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~助立部英雄伝~  作者: 銀蝶 ことぶき 黒猫
4/5

第二話、「さぁ、立ち上がれ勇者たt「なんだそれは。」

ー*全生徒の前で宣言した翌日*ー


高校…2ーB



朝登校した晶はあっという間にクラスメイト達に囲まれた。


あちこちからかかる鬼気迫る質問に聞こえた分だけ応える。


主に鬼気迫るのは女子達である。

理由は至極簡単であり、晶の容姿が整ったものであるからだ。


例え寝癖のまま登校していてもその容貌は隠しようもない。


眠そうな目は深い海のような色合いで、それが晶の白い肌に酷く印象的だった。


しかし集まっているのは女子だけではなく、前々から晶と話してみたかった男子生徒達もいる。


あっという間にできた人垣にどうしようかと悩んでいると、後ろから声がかかった。


「はよっす。おー。今日は人気者だなぁ晶。」


振り返ると、そこには見慣れた人間が立っていた。



「ーー…あきら。」



明るい、オレンジに近い茶髪に大きめな瞳。


美形、というよりは愛嬌ある顔立ちの、軽そうな男子生徒は、晶の親友の1人である。


ーー…宮下みやした明。


いわゆるチャラ男である。


「よ!昨日は凄かったな。驚いたぜ?…みのちゃん、浮気?あの日俺だけと誓ったのは嘘だったのか…。」


「いつ誓ったの私!?」


よよ、と泣き崩れる明は上手いこと話題を晶からそらしてくれた。


「…ありがとう、明。」


そもそも他人とコミュニケーションをとるのは不得手な晶だ。


この状況は好ましい。


「気にすんなよ。お前がこういうの苦手だって知ってるしな。」


にっと笑う明に、晶もまた微笑み返す。


今度は別の話題で盛り上がり始めたクラスメイトに水をさしたのは1つの放送だった。




♪ピンポンパンポーン♪



放送のチャイムに教室内が静まり返る。響いたのはのんびりとした低い声だった。




「えー連絡しまーす。大学1年、ノミヤカゲトキくん。至急日比野理事長室にきて下さーい繰り返しまーす。大学1年、ノミヤカゲト「てめえ日々野ぉーー!!!!」


バーーーン!!

けたたましい音が響き渡る。


「あ、ヤバ…っじゃ、至急だからね!」



♪ピンポンパンポーン♪




「「…………………。」」



教室内が別の意味で静まり返った。


そんな中、1人だけ…晶の隣にいる、明だけが呟く。



「…ノミヤ、カゲトキ…?」


「ーー…明?」


不思議に思い名前を呼ぶと弾かれたように顔を上げて駆け出した。


「悪い晶!先生きたら誤魔化しといて!!」


流石にサッカー部なだけあり足は早く、晶はその後ろ姿を見送った。


「…ノミヤカゲトキ…?………。」


記憶の中を探る。確か何処かで聞いた名前だ。


ふ、と思い出す。そうだ、確か。






大学…1ーA


「あー。俺か。」


静まり返った教室内で1人の青年が面倒臭そうに立ち上がる。


男にしては長髪で、肩にかかっている茶色味を帯びた黒髪は青年の白い肌に映える。


切れ長の瞳は漆黒で、下縁の黒い眼鏡をかけているからかはたまた、底が知れない。


顔立ちは美形の類いであり、どこか華のあるパッとした印象の青年の袖を引いたのは、美しい黒髪に鋭い目付きの、青年より背丈が少し小さい、翳りのある美形の友人だった。




「ん?どうした哀人。」




不思議そうに青年が振り返る。


哀人は不機嫌そうにぼそりと呟いた。例え眉間に皺を寄せていても美形というのだから不思議である。



「…何故あの童顔タヌキに呼ばれた。」



童顔タヌキ?

