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短編集

かえるのひみつ

作者: 水宮 光姫

7/末が〆切の童話パロ企画に参加しようと思って書き上げたのは良かったんですが、新規参加受付終了してしまってました。ぎりぎりすぎました。

安定の変な話です。暇つぶしにどうぞ。

→参加受け付けて頂けました。感謝!

 お姫様に転生してました。



 元は日本人。普通のOLだったと言いたいところだけど、残念。

 正社員になれずに派遣でした。

 自分の死因はあんまり覚えていないのよね。


 普通に自宅でお酒飲んでたところで前の記憶は終わり。

 アル中で死んでたら嫌だなぁ。



 さておき。

 お姫様です。

 お姉さま達も美人揃いですが、なんと私が一番美人!


 皆に顔を見るたびに

「何故これほど美しいのだろう」

 と思わせてしまうほどの美人らしい。


 てか、毎日顔見てるんだからいい加減慣れようよ、と思う。



 そんな状態なので、周りにちやほやされたり、逆ハー状態になるかと思いきや。

 なんか美人過ぎるとか言われて、ぼっちだったりする。


 娯楽の少ないこの世界。


 一番楽しい遊びが、森の中にある泉の近くでボール遊びだったりする。

 夏でも涼しいその泉は、私のお気に入り。


 でも一人でボール投げて、受け止めて、の繰り返しが一番楽しいって、どんだけ寂しい人間なの、私。

 前世のお姫様のイメージが崩れまくりましたよ。



 という訳で、今日も元気に絶頂一人上手……じゃなかった、一人遊び中です。


 流石に手や首が疲れてきたので、そろそろやめようかな~なんて思ってたんですが、手が滑りやがりました。

 お気に入りのボールが泉に落ちました。


 ボールなら浮くじゃんって?

 いえいえ、このボールは実は重いんです。


 なんと言っても、金で出来てますからね!

 金の球です。鞠とも言うけど。


 そりゃあ、このボール遊びで腕が鍛えられたくらいですから、流石純金って重さです。

 当然ボールは沈みます。


 澄んで綺麗な泉だけど、底が見えない=ボールも見えない。

 うん。ボール終了のお知らせ。


 重さといい、細工といい、投げやすさといい、かなりのお気に入りのボールだったので、かなりショック。

 中々諦められなくて、じっと泉を見つめること暫し。



 いきなり蛙が出てきました。

 しかも喋るし!


「お姫様。そんなにお泣きにどうなさいましたか? 麗しいお姫様がそのように嘆かれれば、そこらの石ですら心配することでしょう」


 いや、泣いてないし。


「金のボールを泉に落としてしまいましたの」

 しかし、何で私が姫だって知ってるんですかね、この蛙。

 服装で判断したんでしょうか。


「では私がその鞠を取ってまいりましたら、何をくださいますか?」

 ギブアンドデイク。

 いきなり要求してくるところが凄い…………?


 微かに私の記憶にひっかかるものが…………


 金の鞠


 末の姫


 森の中の泉


 蛙





 って、グリム童話のKHM1じゃない。

 蛙の王様(鉄のハインリヒ)



 うわぁ、ないわ。

 約束やぶった挙句、蛙を投げつけたのに何故かハッピーエンドになるあの理不尽さ。

 しかも私がそのお姫様ですか。


 ボール無視って帰ろうか。



 くるりと踵を返した私に、蛙が呼びかけてきた。


「お、お姫様!? 私は何も欲深な願いをするつもりはありません! 黄金も宝石も財宝も何もいらないのです」

 妙に必死な声に、私は一応振り向いた。

 なんかね、蛙なのにすごいいい声してるのよ。

 声だけならめちゃくちゃ好み。


「お友達になっていただきたいだけなのです」

 確かに私はぼっちで友達いないけど!

 ボールが友達から蛙が友達にランクアップだ、やった~って喜べるかい!


「お姫様とならんでお膳に座らせて、お姫様の金のお皿で食べさせて、お姫様の杯で飲み物を飲ませて、同じお床で眠らせて頂ければいいだけなのです」


 誰か正しい友達の定義を教えてやれ。


「友達はそのようなことは致しません」


 蛙相手になんで頑張って疲れるお姫様ちっくな口調で喋ってるんだろう、と思いつつ言った。


「いえ、普通の友達の行動です」

 蛙が言い切った。


 いくら当然のように断言しても違うから。


「そこをなんとか」


「お断りします」


 しばらく押し問答した結果、負けた。

 蛙に言い負かされる姫ってどうなんだろう。




 そして、童話の筋書き通りに進みました。


 つまり、ボールを受け取ったら蛙を無視して帰城。

 何故か城を知ってる蛙が押しかけてくる。

 蛙が約束履行を要求。

 何故か要求をのむ父親(国王)

 一緒に食事。

 同じ部屋で二人きり←いまここ


 ここまできたら、蛙を投げつけないといけない訳ですが。


 なんかね。

 蛙がそれを期待してる気がするんですよ、ええ。

 早く投げて、みたいな。


 空気読んで行動した方がいいのかもしれないんだけど、どうも気が進まない。

 非常にいやんな予感がするのですよ。



 無言の圧力に屈しました。

 はい、蛙をひっつかんで壁に投げつけましたよ。


 そしたら童話の通りキラキラした王子にになりましたよ。


 要求した一連の行動が、呪いを解く為に必要な事だったと説明は受けましたがががが。


 呪いが解けたことより、なんで投げつけられた事悦んでるんですか。


 体格的にはもう投げられないって言ったら、本気で残念がってるし。

 それなら叩いたり踏んだりしてくださいってMか!

 私は別にSじゃないんだけど。


 なのに何故か外堀埋められて、私は蛙もとい、王子のところに嫁に行くことになりました。

 本当に口がうまいな、この蛙……じゃなかった、王子。




 それにしてもね。


 蛙を約束を反故にしようとしたあげく、蛙を投げつけるような姫だというのに、なんで結婚することになるのか不思議だったんだけど。


 まさか、痛めつけられて悦ぶ性癖の持ち主だったからなんてこと、知りたくありませんでした!

あ、ハインリヒ出てこなかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 企画参加、ありがとうございますううう~!!。:+.゜ヽ(*′ω`)ノ゛。:+.゜ 水宮様にまで書いて頂けるとは! 見逃さなかったストーカーな自分を、後で全力で褒めておきますねw← そして、…
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