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第二話

投稿が遅くなって申し訳ありません。

 皇都天津上にて一つの決定が成されていたその日。


 天津上からはるか東方にある都市、フルガ。

 かつては、新興国家群による傀儡政府が置かれていた行政の中心都市であったが、血の式典事件後のベラ・ルーシャの侵攻とユーベルライヒの全面撤退という名の裏切りに際し、過酷な包囲戦を強いられていた都市である。

 その陥落はおよそ一年前。包囲戦の犠牲者はベラ・ルーシャ側は千名にも満たないのに対し、スメラギ側は軍民、及びユーベルライヒ義勇兵を合わせて、二十万人以上の死亡者を出していた。

 そして、陥落から一年を経た今となっても、その被害状況は色濃く残り、今もなお、腐臭や方々から立ち上る煙が消えることはない。

 そんな都市に、ベラ・ルーシャ占領下のバンドウ地方における傀儡政権の首都が置かれ、その首班たるミスズ・カミヨは、降伏したスメラギ人閣僚等とともにこの地に入り、政務に就いていた。


 もっとも、彼らに行政の権限などはなく、与えられたのは死体処理や反抗したスメラギ人の死刑執行という戦後処理のみであった。

 そんなフルガの地に、ベラ・ルーシャ側より、一通の書状を携えた使者が到着したのは、天津上における変事からわずか一日を経た夕刻のことであった。



「閣下、本国より書状が……」



 うつろな表情にて、決済印を押していたミスズに対し、手渡された書状。


 それを目にした彼女は、それを持ってきた側近の男が、はじめて見るほどに感情のこもった表情を浮かべ、内容に目を通していく。



「真であるのか?」


「はっ……。方面軍総司令官のマリノフスキー将軍直筆の文になれば」


「そうか。私に見せたところで、意味があるとは思えぬがな」


「ですが、猊下の御尊命はこれで果たせましょう」


「女神様の御意志ではないのか?」


「っ!?」



 それまで、無表情に頷くだけであったミスズの皮肉めい返答や言に、側近はわずかに鼻白む。


 血の式典事件にて捕らえられ、こちらに服属を誓ってからは、言われるがまま、なすがままに尽くしてきた女が、どこか生気を取り戻したかのように見えたのである。

 だが、書状の内容は、生気を与えるどころかそのすべてを奪い取らんとするような内容であると側近は思ったのだが。




「もうよかろう? あとは貴様がやれ。私は休む」


「はっ……」



 そして、皮肉を言い放った後、ミスズは淡々と書状を決済すると、側近に対して印綬を投げ渡すとさっさと席を立ち、私室へと続く通路へと足を向ける。


 それを見送った側近は、その後ろ姿に眉を顰める。




「操り人形であったはずだが……、女狐め、正体を現したか?」



 そう言うと、側近は窓辺からミスズの私室へと伸び通路に視線を向ける。そこを歩いて行くミスズに特段の変化は見られず、離れに置かれている私室へと向かっている。


 政務を執る時以外は、軟禁状態と言っても良く、四方からの監視下にあるのが彼女の私室。

 その内部は四畳半程度で、書物が置かれているだけの殺風景な部屋であり、万が一外部からの接触は不可能。

 念には念を入れ、鳥などの伝書に用いられそうな動物の接近すらも許していないのだ。




「だが、念には念を入れておくべきであろう」



 そう思うと、側近は先ほどのミスズの様子を書状に記す。後々のため、自決も許さなければ、他者との接近も許さない。


 それが、傀儡政権の首班である彼女の置かれた立場であった。



◇◆◇



 扉を閉めると、ミスズは全身から力が抜けていくことを自覚していた。



「はぁはぁはぁ…………」



 思わず椅子に手をかけ、膝をつき、こみ上げてくる嘔吐感を必死に抑える。自分の責ではない。そう思わずにはいられなかったが、それでも、今回の事に関しては、自分もまたそれに組する立場にある。