首を傾げ、すぐに正体に気づく。


日比野 さとるのことである。



彼の童顔は超絶級だ。大学生に紛れていても見つからないほどに。


更には高校生の体育の授業に紛れこんだ武勇伝(←?)すらあるほどに。


タヌキ、と言うのはそのままの意味である。

あの男の童顔に騙されてはいけない。


日比野は強欲者であり、更には他人の嫌がることを素でやってのける。


そんな男は全校集会でもどこでもあんな調子である。

哀人ははっきり言って日比野が嫌いだ。


いやあんな男を好ける奴いたら尊敬できるが。


「あー。ちょっと心当たりはあるかな。多分。」


答えになっていない答えに哀人は目の前の青年ーー…


野宮のみや陰刻かげときを睨んだ。


この男はこうやって人を煙にまくのが得意である。第三のタヌキと呼びたいほど。


第二のタヌキについてはまた後日。


「んじゃあな〜。あいつ直ぐ行かねぇと五月蝿いんだ。」


まるでどこかの女とデートに行くような気軽さで陰刻はひらひら後ろ手を振り去っていく。


それをしばし見送って、哀人もまた教室から出た。




「………なぁ、哀人。」


生真面目そうな、髪は長めの耳を隠す程度の茶髪。瞳は至って穏やかな鳶色とびいろであり、黒いシャツに白いパンツ姿の青年。


その青年が自分より1つ年下の桜井哀人に聞いた。


「なんだ。簡単かつ簡潔にまとめろ。」


「………盗み聞きは、止めた方がいいんじゃ………。」

ただいま理事長室前廊下で緊急会議中。


「…あの童顔タヌキが何をいうか気になるだろう。」


渋面を作りながら哀人はぼそりとぼやく。


「つうか、あの…。」


哀人はふと隣の軽そうな男子生徒を見た。


宮下明である。



「…なんでこんな大勢?」


明は怪訝そうに自分の周りにいる青年達を見回した。





1人は黒髪黒目のぞっとするほどに美形の男。

どこか冷たい印象を受ける。

黒を基調とした私服は異常なほど男にあっていた。


同じく黒髪黒目の男がいるが先程とは違う美形である。

どこか色気をかもしだすのは和服のせいか天性か…。

しかしどこかで見た風貌である。


茶髪が耳を覆い隠す位長めの男はどこか気弱そうな、それでいて生真面目そうな雰囲気で、ラフな格好をしている。

顔立ちは整っているが美形、というより優しげな面立ちである。


更にもう1人、くすんだ茶色の髪に群青色の瞳の、顔立ちは整っているのに、その服の着こなしがよれよれという残念な男。


計五人の男が円を描いて座って会議って、なんだそりゃ。


「それは私が聞きたい。お前誰だ。」


ぞっとするほど冷たい声。


敵意、を行き過ぎた殺気にも近い重い雰囲気に明は圧されたが、すぐに答える。


「…宮下明、です。陰刻、呼び出されたじゃないすか。」


「関係あるのか貴様に。」




貴様!?貴様呼ばわり!?初対面なのに!


