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第71話 何故死んだ?

「なんということだ。子爵家の誇る精鋭が、このような痴れ者共の手によって討たれてしまうとは…」


 あぁ、まだこの小芝居続いてたんだ?バトル中は子爵のおっさんは空気と化してたから存在を忘れてたわ。


 でもこっちは正直めっちゃ疲れてるんで、もう帰りたいんですけど?付き合わなきゃダメ?


「子爵領を蹂躙され、愛する女たちまで失った以上、おめおめと生き永らえるつもりはない。王国よ永遠なれ!!」


 おっさんが懐剣を取り出し、自らの首に突き立てようとする。


 え?さっきの女兵士たちって、このおっさんの愛人かなんかなの?歳の差考えろよ、完全に犯罪やろ!良かろう、止めんから早よ死ね。


「あっ!それは拙いです。さっちゃん、止めて!」


「お、おぉ?」


 アーニャがおっさんを止めろと言うのなら仕方がない。とりあえず羽交締めにして自害を阻止したが、どーゆーことですのん?


「くっ、離せぇ!」


 くっころみたいなセリフをおっさんが言うんじゃねぇよ。誰得だよ?


「子爵さん、死ぬのは子爵邸のドアを全て開けてからにしてくれませんか?その後はお好きにどうぞ」


「あぁ、そっか。のんちゃんがやられちまったから、このおっさんに死なれちまうと、子爵邸の転移ゲートがある部屋のドアを開けられないのか」


 実際には、のんちゃんの姉の農民兵カードとかも持ってるけど、ドアを開ける為だけに仲間にしたくはないから、おっさんに生きていて貰った方が都合が良い。


「くそっ…離せ、この売女め!」


「俺はまだ乙女だよ。転移ゲートがある部屋に案内しろ。ドアを開けたらお望み通り解放してやるよ」


 こんな清純系美少女サキュバスを捕まえて、売女呼ばわりするとは失礼な!


 なんだか『清純系セクシー女優』みたいな矛盾を感じたが気にしてはいけない。


「…これで良いのだろう?さっさと離すが良い!」


「さぁお行き、もう悪い人間に捕まるんじゃないぞ?」


 ふと閃いたので『村の悪ガキに虐められていた小動物を助け、コッソリ山に逃してあげる心優しい少年』ムーブをする俺。


「ふふっ」


 お?アーニャにウケた。


「くっ、何処までもおちょくりおって!薄汚い奴隷商人どもに、これ以上我が身を利用されてたまるか!我死すとも、王国は不滅也!」


 おっさんは再び懐剣を取り出して自分の首に突き刺し、カードを1枚だけ残して消滅して行った。


「今度は『家宝の指輪(リング)』だね」


「結局、家宝は貰えるのかよ。これって、おっさんが死んだ意味あんのか?」


家宝の指輪(リング)

レアリティ:R(レア)

効果:CHR+1

備考:王国出身者が装備した場合、子爵位を得る。


 指輪の所有者が子爵に成れるなら、おっさん完全に無駄死にじゃね?むしろ戦わないで逃げた方が良かったんじゃね?


「そこはほら、ダンジョンだから」


 大抵のことは飲み込まざるを得なくなる魔法の言葉『ダンジョンだから』が便利すぎる。


「次のポータル解放して早く帰ろーよ。ダンジョンから出ないと、のんちゃんも復活させられないじゃん?」


「そうだな。早く帰って一刻も早くのんちゃんを復活させてやろう」


「そうですね。今回はとても頑張ってくれましたから、何かご褒美をあげなきゃです」


「そーそー、それならちょーど良いのがあるわよ?」


「あん?何かあんのか?」


「これよ、これ!」


 ピー助が持っていたのは、先程のバトルの戦利品であるカードだった。


「そういや、色々あって回収すんの忘れてたな」


「私もです。ありがとう、ピア」


「そんなの気にしなくていーわよ。それよりもこれよ!のんちゃんにはこれが一番のプレゼントになるんじゃない?」


 そう言ってピー助が出したのはR:上級兵士(♀)のカードだった。


「初戦で落ちたのかよ?狼獣人(♀)の時の苦労は何だったんだ?」


 あの時は結局2ヶ月近く狩り続けても出なかったし、確率偏りすぎじゃね?

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