第2話 心配の種と迷子の少女
「とりあえず、久しぶりかしらミズキ。」
「うん、久しぶり母さん。」
学園長室に着き、2人は久しぶりの再会を果たした。会話を聞く限り、学園長と呼ばれた女性と少年は親子のようだった。
「どうだった、旅の方はエデンに行ったんでしょう?」
「楽しかったよとても。危険な目にもあったけど・・・」
「怪我は?」
「・・・したよ。」
ぎゅっ
「母さん?」
「あまり、心配かけないで。」
学園長は、ミズキを優しく抱きしめた。そして、頭をゆっくりと撫でた。
「ごめんなさい母さん。」
「ううん。ミズキが無事ならそれでいいの。」
「あんたたち、親子でなにやってんの?」
「「えっ!」」
2人が、声のした方を見ると入り口のところに1人の女性が立っていた。
「奈々~、いくら可愛い息子だからって手を出しちゃダメでしょう。」
「な!////何言ってんのよ!理奈そんなわけなんでしょう!」
「ふふっどうだか。君が、ミズキ君ね。初めまして、桜井理奈よ、ちなみに独身♡」
「ちょっと理奈!ミズキを誘惑しないでよ!」
「あら~別にいいじゃん。」
学園長室に入ってきたのは、この学園の教師の桜井理奈だった。学園長を名前で呼んでいるあたり、2人は親しい関係にあるようだとミズキは思った。
「桜井先生。初めまして、綾月・L・ミズキです。」
「桜井先生なんて固いわよ。理奈先生でいいわよ、みんなそう呼ぶから。」
「は、はい、理奈先生。」
「ふふっ可愛い!」
ぎゅっ
「あわわ・・」
「あ~ん、もう本当に可愛い。」 すりすり
理奈はミズキに抱きつき、頬擦りをしてきた。そして、それを見た学園長こと奈々はすごい剣幕で迫ってきた。
「理奈!いい加減にしなさい。ミズキから離れて!」
「ぶ~ケチ!」
「大丈夫?ミズキ、何もされてない?」
「うん・・・大丈夫。」
奈々は、理奈をミズキから引き離し、ミズキが何ともないか確かめた
「理奈!」
「もう、大丈夫だって2割冗談なんだから。」
「それ、ほとんど本気ってことじゃない。」
奈々と理奈が、学園長室のなかで騒ぎだす。それを見たミズキは、2人を止めに入った。
「母さん!理奈先生もやめてください!怒りますよ!」
「「はい・・・」」
ミズキの言葉で2人は大人しくなった。そして、反省した理奈は、気を取り直してミズキに言った。
「それじゃあ、ミズキ君そろそろ寮に行こうか。」
「はい。」
ミズキは、理奈に連れられて学園長室から寮へと向かった。
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「でも、本当にいいでしょうか?」
「う~ん・・・こればっかりは仕方ないことだし・・・」
テオタナシアを始めとする魔法学校はすべてが全寮制だ。ゆえにミズキも寮に入らなければならないのだが、問題が1つあった。
「俺なんかが、女子寮に・・・」
そう、女しかないこの学園には女子寮しかないのだ。にも関わらず、ミズキはその女子寮に入らなければならなかった。しかし、ミズキの心配は他にもあった。
「まぁ、大丈夫だとは思うんだけど・・・やっぱり心配だよね?」
「はい・・・」
魔法学校は、大きく分けると初等部、中等部、高等部、大学部の4つに分類されており、それらがすべて同じ敷地内にある。そして、多くのヴァルキリーは初等部から学んでいる。その為、親以外の男性との接点が極端に少ない環境で育ったためかヴァルキリーには男嫌いや男性恐怖症と言った人たちが少なからずいる。
「大丈夫よ。うちの生徒に差別するような子はいない・・・・と思う。」
「何とか頑張ってみます。」
「ごめんね。」
ミズキはこの先の事を考えて不安いっぱいだった。そして、5分くらい歩いて寮についた。
「ここが、高等部の寮よ」
「で、でかい!」
「まぁ、生徒数が多いからね。このくらいじゃないと。」
ミズキの前にはえっ!これって校舎?くらいの大きい建物が建っていた。
「さぁ、入るわよ。」