心の中で思いっきり突っ込んで明はぼそりと呟いた。



「…一応、従兄弟です。」



「…従兄弟?彼奴あいつにそんなもんいたのか。」


ざくざくと斬り伏せていく美形の男。ヤバい、言い返せない。


…というかやっぱりあいつ秘密主義かよ。


「…まぁ、それより貴方方は?」


「…………ただの同級生「元助立部だったんよ。今でも仲良しやで?」…おい、武人たけひと。」


和服の色気ある男性がゆったりとした大阪弁で話す方を不機嫌そうに美形の男が向いた。


「別にええやんか。嘘やあらへんし、この子が嘘つく必要もあらへん。…で、明くんやったね?」


「え?あ、はい!」


急に呼ばれて少し慌てる。


「陰ちゃん心配して来たんやったら俺らも同じやで。せやからそんな不審がらんでえぇ。」


「へ?………あ、いやそんな訳じゃなくっ…もがっ!「静かにしろ馬鹿。ここは広いと言っても理事長室しかないんだ。でかい音を出せば気づかれる。」


明の口を異様に細長い綺麗な手で防ぐ(というより叩きつけるように)美形の男。


「あ、ちなみに今君の口防いどんのは大学1年、桜井哀人。哀ちゃん。で、こちらが…。」


ちらり、哀人に視線を向けるとあちらも一瞥を送り手を口から離した。


和服の男が手のひらを優しげな面立ちの男に向ける。


吉成よしなり祐輝ゆうき。大学2年だ。まぁ、よろしく。」


眉尻を下げながら苦笑するように微笑む祐輝に会釈して和服の男に視線を向ける。



「俺は萩平はぎだいら武人。祐輝と同じく大学2年や。以後よろしゅうな。」



ふっと微笑むその姿は頬を赤らめるに十分である。


「おーい。俺忘れてないかーい?」


よれよれな着こなしの男が初めて発言した。


「あ、忘れとった。こいつは大学1年、荒島あらじまそら。…空ちゃん影薄いんよ。忘れててもしゃあないわ。」


「お前ら本っ当に俺に対する態度酷くない!?」


「黙れ馬鹿が!!聞こえたらどうする!!!」


「あ、哀人…!お前も音量下げろ…!」


なんとも濃すぎる(騒がしい)面子がそろった。



「「…………………。」」



しーーーん。


豪華そうな扉はぴくりとも動かない。


ほっ、と誰かが息をついたのを引き金にふと、明が言葉をもらす。



「…そういや、日比野理事長なんで陰刻を呼び出したんだろ………。」



「それだ。」


明の唐突な疑問に直ぐ様応えたのは哀人だった。


「………あいつ、去年の夏辺りから結構呼び出されてるぜ。」


そこに追加される情報提供をしたのは空。


「…夏?なんでまた…。」


怪訝そうに首を傾げる武人。哀人は無言で立ち上がった。


「ん?おい、哀…哀人!?」








なんとそのまま哀人は扉に近づこうとした。


「そこで議論していても始まらん。会話の一部でも聞くしかないだろう。」


一度足を止める哀人に祐輝は近付き必死に止める。


「だけどここは一本道なんだぞ?もし見つかったら…。陰刻が心配なのは分かるが、見つかった時、困るのは…。」


陰刻なんだぞ、と続けようとした祐輝の言葉を遮ったのは張本人だった。


「誰があいつのことを心配しているんだ!俺は日比野の動向が気になるだけだ!!」


(……しまった…!火に油を注いだ…!!)


祐輝が後悔するのも遅く、哀人はずかずかと扉に近づいていった。



「…なんで祐輝は哀ちゃんの怒りのツボをつくんが異様に上手いんやろか…。」


「ある意味天才だなあいつ…。哀人、一人称変わったし。」


「えぇぇ、冷静に突っ込んじゃうんすか…?」


上から武人、空、明の傍観者でした。



あわあわと哀人の後ろ姿と傍観者三人組を交互に見返し、祐輝はなんとか哀人を止めようと名前を呼ぶ。


「哀人…ーー…!!」


「何だ!」


イライラと哀人が振り返った。


顔を青ざめている祐輝と、曲がり角の先にいる三人組の驚いた顔が視界に映る。


宮下明とかいう奴がこちらを指差し、口を酸欠の金魚のように開閉させている。


……………何だ?


眉間に皺を寄せた頭上から、聞き慣れた声がかかった。


「…あ?哀人?なんで居んの?お前別に呼び出されてねぇだろ?」

「………。」


ぎこちなく、振り返る。


自分より(腹が立つが)高い背丈。


不思議そうに首を傾ぐ、妙に幼い動作。


「………陰、刻。」


「?おう。…ん?祐輝も武人も…明?なんで居んの?」


「俺は!?スルー!!?」


空の悲痛な声は全ての人間にスルーされた。




「…………………と……。」




「…と?」


哀人がなんとか誤魔化そうと頭を巡らせる。


…が、幾ら天才と言えどもたかが天才。


いい言い訳など考えつかず。



「…通り、すがりだ……。」



((Σ嘘つくの下手すぎるーー!!ここ高校の校舎だよ!!!))←明&祐輝&空


「え?通りすがり?ここ高校の校舎な………。」


陰刻はあー、と呻いて、うん、と頷いた。


「あー成る程、通りすがりな。うん。じゃ、日比野に見つかる前に退散しようぜ。な?」


どうやら哀人達の意図に気がついたらしく、陰刻は哀人を促した。


「流石に哀人の操縦に慣れてんな。」


「上手いで陰ちゃん。ナイスやわ。」


「えぇぇ、ちょっそれでいいんすか………?」






ーーそんなこんながあった放課後ーー


高校…2ーB


「…明?大丈夫か?疲れきった顔をしてるぞ?」


顔を覗きこむ晶に明はうん、と頷いた。


「ちょっと、朝な…。色々あって…。そういやお前先生になんて言った誤魔化したんだ?」


机に突っ伏した姿勢を正し、明は晶に尋ねた。


「ん?あぁ…。


明のおじいさんのお母さんの従兄弟の孫の母親の愛人の娘の遠縁のおじさんじゃなくておじいさんのお店に通う常連客の隣の客はよくカキ食う客だその人は坊主が障子に上手な坊主の絵を書い「ちょっとストップ。」…?」


