プロローグ
私は、この作戦には反対である。
我々には、自らが招いた破滅という運命しかないのに。
尚もあがき、ついに彼らを巻き込もうとしている。
たしかに、我々が助かる可能性は0ではない。
だが、彼らにはどちらにせよ破滅しかない。
なんとしても止めなければ。
たとえ、裏切り者の汚名を着たまま朽ち果てようと…
私は必ず救ってみせる。
レア・ヴェイル曹長
「ホール・アースの状況はどうなっている。」
「気温-90℃、風速600m/s、気圧1253N、磁場数値の変化が著しく測定不能です。」
狭い室内をたくさんのモニターと基盤が、赤色灯に照らされていて。
モニターにはグラフや映像が映し出されているが、映像の方はノイズが酷くてなにが映っているのかわからないほどだ。
船の中なのか部屋はギチギチと音をたて、前後左右に揺れている。
「風速はまた上がったな、磁場に関してはグラフを見るかぎり上下の差が大きくなってるな。」
男は難しい表情で言った。
「わかった、本部に連絡しておく。」
連絡を終えた男は[喫煙所]と書かれ部屋に入り、煙草をふかしていた。
男は1人、根拠の無い不安定を感じていた。