようモノなら、即座に退学させられ、最悪の場合は家族までも巻き込んで破滅させられる事もありうるのだった。


 しかし、それらの実態は、小説における描写とは異なる様子だった。


 目に映る範囲では、小説のような家柄や財力を頼みにした良家の子女たち姿は無く、皆が皆、それまでの一般児童とは異なる佇まいや眼光を放っている要に思えるのだ。




「よく来てくれた。今日より、諸君を“白の会”に歓迎しよう」


 離れに用意された座敷に案内された私達は、上座に腰を下ろし、こちらに視線を向けてくる所属生達に一礼して腰を下ろすと、中等科に属する白の会の最上位者からの歓待の言葉を得る。


 最上位者である男子学生は、前世の日本では高校生ぐらいの年だと思うが、その佇まいや振る舞いは学生のそれとは言い難い。

 他の在校生達もまた、やはり小説にて描写されていた尊大な御貴族様の子弟と言った姿では無く、父やお兄様の印象そのままといった武人然とした姿をしていた。


 そんな生徒たちが座する室内は、まだ青みの残る畳が敷き詰められ、最上位者の先輩は、その和室の上座に他の高等科生とともに腰を下ろしていた。

 彼らの座する上座の奥に本床の間があり、室内はいくつかの襖によって区切れるようになっている様子だった。

 また、縁側から見える外の景色は、石造りの大きな池や枯山水作りの庭が用意され、池に通じる小川にはししおどしの乾いた音がしずかになり響いていた。



「今日より、諸君等は我らの同士として、また将来の神衛の衛士として恥ずることなく、心身の鍛錬に取り組んでもらいたい」


「はいっ!!」


「よかろう。では、堅苦しい挨拶はここまでにするとしよう。さすがに学生の身では、料理や酒の振る舞いはできぬが、飲み物と菓子を用意させてもらった。少しの間、歓談するとしよう」



 緊張の面持ちで、最上位者からの言葉に耳を傾けていた私達に対し、それまで無言で鋭い視線を向けていた先輩たちは、その言を合図に皆表情を崩していた。



「どうだ? 中々、緊張しただろう?」



 歓談の場になると、私はお兄様とともに端の方にて静かに場の様子を窺う。

 緊張していた初年生達に上級生たちは、笑顔で語りかけている半面、今後に執り行われる修練などにも言及していた。



「はい。……美味しいお茶」


「特権と言ってしまえばそれまでだな。話によると、肉体強化のための霊薬が含まれている特別製だと言うが」



 私もお兄様から、それらのことに対して説明を受ける。


 私達初等部生は、礼儀作法の心得が主となり武術などに関しては基礎的な修養が中心になるという。身体がまだできていない自分から無理をすることはできないが、基礎的な修養は当然必要になってくるからであるという。