一度もつっかえることなくスラスラ謳いあげる晶を止める。


「………お前、それ、自分で考えたんじゃねぇよな?」


「あぁ。…まだ続くぞ?」


「いやもういい。それ、誰に聞いた?」




「桜井とクラスメイト。」




「てめぇらあああぁあぁ!」





明の絶叫が教室に響き渡った。


「いや〜考えたら止まらなかったんですよ〜。天宿くん覚えるの速いのなんの…。」


「桜井さん!?!晶に何を吹き込んでんですか!?」


ガラッ


「おー。賑やかなこった。」


「楽しそうやねぇ。」


ずかずかと私服二人組登場。

…更に後ろにいるのは。


武将たけまさ…と?」


「げっ陰刻!…と、武人さん。」


晶と明の台詞が重なる。


武将は晶と明の親友である。


黒い前髪で半分以上顔は隠れており、表情は知れない。


口数が少ない上、目付きが悪く、更に鉄パイプを常備しているため学校の生徒達には恐れられている存在である。


しかし話せば分かるが、優しい人間だ。色々と理由があるのと元々話し好きではないからそうした態度をとっているだけなのだ。


「んぁっ?そういや『萩平』って!じゃあ、あの武人さんって!?」


「………俺の…兄貴…。」


武将の名字はまさしく『萩平』である。

というか聞いた時気づかなかったのがおかしいのだが。


「嘘!?」


「あのー。話が見えないのですが…。」


春が晶の背中をつつくと晶はあぁ、と小声で答えた。



「武将の家はヤクザなんだ。」



「……………は?」


「結構有名だぞ?仁を尊び義を用い、礼を重んじ智を学ぶってな。」


晶の代わりに応えたのは陰刻だ。


「ま、いいヤクザってことかね。…父親と息子二人、子分十数人以外は腐ってるがな。」


「はぃ?」


「…まぁ家ごとに色々あるってことさ。そうだろ?桜井妹。」


意味深げに笑う陰刻を睨み付け、春は吐き捨てた。


「…意地が悪いですね。聞くなっていえば聞きませんよ。」


「そうか、そりゃ失礼。お姫様は探求心が強いってのが相場でね。…賢い奴は好きだぜ。」


「そうですか。私は喜ばしいことに貴方のこと嫌いです。」


晶は既に自分が話すことはないと判断したのか武人と話している。


…ならばこの男に遠慮することはない。

自分のせいで誰かがとばっちりを受けなきゃそれでいい。

くくっと低い声が笑う。


本当に楽しそうに笑うのだな、全く腹が立つ。


「そりゃ光栄だ。……25点、かな。」


ぼそりと小さく呟いた陰刻の声を聞き、春は問い詰めた。


「……何が25点なんですか?」


「うわ、地獄耳。何ってあんたの点数。」


「…50点満点で、ですか?」


「残念。100点満点中だよ。」

愉しそうな陰刻とは反比例し機嫌がますます下がっていく春。



「もう少し相手見て喧嘩売るこったな。だから……


…比べられるんだ。」


かっとした。まさか、初めて会った相手に、自分の劣等感を、正にピンポイントに付かれるとは思わなくて。


「ーー…っ!」


きっと、今の自分は酷い顔になっているだろう。

他人事のようなぼんやりとした思考がよぎった。



ーーーーー…くしゃり。



何処か優しげに、頭を撫でられた。

子供のような扱いに恥ずかしくなると同時に安心した。


「まぁそろそろいいだろ。助立部緊急会議だぞー。天宿と桜井妹は部室集合。」


「…わざわざ呼びに来たんですか。」


「おー。行くぞー。」


「じゃあな武将。ええ子にしとるんやで。」


「………子供じゃ、ないんだから…兄さん……。」






ーー助立部部室ーー


(キャラ一杯なんで台詞の前に名前がつくよ!)


