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第79話 王国騎士の在り方

アーニャ スメラギ

アンティ:1,000G


R(レア)下級夢魔(レッサーサキュバス)(♀) レベル23 HP:55

R(レア)妖精(ピクシー)(♀) レベル23 HP:32

R(レア):上級兵士(♀) レベル20 HP:70


VS


モニカ タチバナ

アンティ:1,000G


HR(ハイレア):王国騎士(♂) レベル:16 HP :75

HN(ハイノーマル):一般兵(♂) レベル:20 HP :51

HN(ハイノーマル):一般兵(♂) レベル:20 HP :51




 おや?Rサーヴァントが居ないぞ?


 もしかしてHR:王国騎士(♂)を買う為にショップに売ったのか?


 Rカードの相場は、一部の例外を除いて1万G前後だ。自力で3万Gを貯めた上で今まで使っていたRカードを売ったなら、ギリギリHRカードの購入資金に届く。


 同じサーヴァント側からしたら、今まで仕えていたマスターに使い捨てにされるようで気分が良くないが、こればかりはモニカとは縁がなかったと思うしかないだろう。


 しかしそこまでして購入しただけあって、レベルを上げたHRは強い。


 現状、レベルはのんちゃんの方が4つも上なのに既にHPで負けており、レベル22になって漸く並べる数値だ。


 ちなみに、HR:王国騎士(♂)は大学生くらいの細マッチョ系の金髪イケメンである。残りの一般兵くんたちも、おっさんではなく高校生くらいの若い兵士だ。


 モニカはぶっちゃけ並レベルの容姿なので、人間でこのレベルの男と付き合うのはほぼ不可能だろう。


 だがサーヴァントなら違う。たった4万Gでこれ程のイケメンをゲット出来る上に基本的に浮気をしない。更にサーヴァントとえっちしても妊娠や性病になったりはしないので、そういったリスクを気にせず毎日好きなだけヤリ放題だ。


 ☆3に昇格出来ればそんなイケメンと生涯一緒に居られる訳だから、そりゃマスター適性がある女マスターなら、一度は☆3以上を目指してチャレンジするわ。


「既にRを3人も揃えてるなんてね。しかもレベルも全員20越えか。これはちょっとキツそうだわ」


「よろしくお願いします」


第1ターン


「ピア【妖精の加護】です」


「もー!またこのパターンなの?善属性が多い騎士系統の相手は嫌になるわね。妖精の加護!」


 ピアの特性により、のんちゃんだけでなく向こうのサーヴァントにもバフが掛かってしまっている為、その差を帳消しにすべく俺とのんちゃんに追加でバフを盛った。


「さっちゃんは、騎士に【セクシービーム】です】


「了解だ。セクシービーム!」


 両手を前に出してハートマークを作り、そこからビームが出ると見せ掛けて、地面スレスレの位置に垂らした尻尾から発射してやった。


「ぐわぁ!?騙し討ちとは卑怯な!」


 HPバーの減り具合を見るに、男特攻とクリティカルヒットで20pt以上は削ったかな?


「大丈夫なの、ミハエル様?」


「心配するな、愛するモニカに必ずや勝利を捧げよう!」


「あぁ〜ん、ミハエル様ぁ〜ん」


 モニカは完全にミハエルとやらに惚れ込んでいるな。サーヴァント相手に『様』とか言っちゃってるし。


 セクシービームの魅了判定はレジストされちまったけど、成功してたらどんな修羅場になっていたんだろうか?


「ミハエル様!ミハエル様を誘惑するあの泥棒猫を斬り捨てて下さい!」


 …それって俺のことか?根拠のない誹謗中傷は止めて頂きたい。


「許せ、美しきサキュバスよ。出来れば別の形で出会いたかったが、これもマスターであるモニカの命令だ。我が奥義を喰らうが良い【一刀両断】!!」


「させません!」


 ミハエルがゴチャゴチャ喋っている間にのんちゃんが俺の前に回り込み、奥義(スキル)を盾で受け止めた。


 おそらくミハエルの奥義(笑)とやらは単体中ダメージだったのだろう。


 互いのステータスや装備を参照した結果、のんちゃんが受けたダメージは12ptだった。


 残りの一般兵が同程度のダメージを出せる訳がないので、最低でも3ターンは持ち堪えてくれるだろう。


 それまでにミハエルのHpを削り切ってしまえば、こちらの勝ちはほぼ決まりだ。


「のんちゃん【挑発(タウント)】です。何か良い感じにお願いします!」


「ちょ、アーニャ様?いきなり無茶振りは止めて下さいよ!…えーっと、私は王国子爵であるぞ、控えおろう?」


 ピー助の時代劇ノリの影響かな?