 分かってはいた。いずれ、このような事態が起こりうることも。そして、今回の報告にあった人物が、別の人物でなかったことに安堵している自分もいたのだった。


 そして、そんな感情を抱いたことに対する怒りもまた、自分の中に確実に存在していた。



「ツクシロ……、そなたは、満足して逝けたのか?」


「貴様に……、そのような事を問う権利があるとでも思っているのか?」


「っ!?」



 前身に粟が浮かぶ中、口を付いた言葉。


 報告の中にあった男の死に、ここまで動揺する自分にも驚いていたが、何よりも驚いたのは、背後から耳に届いた怨嗟の念がこもった声であった。




「ヤマシナ……っ!? どうやってここに」


「今はツクシロだ。どうやって、か……。私が、十数年間何をしていたと思う? 男を相手に腰を振っていただけではないぞ」



 互いに顔を合わせることなく、言葉を交わすミスズとミオ。


 ミスズの首筋に突き付けられた小太刀が差し込んできた陽の光を浴びて鈍色に輝くも、二人は沈黙したまま時だけが過ぎていく。



「転移法術を会得したか……」


「そこまでの技量はない。単に、他の術を見出したに過ぎぬ」


「それで、なぜ殺さぬ?」


「死にたがっている者を殺したところで、褒美にしかならぬ」




 そう言うと、ミオは小太刀をミスズの首筋から離し、彼女を肩を掴んで寝台に押し倒す。そして、自分は傍らにあった椅子を引き、どっかりと腰を下ろした。



「死にたがっている……か。どのみち、私には処刑台が待っているだけだ」


「その通りだな。だが、役に立てることもある」


「…………黒の者達か?」



 ミスズもまた、ゆっくりと身を起こしてミオと対座する。防音の類は済ませており、盗聴の心配はまず無い。


 少なくとも、不用意に近づいた相手を切り捨てたことは一度や二度ではないのだ。狂気に支配された女であるいう認識を周囲に与えつつ、ミスズは首班としての立場を貫いている。

 だからこそ、こうしておおっぴらに話を続けられるのだった。


 ミスズはそう思いつつも、自分に言い訳の一つも口にさせないミオの言い分に、変わりがないことに安堵する。


 先ほどの言から、ようやくカザミと結ばれたことは察していた。だが、夫のしに動揺するほどの弱い女であれば、十年以上にわたる屈辱の日々にて発狂したであろう事は容易に想像が付く。

 そして、今の彼女が目的とすること。それは、やはりカザミの仇であろうと考えたミスズは、自身にもたらされた報告にあった事項を思い出し、口にする。


 それに対し、ミオも口元のみに笑みを浮かべながらそれに応じる。



「話が早くて助かる」


「そう。仇を討つのね」


「カザミだけではない。あそこには……」


「ヒサヤ様……。でも、無駄よ。あの方はすでに、皇子ではない」



 そして、自分の想起した地とそこにいるはずであるとある人物。だが、件の人物もまた、自分と同じ運命が待ち受けていることも、ミスズは良く知っていた。




「貴様が、裏切り者として処刑されるのと同様に、殿下も民衆の手によって血祭りに上げられるということか。リヒトとフミナ皇女殿下を葬った後に」


「洗脳下にあったとしても、殿下はすでに多くの罪を重ねられている。そして、それを止める手立てはなく、その被害者は増えるばかり。加えて、ヤツ等は殿下が処刑台に上った時にはじめて記憶を戻すつもりでいる。彼の御方の性根を考えれば、無様な最後が想起されたのであろうよ」


