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とある休日のおはなし

 どんな悪法でも、法律には従わないといけない。ニートは戦場に送られる、なんて法律ができて、気づけば戦場が当たり前になって。借金でボロクソな元ニート・現傭兵を脇目で見ながら、特になんの問題もなく傭兵を続けてこられた。たぶん、俺は運が良かった。こんな生活に適正があったり、どうにか生きていけるほどの能力があったり、あまり喜べないが。

 最近じゃ、いきなり戦場に放り込まずにベテランに新兵をつけて戦い方を学ばせるとかいう法律もできたようだ。それで俺に付けられたのが今の相棒だった。なし崩し的にズルズルとこんな関係を続けている。

「暇だねぇ……」

「暇じゃない。幸せを感じているのに忙しい」

 あまりにも幸運だった。人間、死ぬ気になればなんでもできる、そう思えてきた。あくまで時間稼ぎのつもりだったが、正規軍の増援が来るとは思いすらしなかった。生き残った俺らと正規軍との共同撃破扱いとなり、いつもより3桁ほどでかい金額が入ってきた。普通の連中は、借金返済や身体強化や装備につぎ込んでさっさと戦場に戻るんだろうが、俺らにはそんなものはない。次の出撃に備えて消耗品を補充したら、後は金が尽きるまでダラダラ日々を過ごす。

「こんだけ気を抜いても死なねぇ。これは何よりも幸せなことなんだ」

「何かしてるほうが好きなんだけどなぁ」

「じゃ、何するんだ?」

「んー……」

 ヤりたい盛りの年頃、時折チラチラ見られるのは慣れていたが。死んでも次がある、とはいえ、本脳は誤魔化せない。バディを組んでいる連中が結婚して少子高齢対策に貢献していく様を、俺はよく見てきていた。まさかコイツと結婚するはずもなし。

「思うんだが」

「ん?」

「俺に付き合う必要もないだろうに」

「でも、ずっと一緒だったしねぇ」

「たまには自分で考えて行動しろよ。いつまでも俺と一緒ってわけじゃねぇんだ」

「はーい」

 返事はするが、ベッドから動く気配はない。

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「なぁ」

「んー?」

「なんで動かない?」

「自分で考えて行動しろって言ったじゃん」

「行動してないよな」

「自分で考えた結論だよ」

「どんな結論だよ」

「意識して一緒にだらだらしてれば師匠の幸せもわかるんじゃないかなーって」

 コイツも元ニートだったろうに。どういう経緯でニートに成ったか、とかは一応行政が事前にくれる履歴書――とはいっても、本人が書くわけでもないし信憑性も薄い代物だが――で大体はわかる。が、コイツは本当に何を考えているのかわからん。

「まーいいけどさ」

 コイツがいなけりゃ、今のこの平穏な幸せはなかった。コイツに何度助けられたか、何度稼がせてもらったか。コイツも俺がいなけりゃ何もできないダメ人間だ。いい感じの関係なのかもしれない。




 相棒がデカイ買い物をしたり、俺が飯にこだわったりで、アレだけ在った金はあっさりと蒸発していった。

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