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第15話 謁見

正直キャラの名前覚えれない人なので、

誰が誰か分かりやすいように話を書いてるつもりです……

あと、皇帝とかの名前はこれから出てこないので、軽く流してくださればと思います(^ω^)


髪色と眼の色とかその辺は書いてますけど、その描写すらないキャラは今後ほとんど出てこないと思ってください!


「アシュ、実は社交パーティーまでに会って欲しい人がいるんだが……私の両親以外に2人。」


「え? そうなんですか?」






 僕達は名物である海の魔物をメインとした食事をとる。2日目の夜、陛下は開口一番に言った。





「1人目は皇帝」


「え?! ちょっと、今なんて言いました?! 皇帝?!」


 フォークに刺していた食べ物が落ちる。




「あ、ああ……言うのが遅くなってすまない。新しい補佐官に会わせてくれと急かされているんだ」


「そんな偉大な人物に初めに会うんですか?!失態を犯したらどうなるか……」


 手がブルブルと震える。皇帝は気紛れで冷淡な人で有名だ。僕は上手くやれる自信がない。

 今まで会ってきた人達は、みんな両親の知り合いとかだったし……

 死にたくないよ〜〜〜〜!!!




「怖がらせてすまない。でも、彼は私の大切な人を殺すような人ではないよ。安心してくれて構わない。何かあれば私がフォローする」







 そして数日後、皇帝に会うまでに陛下の両親に会うことになった。





 まずは先代国王。認知症がかなり進んでおり、会話が成り立たたず、必死に亡くなった王女を探している。

 会って謝りたいと何度も仰っていた。


 亡くなってしまった王女と、過去に何があったのだろうか。

 彼は過去に囚われ、後悔の念に蝕まれている。






 そして先代王妃は、無関心の態度で一言頑張りなさいとだけ言われた。先代国王の側室で陛下の母親は、優しそうで柔らかい雰囲気の方だったが、どこか陛下との壁を感じる。

 愛されて育った僕の家族という概念が、大きく変わった気がした。




 3人との謁見が終わると、皇帝の人物像やどういった対応が必要かなど、事前準備を行うことが出来た。





 ――――――――――――――――――――



「皇帝陛下、こちらが私の新たな補佐官アシュ・クイックでございます」


「皇帝陛下にご挨拶申し上げます」


「待ちに待っていたぞ! 我はザカルテ・アシッドだ。会えて嬉しいぞ」


 圧倒されるようなオーラだ。ブルーグレーの髪に黒い眼。

 体格はそれほど大きくないが、威厳のあるお方だ。

 事前に教えてもらった情報では、僕が思っていたイメージとは少し違っていた。



「しかしこんなに大勢でくるとは。賑やかだな」


「こちらの2人はアシュの専属魔道士と護衛騎士です。アシュは人を惹きつける能力があるようで、志願してこの国にやってきたのです」


「さすがソウが選んだだけある人材だな。おもしろいやつを補佐官にしたな」


 皇帝とは陛下が後継者と決まる少し前からの仲らしい。残忍な人ではないんだけど、陛下は皇帝の機嫌を損ねないように努力してきたと。

 しかし、実際に会ってみると、なにか信頼を感じる。気のせいなのかな?


