3_第三話【意地悪な貴族娘】
さて、かかるか。
必要なのは、これな。物理魔導錠の開錠の仕事なので、俺がリュックサックに入れてきた、六属性魔石と。魔力導体金属のワイヤー。それから、俺がいつも使ってる、ピッキングツール。んで!
「光、炎、風の魔石だから。対応反属性の闇、水、土の魔石と。ワイヤーで繋ぐと、な?」
俺がそう説明すると、銀髪女が何やら俺の手元を興味深そうにのぞき込む。あれ? なんか無防備で。こんな殺人オーラ放ってる割にはこいつ……。普通にかわいいぞ? いや、あほなこと考えるなロッツ。こういう怖い人にそんなこと言ったら、間違いなくボコられる。
「まあ、こうなるわけだ。銀髪女」
「私は、シンという。そろそろ名前を覚えろ」
「あいよ、了解、シンさんよ。まあ、見てな」
さーて。まあ難しいことでもなく。仕組みさえわかれば、こう云う馬鹿みてえな爆発力を載せてるモンは。隙が多いもんで。
魔力導体ワイヤーで反属性魔石と接続した、光と炎と風の魔石は。脆くも次々に砕け散った、わけだ。
「ふむ。鮮やかな……」
「まだだ。まだ、錠前は開いちゃいねえ。開けたら褒めろよ、シンさんよ!」
さてと。使い慣れたピッキングツールの出番だ。このシリンダーロック、マスターキーとナンバー合わせを必要とするが……。【ロックブレイク】っていう、ペンチみたいな便利ツールで掴んでねじ切れば……。おっけー。開錠できたぜ。
「外したぜ? んじゃ、扉を開けてやるよ」
「ふん……。非常にいい働きだ。私が生きて帰れたら。ボーナスを期待してくれて構わんぞ」
……艶然と、微笑むシンの奴。やっぱり、すげえ美人だ。こいつ何者なんだろうな? まあ、そういうことには突っ込まないのが、大人のロッツさんなんだけどな。
*門の向こう・前庭
「おい……。おかしくないか? シン」
俺は、その前庭の様子を見て思わず呟いた。
「ふうーん? いい勘だな? ロッツ・デボルド。確かにこれはおかしい。迎撃の構えが一切ない。だが!」
そう叫ぶと! いきなり白革コートの懐に手を突っ込んで!
引き抜きざまに、風の刃を発生させて! 前庭の煉瓦道の横に立っていた、六体の巨像土偶の一体を破壊したシン! なんだ? お前銀髪で? 魔法使えないはずなのに何やった?
「ふん……。弾の無駄遣いだ……、とは。言い切れぬな」
そんなこと言っているシンの右手には「なんかでけえ白銀に輝く謎の道具」が握られていた。
「……なんだそりゃ? 魔道具の類か?」
俺の質問に対して……、シンは出てきた夜風に揺れる髪を、左手で掻き上げた後に口を開いて。教えてくれた。
「これは、魔導銃という。魔導術の込められた弾丸を放つことで、あらゆる魔法が放てる武器だ。私はこの銃を【エンぺリウス】と呼んでいる」
「皇帝……かよ。すげえ名前を冠してやがるな……。で、銃ってなんだ?」
「剣より威力は低いし、魔法のように広範囲攻撃も苦手だが。用途に対して確実に目的を果たせる武器……かな?」
「……でも、今。どう見ても風魔法だったよな? 撃ったやつだよ」
「ああ、だから。魔導銃というんだこれは」
俺たちがそんなことを、「悠長に」話していると!
「あら、あら、あららぁ~?」
「随分と余裕のある、卑しい盗賊さんたちね?」
「銀髪の女と、混血児じゃないの! これなら!」
「消し飛ばしても、どこからも文句は来ないし! お父様に、ドレスを買っていただけるわ!」
「くたばりなさい! 速攻地魔導術!」
『地圧電撃!』
! どこからか響いてきた、驕慢な声とともに!
俺たちの足元の地面がはじけて、雷がはね跳ぶのだった!