哀「遅い。」


扉を開けた瞬間の一言がそれだった。


陰「まぁいいじゃねぇか。おいそこどけマスコットニシニャン。…長いな。マスニャン。」


空「おい陰刻。違うだろう?マスニシが正解だ。」


空が助け船を出したかと思いきや泥舟だったという悲しい現実に咽び泣くニシニャン。


陰「あ?いやだってなんか魚にそういうのいなかった?」


晶「…それニジマスですよ。」


優「というかまだその格好してたのニシニャン。」


春「気持ち悪いを通りすぎた気持ち悪さですよ。」


そろそろ心折れそうなマスコットニシニャンに応援をよろしく☆


哀「その変態のことはどうでもいい。」


祐「哀人!もう少し柔らかく言ってやってくれ!」




人「祐輝。それフォローになっとらんで。むしろトドメや。」



ニシニャン♪「俺の味方は居ないのか!!?」



陰「えーそれでは第一回助立部緊急会議を始めまーす。」


パチパチパチパチ…。


ニシニャン☆「無視!?!」


哀「黙れ変態。マスコットらしくしてろ馬鹿が。」


陰「マスコットが静かになった所で再開しまーす。えーぶっちゃけ…。」


しーーーん。静かな部室。




陰「依頼そのものがきておりません。」




優・祐・空「「駄目じゃ(ないか)ん!!!」」


陰「まぁ約1年放置してありゃ当然かなーと。」


春「全く何してたんですか?ただの無能と一緒ですよそれ。」


哀「無理やり入れられたんだ。文句を言われる筋合いはない。」


陰「はいそこ喧嘩しなーい。そして天宿寝んなー。空起こせ。」


空「俺かい!…おーい。天宿ー。寝癖ー。ヘッドフォーン。」


晶「………ハイドン……。」


優「ぐっすりだね。ねぇ失空太(空くんバージョン)。ハイドンってなに?」


空「え?よーいどんの違うバージョン?」


陰「おい馬鹿共。…まぁんじゃあ仕方ないから押し掛け女房ならぬ…。」


ホワイトボードに赤ペンできゅっきゅっと書き込む陰刻。


字はすっきりしていて見やすかったが………。




陰「突撃☆隣の助立部〜!」



哀「押し掛け女房関係ないだろう。」




優「問題はそこじゃない!」


空「完璧パクりじゃん!!」


総突っ込み(一部ずれてる)にあぁ?と不機嫌そうに陰刻は眉をよせた。


陰「うるせぇな。大体この助立部だってそもそもとある漫画からのパ」




晶、陰除く全「「Σそう言う裏事情を言うな(言わないで下さい)!!!!」」




危ないトコロを危機一髪でかわした(?)助立部であった。







陰刻が司会だと色々危ないので空に変更。


………人選ミスである。


哀「やっぱりじゃんけんで負けた奴は駄目だな。勝った奴にしよう。」


春「そもそも運のない人がそうなっちゃうんですよね、やり直しましょう。あの人抜きで。」


空「俺を否定する発言なんですが!!そんな時に息を合わせないでそこの兄妹!!」


優「頼りない。」


晶「無駄に五月蝿い。」


人「空ちゃん空気読め。」


空「なにこの集団リンチ!?年下からもこの態度!?陰刻!助けて!!」




陰「うるせぇ。」




空「トドメキターーー!!」






優「ゲームオーバーじゃん。」


陰「簡単にトドメさされんなよ。」


人「諦めた方がええで?」


空「バカ野郎リトライだ!!」






空「ここは決まり文句で先手を打つ!行くぞ!」


春「……………………………………………………………………………………………。」


空「かなり長い沈黙が痛い!」






陰「メンタル弱すぎんだよお前。最短終了じゃねぇか。」


優「臨機応変に対応しろよ。全く駄目だな失空太は。」


人「もう終われや。」


空「うるせー!コンティニューだ!!!」






空「第一章!!」


祐「え…二章あるのか?」



空「さぁ、立ち上がれ勇者たt」哀「なんだそれは。」






強制司会終了を言い渡された空であった。




陰「えーまぁ司会に返り咲きしました。とりあえずよろしく。」


祐「絶対危ない発言するなよ。」


陰「努力する。んじゃ、最初のターゲットは…。」


春「え、さっきの突撃やるんですか?」


陰「他に意見あんのか桜井妹。…新聞部だな。」


優「新聞部…?なんで?」


晶「…一番忙しい部活だろう?それに上手くいけば新聞部で宣伝もしてくれる。」

陰「そーゆーこと。損得なしだろ?だけど上手くいかせられなきゃ問題だ。悪い評判書かれたら身もフタもねぇ。」


哀「だから今回は大学生達も集まっての活動なんだ。」


人「万が一、ヤバいことになった時のためや。」


春「すいません、邪魔しかされない気がするんですけど。」


晶「……………同意。」


優「うん。特に失空太辺り。」



陰「お前らに遠慮っつう言葉はねぇのか?」


空「指名すんなアポ毛!!」



人「心配せんでや。空ちゃんの手綱はしっかり持っとくで。


ーーー…………祐輝が。」



祐「俺か!?」




