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13.笑顔はまだ届かない
掴まれた腕が、まだ震えている。
先輩の手の熱が、焼き付いたみたいに離れない。
「……私は、君を失いたくない」
あの瞬間、頭が真っ白になった。
心臓が壊れるくらいに跳ねて、呼吸も忘れそうで。
……でも、信じていいのかな。
先輩は優しいから。
誰にでも手を差し伸べてしまうから。
だからきっと、これも――“仲間として”の言葉なんだ。
そう思おうとするのに。
胸の奥で何かが、違うって叫んでる。
だって、あんな顔。
初めて見た。
必死で、苦しそうで、泣き出しそうな顔で。
そんなふうに、自分を見てくれたことなんてなかった。
信じたい。信じてしまいたい。
でも……怖い。
もしも。
もしも、先輩が本当にボクを――。
その続きを考えるのが、怖くてたまらなかった。