 そして10分程度の謁見が無事に終わった。

 皇帝は陛下と2人で話があると言って、僕達は庭を案内された。




 王宮の庭もとても広くて美しいのだが、皇宮は規模がより大きい。

 この待ち時間で庭全部を回るのは難しいのではないかと思うほどだった。

 庭の中に大きな噴水があり、そこに腰掛ける。




「ふぅ……」


 自然に囲まれ、落ち着くことが出来た。




「ご主人様、思ったほど怖い方ではなかったですね」


「そうだね。何事もなく終わってよかったー……」


「これでしばらくイベントはないっすねー。

 補佐官になってから結構バタバタでしたね」


「本当にね。謁見が終わったから3日くらい休みを貰えたし! 観光でもする?」


「ピクニックとかどうっすか?!」

「あなたは子供ですか?」





 ルカニエとカンが仲良くしてくれて嬉しい。

 タイプが違う2人だけど、2人がいれば安心できる。




「ピクニックいいじゃん!」


「あなたが望むなら。自然を感じるのも悪くないですね」


「俺が言った時と態度が違うぞ!」


「うるさいです」






 陛下は噴水で話しているあいだに戻ってきた。

 2人といると時間が本当にあっという間に過ぎる。






 僕のことを考えて、転送魔法は慣れるまで1日1回と決まっているため、皇帝と謁見した日はヒョウガ帝国に1泊した。







 ――――――――――――――――――


 補佐官になって初めての休日。怒涛の毎日だった。サリナが辞めて僕一人になったら、休む暇はほとんどなくなるだろう。

 今のうちに謳歌しておかないと。あと半年だから、まだ時間はある。






 毎日朝昼晩と、食事の時間は陛下とサリナとみんなで集まるのが、日課になってきている。

 そして今は朝食時。僕はみんなと会話をする中で、陛下って休んだことあるのかな? とふと思った。


「陛下、少しお聞きしてもいいですか?」


「もちろん」


「就任してから、休日は?」


「ああ、そういえばとってないな。特にする事も無いし」


「え?! そんなの辛すぎます……」


「仕事が恋人みたいなもんだし、それが当たり前だよ」


「私には休め休めって言って、休みをくれるのに。自分は休まないなんて」


「じゃあ、明日ルカとカンと3人でピクニックする予定なんです。陛下も一緒にどうですか?2人はそれでいいよね?」


「もちろん」「いいっすよ」


「いいのか? せっかくの休日なのに……」


「もちろんです! 陛下と仲良くなりたいので……ダメですか?」


「そなたがよければ喜んで」




 陛下とピクニック! 楽しみだなあ。










 初日の休日は、読書や庭の散歩などゆったりとした1日だった。




 


「ルカはギルドでどんな毎日を過ごしてたの?」


 寝転びながら、ベッドに座るルカニエを見上げる。



「こんな平和な日はなかったですね」


「えっと……人を殺めたりもするんだよね」


「依頼によりますけどね」


「そんな生活はどうだった? 辛かった?」


「生きるために必死でした。孤児だったんです。奴隷として生きてきたので、ギルドに入ってからは食事と睡眠に困ることはなくなりました。だから、寧ろ幸せでしたよ。人を殺めるのも慣れていきましたし」


「そんな……これからはそんな辛い思いさせないよ。約束する」




 そう言って僕は、彼を優しく抱きしめた。





「頼もしいですね」


「でも、僕の目つきが好きなんだよね。今までの殺伐とした人生を望んでるの?」


「そんなことはないですよ。強いあなたの心が僕を惹き付けたんです。そんなあなたが私に依存してくれたら嬉しい」






 ルカニエは今までの人生のせいで歪んでしまったんだ。

 その歪んだ気持ちを、僕が変えることは出来ないだろうか。平和な日々を通して穏やかな気持ちを取り戻して欲しい。

 辛かった分、幸せになって欲しいし、そうなるべきだ。僕が彼を幸せにできるだろうか。









 ✦︎✧︎✧✦



 ピクニックの日がきた。朝食をとり、昼前までゆったり過ごす。王宮の専属料理人がサッドイッチを作ってくれた。地面に敷くシートも持ったし、準備完了!





 ガチャっと執務室の扉を開けると、サリナと話す陛下がいた。


「陛下! 準備出来ました! 行きましょう!」


「そうか。では、サリナ。行ってくる」


「行ってらっしゃいませ。初めての休暇を楽しんでくださいね。アシュ、陛下を誘ってくれてありがとうございます」


「僕の我儘ですよ。じゃあまた!」





 折角なので、王宮の敷地から離れたところへ向かった。

 人が少ないピクニックにいい場所を教えて貰ったから、そこへ馬車で向かう。そういえばこの国に来て初めての馬車だな。



「はー……楽しみです!」


「まさかそなたに誘ってもらえるとは思っていなかったよ。そなたが来てから王宮が一層明るくなった」


「へへ、そう言って貰えて嬉しいです。陛下に信頼して貰えるように頑張りますね!」


「もう信頼し始めているさ」






 陛下の笑顔はとても神秘的だ。孤独なあなたの支えになれたら、どれだけいいだろうか。寂しいあなたを見ていると、胸がこんなにも苦しくなるのはなぜだろう?






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