哀「…ただ見学するのと一緒だ。困った時や聞きたいことがある時だけ力を貸す。まぁ、そんな時がないことを祈る。」


春「………兄上?」


哀「そこまで低能ではないとは思うがな。」


春「ーーー………っ」


ガタン、音を立てて立ち上がる春。



晶「………?桜井?」


春「もういいです。行きましょう。貴方達の助けなんかいりません!」


晶「おい、桜………。」


優「はるるん、どしたの………ってあの、ちょっ…。」


男二人引きずられ退場。



陰刻が溜め息をつく。


「あーあー怒らせやがって。苛々してるからって八つ当たりすんなよなぁ。」


「…五月蝿い。」


むっとして言葉を返す哀人を横目で見て、陰刻は武人に手を振った。


「………武人。先行ってて。」


「解ったで。祐輝。空ちゃんも空気になっとらんで行くで。」


「…ああ。」


立ち上がる祐輝と、ぶつぶつと文句を溢す空は武人と共に出ていった。



「………妹だからって傷つかない訳じゃないんだぜ?他人じゃない分余計傷つく。」


「…………………。」


「哀人。」


「………謝る。分かっているさ………。」


「よしよし。前のお前じゃ考えられないな〜。桜井妹がどんな反応すっか楽しみだ。」


うきうきとした陰刻に、まさかその顔みたさに自分をたしなめたんじゃないだろうかと思う哀人であった。


「その、呼び方。」


「ん?哀ちゃん?」


「…………………違う。…春の方だ。わざとか?」




「…あぁ。」




ふっと翳りの帯びた微笑みは、悪魔の微笑とはこの事かと思わせる程に魅惑的であり。


全てを嘲笑うような、失笑や嘲笑すら感じさせる氷のように冷たく輝く程に圧力があり。



いつも、哀人は思うのだ。



あるいは、悪魔や魔女などと称されるに相応しいのは、目の前にいる男ではないのかと。




「なに考えてんだ?ほら、行くぜ?」



くしゃり、頭を子供のように撫でられ気恥ずかしくもあり、このままその優しさに溺れて仕舞うのではないかという不安が混じる。


ーー…けれど、この感情を覚える度に何処か安心する自分は歪んでいるのだろうと自嘲する。



「…あぁ、そうだな。」


応えるその顔に、微笑みを浮かべているのを知るのは陰刻だけ。




ーー新聞部部室前ーー



「…………。」


勢いで来たはいいものの、早速春達は行き詰まっていた。


そもそも押し掛けて仕事をこなすのだ。常識をもった春がそんなことできるはずもなく、また優太も晶も同じく。


「ねぇーはるるん〜。やっぱ戻ろう?嫌なら僕が走って行って助け呼ぶからさー?」


それが今出来る一番のことなのだろう。


しかし春は意固地になっていた。そんな説得右から左に聞き流す。


「……嫌です。」


「…じゃあ踏み込むか?」


「…無理です。」


「じゃあひとっ走り…。」


「駄目です。」


嫌・無理・駄目の三拍子そろった。


晶と優太は現実逃避にそんなことを考えた。


「はるるーん!意地になったって仕方ないでしょー?」


クイッと袖を引っ張る優太の方も向かず、春はただ首を横に振るだけだった。


「………優太。いい。行ってこい。」


晶が優太の背中を軽く押す。


いいの?と優太が目で訴えるのを首肯する。


軽やかに走り去っていく優太を見送る晶に、春は声をかけた。


「……嫌がらせ、ですか?」


「そんなつもりじゃなかったが。お前がそう思ったんならそうかもな。」


淡々と話す晶に何処か苛立ちをもつ。


「……………どうせ、意地になってますよ。感情だけで動いてます。そんな、簡単に割りきれる訳ないんですから。」



「…それを俺に言って何か変わるのか?」



あぁ、全く腹が立つ。


八つ当たりだ、なんて分かってる。


子供っぽく駄々こねているだなんて、知っている。


ーー…それでも。


「変わる、訳ないじゃないですか。」


誰よりも痛いほど分かってる。


「分かってますよ、そんなのーー…!!」


でも、簡単に振り切れる訳もなくて。





「…私は、あの人じゃないんですーー…!」


そんな、簡単に割りきれる感情なんて生憎持ち合わせていない。


「私は、私なんですーー…!!」


お願い、比べないで。


私という、個人をーー…。




「何言ってるんだ?当たり前だろう。お前はお前だ。」




あっさりと首肯された。



「…………………………………………は……………?」



あっさり?…あっさり。


あまりにもあっさりとしすぎており、怒りさえ感じる。


私がそれで何年悩んだかーー…!!私の苦悩返せ今すぐ!


理不尽といえば理不尽で、仕方ないといえば仕方ない感情が渦巻く。




「お?何や修羅場かいな?」


かん、ころ、かん、と下駄を鳴らしやってくる和装の男とアホ毛。


「え!?まさかの関係!?うっそやだ水臭い!言ってくれれば協力した「優太くん、それ以上言ったら、絞めますよ…………………………?」




ーーー…何を?