「ツクシロ。この子が貴公の?」



 用意されたお茶をすすりながら、話をしている私とお兄様の元に、最上位者ともう一人の女子学生が歩み寄ってくる。



「はっ。妹のミナギであります」


「は、はじめまして」


「ああ。私は、ムネシゲ・チバナ。……事情は聞いているが、少なくとも君個人に罪があるわけではない。くれぐれも、皇室の御ために励んでくれよ」


「は、はい」



 ムネシゲと名乗った最上位者は、そう言って私の手を握る。

 大きなゴツゴツとした手で、強く握っているわけではないのに、その力強さが伝わってくるように思えた。


 忠告の類になるのだろうが、本心かどうかまでは分からない。立場上、親族関係の罪などを厳しく見ているであろうが。



「ムネシゲ様は、チバナ家の惣領となる方でもある。祖父やその一族のような、過ぎたる野心を抱くなよ?」


「…………はい」




 そんなムネシゲ先輩に代わり、傍らにいて髪を短く切りそろえている女子生徒が鋭い視線を私に向けてくる。

 ムネシゲ先輩とは異なり、この人に関してははっきりとした敵意のようなモノがその視線にはこもっている。


 思わず身を振るわせ、小さな声で応じるしかなかった私を見て、ムネシゲ先輩が嗜めるような視線を向けていた。



「ヨウコさん。そのぐらいに」


「分かっているわよ。それにしても」


「あ」



 その鋭い視線に、お兄様が割ってはいるが、ヨウコと呼ばれた女子生徒は、私の顎に指を当てて、上を向かせられる。


 そして、先ほどの鋭い視線を浮かべた表情を改め、何やら品定めをするかのような表情に変わる。



「あ、あの……」



 敵意の類が消えたことで安心したのだけど、今度は何やら不穏な空気を全身が誘っている。ヨウコ先輩の表情が次第に何やらとろけたモノに変わってきている。

 助けを求めるようにお兄様に視線を向けたが、お兄様もどうすればいいのか分からないのか、しきりに彼女に対して声をかけるが、ヨウコ先輩にはそれが通じていない様子だった。



「おい、戻ってこい」


「にゃっ!? も、申し訳ありません」



 そんな私達の困惑に対し、ムネシゲ先輩が額を抑えて息を吐くと、ヨウコ先輩に対して軽く手刀をお見舞いし、彼女を正気へと戻らせた。

 “にゃ”という声が、きつそうな面持ちの彼女のどこから出てきたのかと思わず思ってしまったが。



「え、ええと」


「子どもは知らなくていい。まあ、そう言うことだから、ツクシロくん。これからもよろしく頼むぞ」


「ふふふ、またね」



 いや、知ってますけどね。ただ、皇室に仕える神衛となる人が、“同性愛者”というのはどうなんでしょうか?