「クズだな……」


「ええ」


「だが、貴様はそれから脱した。この事実だけでも、価値はある」


「偶然の産物でしかないわね」


「それでもだ」


「そう…………、じゃあ、これを持っていきなよ」




 そこまで話して、ミスズはようやくミオがここにやってきた意図を察する。


 現状、あの島に関する情報を集められるのは自分の所だけ。おそらく、意志を取り戻していなければ、自分を殺すつもりであったであろう事は容易に察しが付く。

 それでも、なぜあの島に目を付けるに至ったのかまでは分からなかったが。



「なるほど。状況としてはちょうどよい」


「期限までに辿り着くことは可能ね。でも、転移が可能なら、そんなこと気にしなくても」


「いや、限りのあるモノだ。可能な限り使用したくない」


「そう……。それで、この出所はどこだったわけ? 潰せるのなら潰しておくけど」


「ミナギだ」


「っ!? …………生きていたのっ!?」



 書類を手渡し、再び腰を下ろしたミスズは、久方ぶりに耳にした名に、思わず安堵する。この、かつての対立関係にあったミオが、再び孤独の戦いを挑むことは避けられたのだ。


 しかし、彼女が情報をもたらしたと言う事には疑問も残る。ケゴンでの悲劇以降、消息は不明だったのだ。




「ああ……。そして、何の因果かは分からぬが、黒の者達の行き先と、件の超兵器の場所を口にした」


「罠という可能性は?」


「はじめから罠だ。あの男がいる限りな」


「っ!? ……やはり、ヤツもっ」


「おそらくな。そうでなければ、ここまで状況は動かない」


「随分、詳しいのね……。でも、どうやってあの男のことを?」


「…………ふむ。貴様も、あの男の手に掛かった身、話してやっても良いかな? どのみち死にゆく身であろう?」


「……墓場まで持っていくつもりだったと言う事?」


「ミナギのためにもな」


「…………聞こう」



 そして、ミオの口から出た、“あの男”という単語。


 決して明言したわけではないのだが、ミスズは本能的にそれが誰であるのかを察していた。


 だが、ミオがなぜそれに言及するのかまでは、ミスズにも分からないまま。だが、その口ぶりから、ある程度の事情は察することが出来ていた。



◇◆◇◆◇



 強行軍で天津上からキツノ離宮へと戻ったのは、夜の帳も落ちきった深夜のことであった。



「ルナ様、お疲れではありませぬか?」


「大丈夫です。姉上は、更なる困難に身を置いておられます。それよりも、父上に……」


「はっ」



 船旅から、騎馬での疾駆である。


 身体は相当消耗しているはずであったが、ルナ様は気丈にそう告げると、さっと馬から下りて離宮内へと歩いて行く。

 警備の兵達に馬を預けた私達もそれに続くが、問題はリヒト様の体調であった。


 だが、ちょうど着替えの時間であったらしく、身を起こされており、問題なく報告を届けると同時に、フミナ様の命に関する事も報告できたのだった。



「そうか……。やってみる価値はあるだろうな」


「はいっ。必ずや、成功いたします」


「何を言っている。お前はここに残るのだ」


「えっ!? し、しかし、私は姉上から直々に……」


「たった一日でそっくりな性格になりやがったな。お前には、祭祀の手順やその他諸々を伝えなければならんのだ。あきらめて残れ」


「はい……」



 報告を聞き終えたリヒト様は、先日よりも青ざめた顔を引き締め、それに頷く。


 ただし、それを報告したルナ様は、言の通りキツノ離宮に残留することになる。実際、フミナ様もこの様な意図で彼女を解放したのである。


 なれば、その責務を果たすことが先決と言えた。



「潜入は、我らキリサキ水軍が全力で支援いたします」


「うむ」



 そして、話の内容は潜入の手段へと変わっていく。


 目的となる島は、このキツノ離宮の南方。聖地アシマ岬の南方の海上に位置しているとされている。

 だが、その海域は“魔の海域”と呼ばれ、常に暴風雨の吹き荒れる難所。例え、キリサキ水軍の戦闘艦でも、踏破は困難が予想される。

