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試合

戦闘シーンです

 訓練棟についた俺たちは既に相対する位置に立ち向かい合っていた。ルールはもう決まっているのだから後は戦うのみであった。フレイが俺の横から前に出る。それに倣うようにエスも向こう側から一歩出る。それを合図に二人のいる空間と周りの空間を遮断するように半球場の結界が張られる。フレイとエスの距離は20数メートル。魔法が得意であるという事前情報から戦いは遠距離戦になるだろうと思われた。

 始めの合図を出すために誠司が息を吸い込む。そして―

「始めっ!」

次の瞬間には合図が出された。合図と同時にエスは手を前に出し魔力と空気中の水分を練り合わせて空中に氷の刃を作り上げる。誰もがそれを矢のように飛ばすのかと思う。しかし刃は更に周辺の水分を巻き上げて剣の形へ変わっていき美しい氷剣へと姿を変えた。そしてそれを握るとその剣を正眼に構える。フレイは何をするわけでもなくその様子を見ていた。

―次の瞬間。エスが少し腰を落としたかと思うと既にフレイの眼前に迫っていた。20メートル以上の距離をまるで一歩で詰めたかのようなスピードだった。フレイは動じることもなく手を振り焔の壁を目の前に作り上げる。一瞬、エスは一度下がることを余儀無くされるのかと思われた。しかしその期待は裏切られる。なんとその焔の壁を氷剣で切り裂いたのだ。壁は切り裂かれると火の粉を散らしながら霧散していく。そのままフレイに氷剣が振り下ろされる。誰もがフレイの敗北を確信するがフレイは壁が散らした火の粉から炎剣を作り出し氷剣を受け止めつば競り合いになる。このまま時間が経てば普通は氷剣が溶けてなくなるだろう。しかしそんな様子はなくむしろ炎剣が消耗しているように見える。俺にはそれが事実であることがすぐに分かった。思ったより俺の魔力の減りが早い。それにフレイが持つのは本来焔を纏った赤い剣だ。炎だけで作られた炎剣ではない。フレイは実力をまったくと言っていいほど発揮できていないのだ。

 フレイの顔に焦りが生じる。フレイの炎剣は急に膨張すると爆散する。それに驚いたエスは流石に距離をとる。フレイは距離をとるためにわざと炎剣を爆散させたのだ。そしてフレイは稼いだ距離を無駄にしないと言う様にブツブツと詠唱を始める。

「まずいっ、精霊魔法よ!エス、畳み掛けて!」

櫻が焦った様にエスに指示を飛ばす。エスは無言で頷くと最初に見せた様な速度で一気に距離を詰め氷剣をそのまま横に薙ぐ。フレイは苦々しい表情でそれを辛うじて避けるものの、詠唱が中断させられたことにより無駄な魔力のみが消費されてしまいさらに消耗する。

 そこで俺は一つの疑問を抱く。今、フレイは魔力を確かに空気中に霧散させてしまった。にも関わらず自分の魔力は一切消費されていなかったのだ。しかしそんな疑問も一瞬ですぐに試合の方に意識を戻す。

 勝敗はすでに明確だった。エスはまだまだ余裕に見えるがフレイは既に肩で息をしている状態だ。

「おい櫻!もういいんじゃないか!?」

大声で遠くにいる櫻に中止を求める。すると櫻は頷きエスに声をかける。

「エス!もういいわ!その辺にしときましょう!」

声を聞いたエスは氷剣を魔力に戻し櫻の方へと歩いて行く。

「待て!」

フレイは悔しそうに言うが直後、消耗による疲労で片膝を付いてしまう。エスは一度立ち止まりその様子を一瞥するとそのまま櫻の元へと戻って行った。

「・・・済まない、不甲斐ない結果になってしまった」

フレイは申し訳なさそうに言う。

「気にする必要はないんじゃないか?まともに戦うのは初めてだったんだ。勝てないのが普通だと思うぞ」

俺は思ったことをそのままに言った。そもそもフレイが申し訳ないと思う必要はないことなのだから。

「随分な有様ね。魔力効率も悪いみたいだし、霊装すら解放出来ないみたいじゃない」

いつの間にか近くにいた櫻は無遠慮に告げる。

「こっちは契約してから2日と経ってないんだ、仕方ないだろ?」

俺は少しムッとなって言い返す。

「ちょっと待て。2日も経ってない?それは本当なの?」

「ああ、俺とフレイが契約したのは昨日だ」

「それじゃあ話が違う・・・。一体どういうことなの?」

それを確認した櫻は一人で何かをブツブツ言いながら去って行った。その後、戦いの様子に呆気に取られていたクラスメイトたちが正気を取り戻して彼女の近くに集まっていろいろと質問したり褒めたりと揉みくちゃにしたのは俺の預かり知るところではない。俺はというと、今まで無能な落ちこぼれが急にこんな目立つことになったらそれこそ周りに人が集まってくるのではないかとフレイを連れてすぐにその場を離れた。

戦闘シーンの描写について予想より筆が乗らず、少し短めになってしまいました。後々改稿する可能性が高めです。

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