 そんなことを思いもしたけど、ムネシゲ先輩がなにやら恍惚の表情になってしまったヨウコ先輩を連れて行ってしまったので、それ以上考える必要は無いと思う。


 とはいえ、あんな表情を担っていたらせっかくの少年めいた美貌が台無しだとも思うが。



「ヨウコさんは、チバナ家の重臣、オノ家の子女でな。幼い頃からの君臣関係だそうだが……。まあ、普段は最初のように鋭い人だから、安心していいぞ」


「は、はい」



 何にですか? と思わず聞き返したくもなったが、お兄様を患わせるのも悪い。

 さすがに、先輩の性癖まで言及をしたくはないだろう。

 その分野に関しては、私の方が先輩かも知れませんね。と、そんなしょうもないことを考えていた矢先、上座へと戻ったムネシゲ先輩が、改めて声を上げる。



「諸君、宴もたけなわと言ったところだが、実は、諸君等にはもう一つ。心得ておいてもらいたい事がある」



 上座に立ち、談笑する皆にそう告げたムネシゲ先輩は、室内が静まり返るのを待ち、改めて口を開くと、全員を最初の場に戻るよう命ずる。

 私もお兄様の後につき、初年生達とともに元の場に腰を下ろすと、ムネシゲ先輩はゆっくりと頷き、他の生徒達が座する上座に腰を下ろす。

 よく見ると、上座の奥にある、本床には4枚の敷物が敷かれ、中央のそれには品のよい装飾が施されている。



「黙想っ!!」



 そして、ムネシゲ鋭い声が耳に届き、慌てて声の通り目を閉ざす。


 黙想などはツクシロ家に来てから毎朝早朝に縁側にてやっていたことであったが、さすがに白の会の者達である。

 室内には50人ほどの人数がいるにも拘わらず、衣類が擦れる音がほとんど聞こえてこないのだ。


 皆が皆、身じろぎすることなく黙想していることが分かる。



「止め。――礼っ!!」



 そして、ムネシゲ先輩の声とともに目を開くと、間髪入れずに号令が掛かる。

 すぐに三つ指をつき、礼をすると、どこからともなく鈴の音が耳に届き、ほどなく襖が開かれる音と衣服の擦れる音が静かに耳に運ばれてくる。


 いったい何が? と思いもしたが、ほどなく全身に粟が浮かび、鼓動が跳ね上がることを自覚した。

 どういう事なのか分からずに、困惑するも、鼓動や汗は留まるところ無く、流れ続け、激しくなっていく。



「皆さん、面を上げてください」



 このままでは、礼を続けるのは無理だと思い始めた頃、耳に届いたのは穏やかな初老男性の声。


 それに救われたと思い、私は導かれるように顔を上げた。途端に、身体全体が森の静寂ような落ち着きを見せ始める。


 周りの生徒たちも同様なのか、わずかな身じろぎが目に映っている。


 前の方にいる先輩たちにはそんな身じろぎの類は見られないが、それだけに私達の動きは目に映りやすいのだろう。


 声の主の男性は、その声と同様に穏やかな笑みを私達に向けて来てくれていた。



「今日の良き日に、前途明るい皆様をこちらにお迎えできたこと、真に嬉しく思います。我ら、皇族一同心より歓迎いたしますよ」



 私達を愛でるように視線を向ける初老の男性。


 私にとっては初対面であったが、それでも遠くから垣間見たことは幾度かある。


 この人、いやこの御方は、当代の神皇アキトのおうろ


 まもなく在位五十年を迎える正真正銘のスメラギ皇国元首である。

 そして、その傍らに控える初老の女性と一組の少壮の男女。彼らは、当代皇后と皇太子夫妻の姿がそこにある。


 そして、皇太子夫妻に対し、私は目線を切ることができず、まるでその場で身体が凍りついたかのように視線を向け続けていた。


 それまでどこかで信じていなかった。いや、単によく似た世界でしかないと頭の片隅で考えてたことが、粉々に崩れていく衝撃と言うべきか。


 私の視線の先には、小説における主人公サヤ・ミナツキとその相手となる皇太子リヒトのみことの二人が、小説の中での姿から、順調に年を重ねた姿でそこに腰を下ろしているのだ。


 そんな二人も私の視線に気付いたのか、お互いに視線が絡み合う。


 はっとして、再び全身が硬直したように思え、なにやら目頭が熱くなってきたことを自覚する。

 そして、小説の主人公であるサヤ。今、目の前にいる皇太子妃その人が、緊張で固まる私に対して、やんわりと微笑んでくれたような気がした。


 彼女は、かつて病に苦しむ私に、生きるという目標を与えてくれた人。もちろん、彼女がそんなことを知るわけでもないのだが、それでも、家族や友人達と同様に、私にとっては偉大な恩人の一人であるのだ。


 そんなことを思うと、目尻に溜まった涙とともに身体が震えてくる。


 先ほどまでも畏敬の念から来る震えとは異なるそれ。感動による震えの方が先に来ているように思える。


 そして、そんな私の視線から何かを察したのか、皇太子妃サヤ様は、一瞬皇太子リヒトの尊と視線を交わすと、それまでの柔らかな微笑みから、凛とした意志の強い笑みへと表情を変え、しっかりと頷いてくれた。



 そんな表情の変化に、私は慌ててこぼれた涙を拭い、今もなお、言葉を紡ぐ神皇陛下へと視線を戻す。



 恩人を前にしたとしても、それは私個人のことなのである。自身の責務を果たすことも、旧恩に報いることにも繋がる。

 それを果たしてはじめて、小説の中の主人公にして、私の恩人でもある彼女に顔向けができると思うのだ。


◇◆◇


 ミナギの記憶の中にある皇太子妃サヤ。小説の中では脆く儚い印象を周囲に与えていながらも、その本質は凛とした強さを秘める少女であった。

 今、皇太子妃としての年月を重ねた彼女は、その凛とした強さに、気品溢れる美しさを兼ね備えた一人の女性へと成長していたのであった。



 そして、運命の皮肉か、はたまた必然か。サヤとミナギは、一つの因縁めいた繋がりによって結ばれていたのであった。

ま、まさかの恋愛ジャンル日間1位……。

これからも、皆様の期待に応えられるよう頑張りたいと思います。


明日も、20時の投稿予定になっています。

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