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15.焦りを抱える眼差し
……ったく。
私が少し目を離した隙に、二人して大騒ぎしてくれてさ。
後輩ちゃんは泣きそうな顔で飛び出していくし、先輩くんは追いかけてくし。
こっちは心臓に悪いっての。
あの子があんな顔するなんて、ずっと前から薄々は感じてた。
「大丈夫」って言葉に逃げてるの、何度も見てきたから。
でも、まさかあんな風に限界ぎりぎりで崩れるなんて――正直、怖かった。
だってあの子、芝居が本当に好きで、必死で頑張ってきたんだ。
その子が「笑えない」なんて、舞台に立てないって、そんなの……残酷すぎるでしょ。
だから、私は先輩くんにぶつけたんだ。
あの子を守れるのは、結局あんただけだって。
正直、肩を掴んだときの自分の必死さ、ちょっと引くくらいだったけど……でも後悔はしてない。
……あの時、扉が閉まる直前に見た後輩ちゃんの目。
怯えと、寂しさと、それでも「好き」が滲んでて。
ああ、やっぱりって思った。
あの子は先輩くんに恋してるんだって。
そしてきっと、先輩くんも。
――だから、頼んだよ。
先輩くん。
もう見失うな。あの子を。
隣に立つ資格があるって、あの子に信じさせてやって。
私は舞台の袖から見届けるからさ。
二人が、本当に並んで輝けるその瞬間を。