 でも、自信なさげで何となく聞いたことがあるセリフを言ってみた感が凄い。


「おぉ!もしや貴殿は、最近王国軍で噂になっている女兵士殿ではないか?」


「なんという美しさだ!」


 一般兵(♂)たちがのんちゃんの魅力にやられてしまったようだ。2人とも棒立ちになっている。


 のんちゃんの称号は『王国軍のアイドル』で、特性が『美しすぎる女兵士』だ。


 もしかしたら王国関係者には特攻とかあるのかもしれん。


第2ターン


「ピア【アローレイン】を騎士に集中砲火です」


「アローレイン!」


「くっ…」


 ミハエルは避けるのは不可能と早々に見切りを付け、クリティカルヒットだけは防ごうと防御姿勢を取る。


 MENのステータス差はそれ程でもなかったようで、30pt程度のダメージに(とど)まった。


「さっちゃん【セクシービーム】で騎士を狙撃して下さい」


「はいよ。セクシービーム!」


 今回は騙し討ちする必要はない。兵士たちと違って魅了されている訳ではないようだが、視線は完全にのんちゃんに釘付けになっている。


「ぐはぁ!」


 再び男特攻とクリティカルヒットで大ダメージ。そして毎度お馴染みの妖怪1タリナイさんが登場。ギリギリで生き残りやがった。


 次はミハエルのターンなので、いつでも俺のガードに入れるように、のんちゃんが警戒している。


「貴殿は子爵でありながら、自ら武器を手に取り戦場に立っておられるのか?女神が如き美しさに加えて、天晴れな心意気よ!是非とも貴殿を我が側室に迎えたい!」


「ミ、ミハエル様?何を仰っているの?私を愛してるって毎晩あんなに激しく求めて下さっているではありませんか?」


「もちろん今夜もたっぷり愛してあげるとも。だが許してくれ、モニカよ。騎士は愛に嘘は吐けないのだ」


 やっぱり毎晩お盛んだったようだ。そしてのんちゃんに魅了されたミハエルは、堂々と浮気宣言をした。


 今更だけど、王国って一夫多妻制だったのね。まぁ中世風ファンタジーでは珍しくもないけど。


「のんちゃん【三段突き】でトドメを刺して下さい」


 どう考えてもオーバーキルだが、確実にトドメを刺すという意味では間違ってはいない。瀕死状態でナンパし始めるとか正気を疑うが、突如正気に戻って避けようとしたとしても、3連撃の内の1発だけでも当たれば()れるのだから。


 しかしそんな杞憂も必要なかったくらい、普通にミハエルは3発とも直撃して死んだ。


「ぐはぁぁぁぁ!」


「いやぁー!ミハエル様ぁー!?」


 モニカが絶叫し取り乱している。


 気持ちは分からんでもないが、まだバトル中だぞ?一般兵くんたちも、自分のターンだけど何をすれば良いのか分からなくて、オロオロしてるじゃないか。


「モニカ様、我らにご指示を!」


「ミハエル様!お願い、消えないでぇ!?」


 全く聞こえちゃいねぇな。


 そしてモニカの懇願も届かず、ミハエル消滅。カードに戻ってしまったミハエルを手に呆然とするモニカ。そして指示が来ない為に何も出来ない一般兵くんたち。


 静寂が闘技場を包み込む。


第3ターン


「ふっ、ふふふふふふふふふふふふふふ」


 怖い怖い怖い。モニカ嬢がちょっとイっちゃった声で笑い続けている。


「この泥棒猫どもめ!私のミハエル様を誘惑した挙句、騙し討ちするなんて許せないわ!!レオナルド、ロベルト、今すぐその女兵士を斬り捨てなさい!!」


「…申し訳ございません、モニカ様。既に我らのターンは終わっております」


「むしろ、相手に待って貰ってる状況です」


「…へ?」


 一般兵くんたちの言葉にふと正気に戻ったモニカ嬢。


「あっ、もう終わったの?じゃー撃つねー?」


 ピー助の言葉と共に矢の雨が降り注ぐ。


 7発目のアローレインで1人が倒れ、残りの3発がもう1人に叩き込まれた。


 続く俺がセクシービームを容赦なく叩き込んでバトル終了。


 終わってみれば、のんちゃんが1発盾で受けただけだったな。


 今回は相手が男だったり物理系統だったりと、俺たちに有利な面子だったから楽勝だったけど、これが必ずしも☆2の中間層の実力だとは思わない方が良いだろう。


 何はともあれ、初戦を勝利で飾ることが出来た。今日はダンジョンには行かずに別の予定があることだし、敗戦後のローテンションで向かうことにならなくて、良かった良かった。

王国騎士「愛に嘘は付けない(浮気します)!」

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