帰還
あの光、またあの光だ!
つい先日見た光が俺たちを包み込みその場から消えたのだろう。
そして、俺たちは今隣町にいる。
「な、何が・・・」
俺は動揺を隠せない、何度経験してもこの感覚は忘れないがな。
「転移よ」
アリスは言った。
「待て待て、疑問がある、なんで初めっからこれを使わなかったんだ?」
そう言うとアリスは俺を哀れみの目で見て、
「まさか、あなたがこんな鈍感さんだとは知らないでしょうね。可哀想に」
何のことを言っているのだが、さっぱりだ。
お前が喋り出した時のようにな
「あなたの護衛のためにあえて歩いてこようとしたの!わからないの?この気持ちが?」
分かれといわれてわかるもんじゃない、だが、感謝はしている。
きっとあの場から逃してくれたのは、きっとガウラスだからだ。
「さて、後のことは私に任せて、あなたはこの世界うんざりなんでしょ?」
そうだ、確かに俺はこの世界に飽き飽きしていた。
なぜかって?意味がないからだ。
俺はきっとここにいてはいけないんだろう。
さっきもそう、昨日もそう
場面はいくらでもあった。
俺はアリスに連れられて街へと入り、魔法陣について詳しい人のところへと向かった。
道中で、
「で、なんで始めから魔法陣使わなかったんだよ?」
またー⁉︎という顔をしたが、
「魔法陣ってのはね2人ようなのよ」
単純すぎる答えだった。
そして、着いたのが薄汚れた館だった。
「何か用かい?」
座っているのは年寄りのお婆さんだ。
「久しぶり、おばあちゃん」
なんだって⁉︎
どうやらアリスのおばあちゃんらしい老人はおお!と目を言わせた。
「どうした、アリス?」
とお婆さんが問うと
「一馬を地球に返して欲しいのよ」
そう言うと、おばあさんは理解したような顔をして
「はいはい、じゃあ一馬ちゃんここに立って」
立ってと言われた場所にはマンホールが描かれていた。
で、一馬ちゃん⁉︎
「はい、じゃあいくよ」
と言った瞬間、俺の目の前が真っ白になった。
----------------------------------
戻ってきた。
地球に戻ってきた!
召喚されたのは元いた公園のベンチ
俺はどうやら時間は進んでいるものの同じ場所に帰れたようだ。
帰るとお母さんが心配していた。
俺がという一人称を言うとはっ!とした顔になったが、すぐに戻った。
成長したんだなとか思ったんだろうなきっと・・・
それから俺の生活は一転した。
素直にクラスの連中とも会話ができるようになった。
連中は俺との間に壁のようなものを感じていたようだ。
俺はあの世界で教わったことを教訓にこれからを生きて行こうと思う。
そして、2度と猫なんか拾わないと心に決めるのだった。




