第73話 伯爵領、侵攻
「子爵様、反乱を起こすなど一体何を考えておられるのですか?」
それは俺たちが聞きたいな。
「ところでさぁ?コイツら俺たちが来るまで、ずっとここで待機してたんかな?」
第16階層のポータルに飛んで来た瞬間いきなり兵士たちに取り囲まれたんだが、どうしても気になったので、つい口に出してしまった。
「わたしたちはご飯食べてお風呂入って、たっぷり寝てから来たのに、おじさんたちはここで一晩中待ってたの?ウケるー」
これ以上煽ってやるな、ピー助よ。おっさんたち顔真っ赤にしながらプルプルしてっから。
「のんちゃんのレベリングをしたいですし、これ以上の問答は無用です。さっさとかかって来て下さい」
まあ、コイツらって会話が成立するようで実際には成立しないからな。
どんな返事をしても、台本でもあんのか?ってレベルで多少強引な理屈でも既定路線に持って行かれるから、最終的にはバトルに突入することになる。
謂わばRPGのNPCみたいなもんだ。
のんちゃんのようにサーヴァントになれば、自由意志の下に考えて行動出来るが、コイツらはダンジョンのルールみたいなもんに縛られてるから、決められた行動しか出来ない。
「ピアは一度下がって下さい。さっちゃんとのんちゃんでレベリングします」
「おっけー。サチ、疲れたら言いなさい。交代してあげるわ」
「おー、そん時はよろしくな」
「我ら伯爵領第3歩兵小隊を前に女子2人だけで戦うだと?何という侮辱か!かくなる上は裸にひん剥いて辱めてくれるわ!」
おっさんどもとのバトルシーンなんてどの界隈にも需要がないのでザックリ行くぞ。
敵3人を全員素殴りで倒そうとすると、流石にのんちゃんの被ダメが嵩んでしまうので、まずはセクシービームで敵の数を減らし、最後の1人になったら素殴りでボコボコにして行った。
素殴りなら俺の与ダメは3pt、のんちゃんの与ダメは2ptなので、敵のヘイトは俺に向く。技量も大したことはないので、棍棒で薙ぎ払ってやればダメージは受けないので、安全にタコ殴りに出来る。
のんちゃん加入で盾役は確保出来たので、次は回復役が欲しいな。
ポーションを多用するのは、金が掛かるんだわ。
定期的にRカードがドロップするかHNカードが毎日数枚はドロップしてくれないと、レベリングの為とはいえこのままでは大赤字になってしまう。
今俺たちに必要なのは、メラ○ーマでもファ○ガでもなく、ホ○ミやケ○ルだ。
回復役の有名どころは、UR:聖女(男の場合は聖者)を筆頭とした聖職者系統であり、出現するダンジョンは他の町の管轄なので、この町の転移ゲートからは飛べない。
一度他の町に飛んでから改めて転移しなければ、ダンジョンに入ることが出来ないのだ。
そして他の町への転移料金はべらぼうに高いので、この町からの通いでの探索はまず不可能。向こうの町で宿を確保した上でダンジョン探索に臨む必要がある。
また、カードショップで買うのもかなり難しい。
関税的な物が発生するので、他の町所属のマスターは定価の数倍の金額を請求されることになるのだ。
この町のカードショップで買うのも事実上不可能だ。なんせN:修道女ですらカタログに載ってないからな。
一応、万が一入荷したら教えてくれと伝えてはあるが、まぁ期待は出来ないだろう。
ガチャなら他の町と共通の倉庫から排出されるので、ワンチャン可能性があるかもしれないが、それが出来るだけの潤沢な資産を持ってるマスターは普通に該当の町に行ってダンジョン探索するなり、ショップに行って札束でぶん殴ってゲットする。
つまり世の中金である。
金を稼ぐには強くなる必要があるのに、強くなるには金がいるという、卵が先か鶏が先かみたいなことになっていた。
…え?ゴブリンプリースト?ちょっと何言ってるか分かんないですね。