「はい。」
2人は寮の中に入っていた。
「わぁー、中もすごい豪華!」
「そうなのよね。結構お金掛かってるのよ。」
ミズキは中に入って、さらに驚いた。寮とは思えないほど豪華かな作りになっていた。
「それで、俺の部屋はどこなんですか?」
「こっちよ。」
理奈は寮の奥の方に向かっていった。そして、ミズキはその後をついて行った。
「この部屋よ。」 ガチャ
「広っ!」
ドアを開くとそこには、とても1人で使うには広すぎるほどの部屋があった。
「・・・広すぎませんか?」
「しょうがないのよ。ここしか開いてなくて。それになるべく女子とは離れてた方がいいでしょ。」
ミズキの部屋は、寮の奥の方にあり、他の部屋とは少し間がある位置にあった。
「荷物はもう来てるでしょう。それじゃあ、後はよろしくね。」
「はい。ありがとうございました。」
そう言って、理奈は寮を後にした。
「さてと、片付けますか。」
ミズキは、さっそく部屋の片づけに入った。とは言っても持ってきた荷物は少ないかったのでそんなに時間は掛からず終わってしまった。
「う~ん、片づけが終わったら暇になったな。」
片づけが終わってしまいミズキは、暇を持て余してしまっていた。明日まで特にやることがないので何をしようか考えていると1つ思い浮かんだ。
「散歩しよ。」
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思い付いたこととは散歩だった。ミズキの考えでは、早く学園の敷地内の地理を覚えたいと思ったからだ。
「やっぱ、広いな。」
外に出て散歩をしてみると、改めて学園の広さを実感した。そして、敷地内をだいたい周り終わると夕方近くになっていた。
「それにしてもこんなに広いと、初等部の子とたちとか迷子になるんじゃないかな?」
ミズキは、そんな心配をしながら寮への道を歩いていた。そして、もう少しで寮に着こうと言う時に事件は起こった
ぎゅっ
「ん?」
突然、服を引っ張られる感じがした。ミズキが後ろを振り向くとそこには泣きながらミズキの服を掴んでいる小さな女の子がいた。
「ひっく・・・うっぐ・・・」
「え~と?もしかしなくても予感的中?」
「うう・・・ひっく・・」
「はいはい。どうしたの?ほら、泣き止んで。」
ミズキは、膝をついて女の子と目線を同じにした。そして、頭を優しく撫でて涙を拭った。
「ひっく・・・おうちどこ?・・・グス・・・」
「おうち?・・ああ!寮のことか。えっと確か・・初等部の寮は・・・」
ミズキは、さっきの散歩の途中に見かけた初等部の寮の場所を思い出していた。そして、ミズキの服を掴んだまま離さない女の子を初等部の寮に連れて行ってあげることにした。
話を聞くと、午後の授業が終わり、放課後になってクラスのみんなと寮へ帰る途中、ちょっと余所見をしてるうちに置いて行かれてしまったのだと言う。
「まだ、入学したばかりだしね。道に迷うのをわかるよ。」
「うん・・・」
2人は、手を繋いで初等部の寮への道を歩いていた。すると、ミズキはふと気付いた。
「そう言えばまだ、名前言ってなかったね。俺の名前は、綾月・L・ミズキ。君は?」
「・・佐倉澪・・・・」
「澪ちゃんか。可愛い名前だね。」
ミズキが、そう言うと澪は顔を赤くした。そして、10分くらいで目的地の初等部の寮に着いた。
「はい、到着。よかったね、澪ちゃん。」
「うん。ありがとう、お兄ちゃん。」
「いいよ。それじゃあ、バイバイ。」
「バイバイ。」
ミズキは、初等部の寮の玄関で澪と別れた。そして、急いで高等部の寮へと帰って行った。
はい、第2話でした。どうも、Theaterです。
ちょっと間が開いてしました。勘弁です。最近、仕事やら飲み会やらで忙しくて・
・・・
その他も、設定やら何やらがまとまってないので考えるのがたいへんです。何とか
更新速度をあげたいと思うのでまぁ、期待しないでお待ちください。
では次回、第3話で会いましょう。