プロローグ ー猫との出会いー
思いついたので書きました。
僕は高2でぼっちの折原一馬。
人生でやったことは勉強ぐらい友達も恋愛もさっぱりな経験値の低い僕は今ではもうクラスでは浮いた存在。
2年生初日の冬には雪という必ずそれがあるかのような自己紹介で先生が、学年で成績がダントツということを言ってくれたおかげでその次の休み時間はちやほやされたが、その時調子に乗って、
「勉強するから邪魔」
とか言う別に勉強するわけでもないし、ついてしまった真面目そうなやつの言う嘘を誰が疑おうか
そして、僕は真面目と書いてぼっちとでも言うかのようなバラみたいに存在、つまり裏表が激しいやつみたいな印象がついただろう。
そんないきなりぼっちから始まった。
桜がもう散り終わりそうな春の下旬の帰り道、僕は今猫と対面している状況だ。
その猫は毛色が真っ白で普通の猫に比べて体のラインが細く毛並みもしなやかであった。
『拾いなさい!』とビックリマークまで書かれたものすごい理不尽な箱の中には皮肉にも僕が猫だったら恋でもしそうな可愛さを感じさせる猫が少々寒くなってきた夕方の空を仰ぎながらあくびをしている真っ最中だった。
「お前、なかなか可愛いな」
僕はその子の頭を撫でると急に興奮して
きた。
いやいや、どっかの変態がネットで検索したエロい画像を見て鼻息が荒くなるようなあんな状態じゃない。あるわけない。
親が子供にやる気持ちがこんなものなんだろうか。
ということで、その可愛い猫を見捨てるというのも僕の心が痛むので拾うことにした。
家に帰ったはいいが親が許してくれるかどうかが問題なんだが、僕には無用、これでも掛け合いは結構得意な方だ。
うちの親はどうも過保護、それで僕が勉強しかしなくなったんだけど・・・まあこれも親孝行だからいいかと思っている。
「お母さん、この子うちで飼っていい?」
「一馬ちゃん、その子は捨て猫よ。今すぐ返してきなさい」
こうなることはわかっていた。
あと一馬ちゃんは忘れて欲しい。
お母さんが勝手にそう呼んでるだけだから
「お母さん、じゃあこうしようよ」
「なに?」
「次のテストまでこの子をうちで預かって、僕がテストで100点を3つ取ってきたらそのまま継続ってことでどう?」
お母さんは少し考え込むような顔をしたがすぐに僕の気持ちを理解してくれたらしく、納得した表情になった。
「しょうがないわね、じゃあ面倒は全部あなたが見るのよ?」
「はい!」
こうしてこの家で猫を飼うことになった。
猫は家の中で飼うのが常であり、どっかへ出かけてはしっかりとうちへ帰ってくるなかなか利口なやつなのだ。
そのことも含め、拾ってきたと言ってもいいだろう、たしかに猫は可哀想だった。
だが、僕はそこまでお人好しではない。
人じゃないが・・・
他の思惑というのは、要するに友達関係を築けたらいいなという考えの元だ。
こんな僕でも猫ぐらいなら友達になってくれるだろ?
そして、僕と猫の生活が始まった。
学校ではとにかく勉強に励む。
家に帰れば猫に今日あったことを話す。
すると猫は、
「ニャー」
と言う。
当たり前のことなのにこんなに嬉しいのはなぜだろう。
僕には両親がいるが、お父さんもお母さんも勉強はしているか?テスト何点だった?成績は大丈夫か?しか聞いてこず、日常のことなんて話したことなんて一度もない。
僕は世間話ができて嬉しいよ
そんなこんなで、テスト当日・・・
僕は矢のように過ぎて行く毎日をただただミーとじゃれあって過ごしていたわけ
ではない。
ミーとは僕が猫につけた名前である。
意味なんてありゃしないさ
朝ごはんを家族3人で食べて身支度をして準備万端だ。
「じゃあ、いっきまーす」
僕がそう言って出ようとすると、
「いってらっしゃーい、テスト頑張るのよ」
「いってらっしゃーい」
「いってらっしゃーい」
おお!なんだ?いつも返ってこない返事が返ってきた!