 加えて、今回は潜入任務であり、荒らしに紛れたとしても大型船の仕様は難しい。熟練の船乗りを抱えるキリサキ水軍であっても、実行は困難を極めるであろう。


 ここまで同行してきたハルカの言には、力強さと同時に予想される困難を何とか弾き返えさんとする意志が感じられた。




「いや、それは不要だ。キリサキ」


「っ!? お母様っ」




 そんな時、室内に届く女性の声。


 すると、白き光が室内に灯ると同時に、それは妙齢の女性の姿へと変わっていく。そして、光が消えた後、そこに立っていたのは、ちょうど席を外していたお母様であった。



「ミオか。野暮用は済んだのか?」


「はい。陛下、こちらを……」


「ほう?」



 短く、言葉を交わしたリヒト様に、お母様が厚みのある書類を手渡す。


 リヒト様は、“今日は書類攻めだな”と苦笑しつつそれに目を通すと、それが終わるまで私達は手持ちぶさたになる。


 だが、私はお母様に伝えねばならないことがあった。




「お母様……、お父様は」


「すでに聞いているわよ。ミナギ……、私は大丈夫よ」


「で、ですが……」




 恐る恐る口を開いた私に対し、お母様は優しく微笑みながら答える。


 独自の情報網を抱えていることは聞いていたが、その速さには驚愕するしかないほどである。とはいえ、お父様の死に動揺した様子を見せないことに、逆にお母様の抱える悲しさを感じざるを得ない。

 そして、何とか言葉を繋ごうとするが、お父様は臨終に際して、お母様には何も告げていなかったのだ。



「ミナギ、気を使う必要は無いわ。……貴女に看取られて、カザミは幸せだったはずよ?」


「っ……」


「それと、顔に出やすいんは直した方が良いわね。いざという時に、気取られやすくなるわよ?」


「そ、それほどまでにですか?」


「私はほぼすべて分かるけど、そこまでなのはそうはいないわ。だからこそ、今のうちにね」


「……精進いたします」


「ふふ。さて、陛下、どうですか?」




 そして、柔らかな笑みを私に向けていたお母様は、ちょうど書類に目を通し終えたリヒト様に対して視線を向ける。

 どこまでも、計ったかのような行動には、さすがに敬服せざるを得なかった。



「決行は明日の夜。出立は昼になるでしょう。それまではゆっくり休み、英気を養ってください」



 そして、陛下から決行の許可を取り付け、一通りの構想を告げたお母様は、アドリエルやミツルギさんからの修正事項を聞き、可能な限りの改善を行った後、その場は解散となった。


 これに参加するのは、私、アドリエル、リアネイギス、ミツルギさん、そして、天津上から同行を志願して来た、ケーイチさんの五名。


 危険は承知であったが、余り大人数になったところで動きに誓約が出てくるのは致し方がなかった。



「ミオ、ミナギさんも、ゆっくり休んでくれ……。二人とも、整理は就いているだろうが、身体は相当に消耗しているはずだ」


「お気遣い無く、陛下」


「いや、気遣わせてもらう。俺も、サヤが死んだあとは簡単には立ち直れなかった……。それに、お前達は無茶をするからな」


「陛下……」



 他の者達が退出した後、室内には残るように言われていた私とお母様、そしてリヒト様だけが残っていた。

 ルナ様とハルト様も退出しており、ここからは完全に個人的な話になるのであろう。



「本来ならば、ミオも同行させるところだが」


「私には、陛下の守護という責務がございます。カザミを失った今」


「分かっている……。だが、あまり思い詰めるな?」


「ですから……」


「たまには言う事を聞け。自分が思っている以上に、お前は脆い。ちょっと、気がついたらカザミの後を追っていたなどと言う事にもなりかねんぞ?」


「有り得ませぬ。ミナギやミルを残して等……」


「それだ」


「え?」




 やれやれと肩をすくめるリヒト様。おそらく、私を残したのは、下手な事を言ってお母様を激高させると面倒であるからだと思っていた。


 だが、それはどうやら見当違いだったらしい。



「ミナギさんやミルちゃんを理由にする。いつものお前だったら、つまらぬことを。とでも言って終わりだった……。もう一度言っておく。くれぐれも、無茶をせずに休め。これは、勅命だぞ?」


