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【短編】好きな彼女が死にました。

作者:

高校3年の冬、初めて好きになった人が死んだ。

死因は交通事故によるものだそうだ。彼女と出会ったのは、高校に入学当初、友達が出来るかと不安な僕に優しくほほえみながら話しかけてくれたのがきっかけだった。


これまでの人生でろくに女性経験がなく話上手じゃない僕でも会話が成立するような話題を積極的に振ってくれた明るい彼女に僕はだんだん惹かれていき、彼女もまた趣味の合う僕に興味を持ったようで僕らの仲はどんどん深まっていった。


2年ではクラスは離れたものの、共通の趣味で交流を持ち、あっという間に3年になった。

3年ではまた同じクラスになり、いつも和の中心にいてクラスをまとめる真面目な彼女を気づいた時には好きで好きで仕方がなかった。


そんな彼女が死んだ。


その日は高校最後に自分の思いを伝えるためイルミネーションを一緒に見に行こうと約束していて、その矢先に彼女は集合場所に行こうとしている道中、一旦停止を無視した車に轢かれた。


はずなのだ。


はずなのに、、、彼女は僕の前に現れた。


彼女を驚かそうとと今年の秋に乗れるようになった車にウキウキで乗り、彼女を彼女の家に迎えに行き、イルミネーションを一緒に見て、想いを伝え、晴れて恋人になった、そのはずだ。


なのに、彼女の親から連絡が来て、彼女が亡くなったことを伝えられた。彼女の親は酷く僕を責めた。


「あなたが、あなたのせいで!!」


確かにイルミネーションに誘ったのは僕だ。だが、もし亡くなっていたとして何故彼女は僕の目の前に現れて、僕と一緒にあの日を過ごしたんだ?


その後も彼女の親の僕に対する罵詈雑言は続き、あまりの酷さに、元々彼女がいなかったら人と話すことも出来ない僕は受話器越しでも平然を保ってはいられなかった。


僕は彼女への気持ちを踏みにじられたような怒りと、もしこの人の言っていることが本当だったらという不安と、彼女は僕の目の前に現れいつものような笑顔を向けてくれるという現実がごちゃごちゃになり僕の精神状態はとても普通の状態とは言えなくなった。


だがそれも彼女と一緒にいると安心していられる、楽でいられるのだ。


今日も恋人となった彼女が家に遊びに来た。最近はお泊まりまでよくするようになったくらいだ。僕は彼女に


「さあ、あがってよ!」


と言い、親に


「お茶でも出してあげてくれる?」


と言ったが全く彼女をもてなそうとしない親に少し怒っていると、玄関のドアがガラガラと開いて警察の人が来た。


僕が今怒っているように最近は、彼女の親に謎の叱責を受けたりしているストレスで家族に当たり気味になっていたから家族が通報したのか?


や、こんなごときで普通通報する?という僕の家族への疑問を払拭するかのように警察官は


「彼女の親御さんから聞いているだろ」


と言った。警察官は僕から話を聞こうとしているようだ。


僕はすぐに納得し、彼女の親御さんが何か勘違いをしているならそれを何とかしなくちゃなと思いつつも、ここで話を聞いたらいいのに何故か僕を連れていこうとする警察官に、彼女と一緒にいようと必死に抵抗する僕を抑え2人の警察官は僕を連れていった。


連れていかれた先で警察官は彼女が死んだとされている日のことを詳しく僕に聞いてきた。


僕はその日のサプライズで彼女を迎えに行ったことや、イルミネーションに一緒に行ったことを正直に説明した。


どうしてこんなことを聞くのだろう。


彼女は僕の家に遊びに来ているじゃないか。彼女は親にも泊まりにいくと伝えていると聞いているのに彼女の親は何故僕を責め、死んだと言い張るんだ?


彼女の親は誰かと勘違いているのだと思い、それも警察官に話した。警察官は困った顔をして僕に言った。


「何言ってるんだ。彼女を車で轢いて殺したのは君じゃないか。」

死んでしまった「僕」の彼女を自らの手で殺してしまったショックで、いないはずの彼女をいると錯覚し、自分の過ちに向き合うことが出来ない「僕」を書きました。大切な人が亡くなるというのは辛いことですが、立ち直るのも大事です。


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