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第38話 儀

 先代国王が亡くなった後、陛下は家族を集めた。心から彼の死を哀しむ者はいなかった。なんとも虚しい家族だった。







 葬式には、様々な国の貴族が集まり、葬式の後は国民が棺桶を迎え、大いに悲しんでいた。国民の道を挟んで通る棺桶に続き、陛下が歩く。僕はその後ろに。






 この場の全ての人々が黒い布に包まれ、先代国王の人生の幕がおりた。









 人生を国に捧げた男。しかし彼は認知症になり、見るも耐えない姿になった。娘が国王になり、より国を栄えさせた。彼は今、空から何を思う? 愛を与えることを辞めてしまった娘が立派に育ったことを喜ぶのか。




 今まで国のためだけに生きてきた彼は、人生を後悔するのか。それは誰にも分からないけれど、これだけは言える。彼は娘を愛していたのだと。













✦︎✧︎✧✦


 葬式が終わった日の夜、僕は眠れずに廊下を歩いていた。

するとバルコニーに陛下の姿が。

 彼、いや……彼女は下ろした髪をユラユラとなびかせていた。今でも男物のパジャマを着て。




「陛下?」


「ああ、アシュ。なぜかもしかしたら来てくれるのではないかと思っていたら、本当に来た」





 振り向いた陛下を見て、女性なんだな……と思った。今まで見てきたのと同じ顔なのに、どこか違うように見える。






 僕の好きな、僕のことを好きな人。熱いキスを交わした相手。あの時の記憶が鮮明に思い浮かぶ。ああ、何を考えているんだ。今考えることじゃないじゃないか。



「それは不思議な話ですね」


「心が通じているのかも」


「あながち間違ってはないのかも……? なーんて……」


「眠れないのか?」


「はい。色々考えてしまって。先代国王は人生を後悔していると思いますか?」


「父は誇りを持っていたさ。ただ、私への愛を諦めたことだけは後悔しているだろうな。死ぬ前に言ったことは本当であって欲しい」


「そうですね……きっと、本当ですよ」


「国民は悲しみに暮れていたな。国民だけは、父の死を悲しんでくれている。人生を捧げた見返りはそれなのかもな」


「国民に愛される人というのは素晴らしいものですね」


「ああ、だが家族に愛されないのは……かなしい」


「お兄さんは小さい頃どんな人でしたか?」


「鬱病を患っていたな。自分をよく傷つけていたよ。今でも腕に傷跡が残っていて、それを隠すために長袖しか着なくなった」


「そんな……鬱病患者って、家族も苦しいって……聞いたことがあります」


「そうだな。辛かったな。彼に気を取られ、憔悴していく親を見るのは。私は無関心だったな。兄のことはどうでもよかったんだ……」


「別の人として生きていくことになったのは、誰が決めたんですか?」


「自分自身さ。ある日悟ったんだ。この方法しかないと思った」


「辛かったですよね……」


「そうだな。別になりたくもない国王になるなんて。兄を恨んだよ。今でも許せないくらいに」


「許せなくて当然ですよ」


「そうだな……兄は少しずつ償ってくれているから、少しは許せるようになるだろうか」


「女性として振る舞えるようになったら、嬉しいですか?」


「そうでもないな。男として振る舞うことに慣れてしまったから。コルセットも嫌いだ」


「それなら、コルセットを付けなくてもいい服を探しませんか?」


「なるほど。面白そうだな。今度デートに行こうか」


「お葬式の後はもうしばらく休まないとですね」


「兄にも休んで貰うつもりだ。だから数日後にデートをしよう」


「そうですね。楽しみです!」


「私もだよ。さあ、寝るか。そなたと今話せてよかった」


「僕もです。おやすみなさい」








 長旅から帰ってきてから、本当に色々なことがあった。陛下とここまで急接近できるなんて思ってもみなかったし……あんな、キスも。できるなんて思ってなかった。







 柔らかくて、温かくて……色っぽくて美しかった。貴方の体温がまた感じたいと思ってしまう。なんて欲張りなのだろうか。僕だけの貴方。触れるのも、触れられるのも貴方だけがいい。








 もし貴方が女性として、女王として過ごせるようになったら。この人は僕のものだって、発表できるだろうか? いつか結婚するんだよね……2人の子供と幸せに暮らす未来を思い描いてみる。そんな未来が来たらいいなと思う。








「好き……」







 布団に入り、呟いてみる。ああ、なんていい響きなのだろうか。この特別な言葉を大切にしよう。この気持ちと共に。彼女を幸せにしよう。貴方がずっと、笑って過ごせるように。今まで心から笑った姿は1度や2度程度……。







 今はまだ、幸せにできていないだろう。僕が1週間目を覚まさなかった時の彼女の顔を思い出す。目にクマができ、泣き腫らした目。カサカサになった唇に、青白い顔。見るに堪えない姿だった。もう悲しませたくない。






 弱い僕だから、簡単に人を助けようとして命を落としては駄目だ。あの時は助かる可能性が高かったけど、次はどうなるか分からない。







 もうあんな事は起きて欲しくないし、100年は起きないよね……?






 それなら、そんな状況は起こりえない……? いや、人生何があるか分からないし、災害以外にも脅威はあるだろう。カンとルカニエがそばにいない時に、起きないことを祈るしかないか……。





 外に出かける時は絶対誰かと一緒にいよう。自分を過信してはいけない。そう心に誓って、明日も生きていこう。






 数日後のデート、楽しみだなあ。次は女性の姿でデートしてくれるのかな? 陛下の色んなドレス姿が見れるんだよね……贅沢な日になるだろう。目に焼き付けないとね。





最近書籍化する方法を調べていると、私が目指すのは書籍化では無いことに気付きました。


カクヨムで本気で頑張りつつ、ここは自分の書きたいものをこれからも書いていきたいと思います!!


いいなと思った方はこれからも付いてきていただけると幸いです(*¯꒳¯ )


今後執筆をするモチベーションになる大切な作品です。

これからも頑張ります(ง •̀_•́)ง

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