「…………ふう、昔から適いませんね」


「それが俺だからな」


「ふふふ。半身が焼けていて良く言う」


「うるさい。さっさと寝てしまえ」


「分かりました。あ、ミナギ、まだ話すことがあるから、先に戻って休んでいて。ミルはもう寝てしまっていると思うけど」


「えっ? あ、分かりました」



 そんなお二人のやり取りに、私はすでに遠い記憶となった小説の内容を思い返す。


 性悪女という設定のあったお母様。しかし、人の良いリヒト様はそんなお母様、ではなく、ミオの演技にほだされ、籠絡されそうになる場面が何度かあった。

 そんな二人のやり取りが、今のような軽口をたたきあう種のモノであったのだが、小説では、文面からもミオ・ヤマシナの卑しさなどが醸し出されていて、権力に縋る女の醜さが描かれていたのだ。



 しかし、事実は、いや、今私の目の前での二人のやり取りは、性別を超えた信頼関係がたしかに存在していた。



 リヒト様は、お母様の危うさを見抜き、身を休めるように命じ、お母様はそれを気取らせぬよう気丈に振る舞い合っている。


 だが、最終的には互いに本音で語り合っているのである。


 現実と創作は違う。すでに、身を持って経験したことであったが、改めてみても、それは微笑ましい現実として私の前にあったのだった。



「それでは、お休みなさい。陛下、お母様」



 二人に暇を告げ、ミルや老夫婦の待つ部屋へと足を向ける私。だが、先ほどまでの後継に、私はなんとも心が軽くなっているような、そんな気持ちに心が覆われていた。



◇◆◇



「それで、行くのか?」


「お許しいただければ」


「許さなくても行くだろう? 何年の付き合いになると思っている」


「そう、ね……。まったく、昔から私を振り回してばかりね貴方は」


「こっちのセリフだ。だがな、決して死ぬんじゃないぞ」




 ミナギが部屋から去ると、リヒトとミオは、かつてともに過ごした日々のような口調で再び口を開き合う。


 そして、ミオの中にある決着。

 立場上、リヒトの側を離れるわけには行かない彼女であったが、今回ばかりはそうもいっていられなかった。

 ミオは、この時のために屈辱に身を落としながらも生き抜き、自身を高めてきたのである。

 そして、自分をどん底に叩き落としただけでは飽きたらず、サヤとカザミの命を奪い、リヒトの半身を奪った男。

 そんな男の所在が、今ようやく掴めたのである。




「ええ。私なりの決着をつけるだけです。あの人が残していった子達を……え?」


「ふん、ようやく…………んん?」



 そして、怒りを抱く男の姿を遠くへと追いやり、ミオは、ようやく愛する何かを教えてくれた者達の姿を思い浮かべる。


 すると、意識もせずに大粒の涙が、両の眼からこぼれ出てきたのである。


 それに安堵したのか、リヒトまた笑みを浮かべて口を開きかけるが、皮肉なことに、彼もまた、両の目から流れはじめた涙を抑えきることができそうにもなかった。




「ふふ……、涙は、枯れきったとばかり思っていた」


「そう、か……。カザミは、幸せだったのだよな?」


「ええ。あの日の一日だけでも……、アレがあったからこそ」



 そう言うと、二人はそれ以上言葉を紡ぐことなく、静かに涙を流し続けていた。


 二人に先駆けて、永遠の眠りへと旅立っていった一人の男。だが、国を背負い、それを導くべき宿命を背負った両者にとって、失われたその存在はあまりに巨大であったのだ。

登場人物一覧や設定などは不要だってでしょうか?

矛盾がないようにはしてみましたが、描写しきれなかった設定も多くあると思いますが、読む際の参考にしてもらえればと思っています。


明日は夕方に会議が入ってしまって、執筆の時間が確保できるか分からないので、一応投稿は休みの予定です。ご了承ください。

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