誰も何も言えなかった。







「おーい…。………なにこの状況?」


陰刻と哀人が合流するときには、そこは阿鼻叫喚の地獄絵図になっていた。


「あ゛ーーーっ!はるるんたんま、たん…ま゛ーーー!!」


「絞めとるな。きゅっと。」


「と、止めないのか…?」


傍観者と化した武人に祐輝が聞く。


すると返ってきた答えは、


「止めたいんなら止めたら?一応言うとく。死ぬで?」


…正当であった。


「………あぁ、止めておく。」


言葉は同じと言えど意味は違う。


嗚呼言葉って難しい。




「ちょーーっと!人の部室の前でなーに騒いでる訳!?」



更にヒートアップするかと思ったその時、甲高い声が響き渡った。


「お?チビじゃん久しぶり。」


陰刻の視線の先には、佇む1人のーー…少年(?)がいた。


赤みの強い髪はショートにそろえられ、瞳は赤茶。その顔立ちは愛らしい、と称されるに相応しい。


古めの形式の茶色い帽子をかぶり、眼鏡をかけ半ズボンを着た………。



この中で一番背の高い武人を見るのに首を目一杯上に向かせなければ駄目な位、背丈は低い。


「誰がチビよ!誰が!!これでも伸びたんだからね!」


「ほー。何cm だ言ってみろ。」


「うぐっ………。れ、0.2cm……………。」


「ふーん。俺2cm伸びたから。」


「あんた何処まで伸びんのよーー!!5cm位分けなさい!」

「知り合いか?このチ………チビと。」


「哀人。それ言い直した意味がない。」


「おいおい。2年の時依頼を受けただろ?」


「チビじゃなーい!!陰刻!あんたいい加減にしなさいよ!!」


「え?今の俺じゃないだろ?理不尽だ。」


「そっちは怖いから嫌!!」


哀人の冷たい零度の視線を避けるように、その少年は陰刻に詰め寄る。


「あのー…。そろそろ、いいですか?そちらの、男の子は…。」


春の言葉に大学生達が黙る。


「………え?なんですかこの空気。」


「さぁ。つうか失空太完璧空気になってる。」


「うっせぇ。俺のターンがこねぇんだよ。」


苦笑いをしながら陰刻が少年に話しかけた。




「ーー…良かったなぁオトコノコ。ちゃんと男の子に見えるってよ?」






「ーー…っ私はっ女よーー!!!」




「「えぇっ嘘!!??」」



水無みずなし林檎りんご!!新聞部部長、高校3年よ!!!」



「「更に言えば年上!!?」」



優太と春の突っ込みは綺麗にそろった。




「ちょっと。五月蝿いですよ部長。絞められたいんですか?」


「あ、なんかちょっとデジャブ」


優太の呟きに振り返るとそこには儚げな美人が立っていた。


少し色素の薄い、クリーム色の肩にかかる髪。

茶色の瞳には知性的な光が宿っている。


ほっそりとした、かつ威厳のある彼女は林檎を見て、ついで陰刻を見た。


「…お久しぶりですね、野宮先輩。」


「よぉ星波ほしなみ。久しぶり。あの後調子はどうだ?」


「上々ですよ。…ここじゃなんですから、どうぞ。」






「ほわー。本格的っぽい…。」


優太の驚いた声に林檎はふふん!と胸をはる。


「当たり前でしょ!全校生徒にリアルタイムでニュースを送り届けるんだもの!手を抜いてられないわ!」


「ご紹介が遅れました。私は星波由梨ゆりと言います。高校3年、ここの副部長をしています。」


人数分の茶を淹れて、由梨はさて、と陰刻に問う。


「一体なんの用ですか?まさか助立部関係では。」


ありませんか、と続けーー…られなかった。


ドガッシャーンと派手な音を立てて、カメラを2〜3台巻き込み、かつ原稿用紙をばらまいて転んだ男子生徒のせいで。



「あぁっ!海也かいやーー!またあんたはーー!!カメラ壊したら弁償だからね!」



林檎が悲痛な声を上げて、海也と呼ばれた男子生徒に駆け寄る。


その間由梨は頭痛がする、とでも言いたげにこめかみに手を当てた。


「oh…sorry(あぁ、すいません)部長…。ただちょっと、そこの資料を取りたくて…。」


綺麗な発音で流暢な英単語を話した海也は立ち上がる。


あれだけ派手な音を立てた割には、青年に怪我はない。


「あ、こいつは牧野まきの海也。1年で帰国子女よ。」


林檎の紹介に海也はピョコン、とお辞儀をした。


ついで全員を見渡すと、感激したように叫んだ。


「wow!very beautiful members !(うわぁ、とっても綺麗な人達だなぁ!)」


興奮状態になった海也は外国の血が流れる故か一番手前にいた陰刻に抱き付いた。


「あぁ?」


「「!!?」」


「nice to meet you!(はじめまして!)」