希望と喜びと疑問を抱いて学校へと
向かった。
日は流れ、テスト返却日・・・
当たり前のように僕は難なく100点を
取った。
まあ、勉強しかすることないし
お母さんはびっくりして今日は僕の好きな食べ物を作ってくれるらしい。
だが、僕はそれを断り、あることを希望
した。
「それでお願いってなに?」
お母さんは少し残念そうだが、まあ僕のお願いの方が断然いいに決まってる。
「これからミーと散歩しきていい?」
僕は高校生にもかかわらず門限が
5時なのだ。
まあ、さすが過保護とでも思ってくれよ
「しょうがないわね、今日だけよ」
こうして、僕と猫の夜の散歩が許された。
夜に家から出るのは久しぶりなので、体温と気温の差がよくわかる。
日は沈み、電柱の明かりがポツポツと灯り始めている。
行き先はどうしようか?
適当に公園でいいか、なにせ散歩だけなのだから。
ミーは僕と共に歩いている。
しっかし、改めて見ると本当に綺麗で恋に落ちそうなくらいだ。
と、僕が見ているのに気付いたのか、ミーは僕に顔を向けて首を傾げる・・・・なんて可愛いんだ‼︎
そいえば、ミーは道に出るなりキョロキョロしている。
そんなに珍しいものだろうか?
日中はいったい何をしているんだろうか?
いや、人・・・じゃなくて人と猫の価値観は随分と違うもんなのだろう。
さらに、続くミーの行動に僕はまあ猫ならという考えでスルーした。
何をしてたかというと、急に立ったり、走り出したり、止まったりだとか・・・考えてみると変かな?そう考えているといつの間にか僕たちは公園に着いた。
先程までは道を歩いているとだいたい人が歩いていたのが公園に入ると人一人いなくなったのだ。
僕はベンチに腰掛けそこでゆったりとしてミーとじゃれ合うことした。
ふとミーを見ると、僕の方をずっと
見ている。
なんだろう、なにか顔についてるのかな?
そのミーの顔にはなにか訴えかけているような視線を感じる。
というか、ミーが今にも泣きそうな顔だ。
2、3分見つめあった末、ミーがなにか急に溜め息をついた後のような顔になってきているのを感じた。
今度は泣くんじゃなくて溜め息顏?
すると、なにか聞こえてきた。
「ねぇ、ちょっといい加減気付いてよ」
どっからか声が聞こえてくる感覚・・・
「鈍感さん」
どっかのバカップルがいちゃついているのだろうか?
それにしちゃよく聞き取れるな
「テストで100点とってきたっていっても、実は頭悪いんじゃないの?」
僕の事を話しているようだ。
じゃあ、誰?
「私よ、私」
オレオレ詐欺なら聞いたことはあるが、ワタシワタシ詐欺なんてものは聞いたことが
ない。
「私よ、あなたが勝手につけたこの
いけすかない、なにかヨレヨレ感のある
名前のミーよ」
ミー⁉︎
えっ?なに?どういう………こと?
「こんにちは、一馬」
急に話出したこの猫ことミーは僕が理解するや否や挨拶を始めた。
いやいや、理解なんてこれっぽっちもしてないけど
「ねえ、なんでこんな寒い中バカみたいに外に出てあるかないといけないわけ?」
えーーーー⁉︎話出したと思ったら
愚痴ですか⁉︎
まだ、状況を理解できてないんですけど・・・
「え?なに?まだ理解できてないの?」
はい、なんかすいません
「これだから、人間は」
とミーは溜め息混じりに愚痴をこぼした。
「一ついい?」
なんでしょうか
「ミーってやめて」
どうして?
「キモイ」
え?なに?この猫、ギャルかなんかですか?
たしか今時の女子高生ってこんな感じだった気がする。
じゃあ、なんて呼べばいいの?
「そうね、まず自己紹介からいこうかしら、私の名前はアリス」
猫はどうもアリスというらしい
「あなたは?」
聞かれたので、答える。と・・・・
「知ってるし、言うなよ」
僕の自己紹介の意味は⁉︎
というか、なにこの漫才は・・・
「ところで、あなた私の言葉がわかるようね」
っと、そうだったなんでだ?
僕はついさっきまでアリスの言葉は全く理解不能……というかニャーとしか言ってなかった。
しかし、現に僕は猫の言葉がわかる。
何が起こっているんだ?
「そんなことどうでもいいわ」
よくないだろ、僕普通じゃなくなってるし
まあ、その応答は慣れてるから別に構わないんだが・・・
「私の話をちょっと聞いてちょうだい」
なんだか知らないが、急な展開にびっくりする暇ももらえないようだ。
後編がありますよ?




