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26.副社長、それ勘違いです。

前半は湊side、後半は小田室長sideです。

「失礼します。」

用事を終えた春原さんが部屋から出ていく。

一人になった瞬間、思わずため息が漏れた。


(……なんか、ポンコツになってもうた。)


この数か月は完璧だったのに、最近は小さなミスが目立つ。

普段の彼女なら絶対やらないような、"うっかり"が多い。

ミスを指摘すると一瞬何か言いたげな顔をするけど、すぐに謝罪をするだけ。


――恋は盲目っていうし、ボクへの片思いを続けてしんどくなってきたんやろうか。

この子も、やっぱり今までの秘書たちと一緒やったんかな。


もう一度、深くため息をついてから、呼び出しブザーのボタンを押した。



「失礼します~。すみません、春原さんはお昼なので私が対応しますね~。」

ノックの後、小田室長が部屋に入ってきた。


「うん、予定表見てたから知ってる。実は、室長に相談があって。」

「まあ。どうされましたか?」


「……春原さんを、担当から外してほしい。」



スッと、室長の笑顔が消えた。

「……理由を伺ってもよろしいですか?」


珍しい。今までなら、何も言わず察してくれていたのに。

(改めて言うのも、恥ずかしいけど……。)


「春原さんも、やっぱりボクに惚れてもうてる。最近の様子もなんかおかしいし……。」

「んー……。」

室長が首を傾げて唸る。そして何か言いたげな顔をしている、気がする。


「室長も気付いてたか。まあボク相手やと、惚れへんのも無理ない――」

「違いますよ~。」

「え?」

いつになくきっぱり言われて、思わず声が裏返った。


「紬ちゃん……春原さんは、副社長に惚れてなんていませんよ?」

ポカンと口を開けたまま動けないボクを放置して、室長は話し始めた――。



数日前、珍しく紬ちゃんからランチのお誘いが来た。

(社員食堂じゃなくて外のお店、ってことはやっぱり何か相談ね。)


「副社長が、なんか変なんですよね……。」

「あら……。」

(今に始まったことじゃないような……とは言えないけど。)


そこから聞いた話は、今まで彼を見ていた私からすると驚きの連続だった。

あの副社長が、まるで紬ちゃんに執着しているような言動を繰り返している。

もちろん、彼女の話を鵜呑みにするわけじゃないけど――。

(でも、この心底うんざりした顔が演技だったら、私はもう誰も信じられないわ……。)



もちろん、全部そのまま話すわけにはいかないので、副社長にはこう伝えることにした。

「春原さんが"副社長の様子に困惑していて、調子が狂ってしまう"と相談を受けていた」と。


「……それと、彼女のミスについては私の落ち度です。申し訳ありません。」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に関しては、もうすぐ片がつく。

それまでは余計な波風は立てたくない。


「ぼ、ボクが?おかしい?いやいや、このボクがそんなわけないし……。」

図星だったようで、仕事のミスの話はもうどうでも良さそう。


「とにかく、彼女は一切その気はないので、ご安心ください。では~。」

反論させる前にささっと部屋を出た。


――まったく、困ったわね。

(あんなの、どう見ても惚れてるのは彼の方でしょうに。)

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