「…!?」


「「!?!!?」」


頬キスまでかまし、海也は次に立っていた晶に抱き付く。


「…?」


「nice to meet you!」


もう一度頬キスをしかけたその時、海也の脳天をナニかが直撃した。


「ごふっ」


「すいませんね馬鹿で。大丈夫ですか?」


指五本分の辞典を両手に持った由梨を『魔王』と称したのは優太であり、全員の心の声だった。






「…はぁ?なによそれ。」


林檎は陰刻からの要約した会議の結果を聞き終え、不機嫌そうに言った。


「そのまんまだよ。お前らの部活人手足りてないんだって?」


「う、うぅっ。」


にやっと悪魔の笑みを浮かべた陰刻の言葉に反応してしまう林檎。


「手伝ってやる代わり、助立部の宣伝してくれよ。」


「…宣伝なら先日彼らがしたでしょう。」


林檎だと言い負かされることが分かったのか由梨が後を継いだ。


「依頼来てねぇんだ。まだ意味で信用出来ねぇんだろ。」


「1年サボってたんですから当然でしょう。」


正当すぎて耳に痛い。


武人の黒い微笑みと祐輝の責めるような視線。更に春の凍てつくような殺気に哀人と空は目をそらし、陰刻は肩をすくめた。


「ま、そこをなんとか。あんたらはいつも通りにしてりゃいい。その代わりに、」


「いい仕事が出来たら記事に載せろ、と。」


あまりにも露骨な台詞に苦笑する。


「それでいいよな?」


今更すぎる確認に春は顔をしかめるが、それ以外の方法も考えつかない。


渋々首を縦に振るとやけに陰刻の楽しそうな横顔が気にかかった。



「…………仕方ありません。解りました。」



諦めたように吐き捨てた由梨は、ただし、と付け加えた。


「私が満足する働きぶりやネタがなければその時はこの話をなかったことにしますから。」



にっこり笑う彼女は、恐ろしかった。春でさえ萎縮するほどに。






ーー助立部、部室ーー


ホワイトボードに赤ペンで書かれた文字。


『依頼(?)内容・新聞部のお手伝い(何させられるかは不明)!』


かっこ多すぎやしないか。


現実逃避に考えたことに失笑する。


そしてふと気になったことを隣に立っていた陰刻に聞いた。


「…そう言えば、あの人私達を利用するだけ利用しよう、なんて事しませんよね?」


「あー?しねぇだろ。そういう奴じゃねぇしな。」


「…誰にそんなこと分かるんですか?」


適当にも聞こえる答えに顔をしかめると陰刻はまた春の頭を撫でた。


「あの…!私、子供じゃないんですが………!」


照れより安心感のある撫でかたに思わず焦る。


冗談じゃない。この男にそんな感情抱いてたまるものか。


「ん?あぁ、悪い悪い。つい癖でな。そういう顔してる奴は思わず撫でちまうんだ。」


どんな癖だ。至極迷惑である。というか誰の頭だろうが撫でる気かこの男。


「大丈夫だって。明のお墨付きだからな。」


「え?なんで明くんが?」


彼と従兄弟だということは分かったが、何故そこに。



「ま、その内分かるさ。」







晶は1人黙々と家への道を歩いていた。


ーー…今日は随分騒がしい日だったな。


自分とは駈け離れた場所だ。


…いつからだろうか。


自分の周りが無音だけでは無くなった日は。


…下らない。


いつの間にか興味を抱いた自分に嘲笑を浮かべ、空を見上げる。


空は、茜色に染まりつつ、世界を覆い隠していた。









どうも、黒猫です。

決してクロネコヤマト的なあれではありません。

ちなみに誤解されたままはあれなんで言っておきます。



私文章力ありません。



本文読んだら分かると思いますが、ないです。銀蝶さんやことぶきさんと比べたら、小説書いてた年数が長いってなだけであり。


銀蝶さんのコンタクトは現実を写していないのでしょうね、はい。


やりたいことをやりました。

結果あんなP数に。


あああ、本当にごめんなさいなんかツンデレいるし頭おかしい子がいるし。

ただ単に馬鹿っぽさを強調したかっただけなのになんでこうなった。


一部の人には喜ばれますねうふ。一部の人?なにそれな貴方にはそのままであって欲しいですちなみに眠いです。


銀蝶さんの作者紹介とは素晴らしくギャップありますね。

そのままギャップ萌え的なものになるはずもないでしょうねはい。


なんか書けば書くだけ馬鹿さ加減プンプンなんでこの辺で逃げます。

ここまで目を通して下さった方に感謝を。


ありがとうございました。


では銀蝶さんにエールを。

まぁ頑張れ。←





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