第62話 王国領、侵略開始
ジャンル別ランキングに載るようになってからPV数が倍くらいに増えとるw
のんちゃんを新たな仲間に加えた俺たちは、☆2ダンジョン【王国領】に来ていた。
ネットで調べた情報では、第1階層から第4階層までは緩衝地帯と呼ばれるエリアであり、実際にはまだ王国領ではないらしい。
そして第5階層のボス部屋?が国境を守護する砦であり、攻略して第6階層に足を踏み入れると、晴れて王国領土に侵攻したことになるらしい。
何か急にジャンル変わってませんか?
ダンジョン探索ってゆーか、気分は侵略者による奴隷狩りなんですが?
そうだ。ダンジョン探索の前に、新メンバーであるのんちゃんのステータスを公開しよう。
のんちゃん(仮名)
レベル:1
種族:農民兵
レアリティ:N
称号:村一番の美少女(CHR+1)
特性:美しすぎる農民兵(相手の行動時、自身のCHR−相手のCHR%の確率で異性の行動を阻害する)
HP(生命力) :8
MP(魔力):6
STR(筋力):7
VIT(体力):8
TEC(精密性):9
MEN(精神力):5
AGI(俊敏性):7
CHR(魅力):18
LUC(幸運):9
装備
竹槍
レアリティ:N
効果:竹槍を使用した際、物理属性ダメージを1pt増加する。
備考:竹の先端を尖らせただけなので、あまり頑丈ではない(30%の確率で破損する)
鍋の蓋
レアリティ:N
効果:鍋の蓋で防御に成功した場合、物理属性ダメージを1pt軽減する。
備考:ただの鍋の蓋なので壊れ易い(50%の確率で破損する)
スキル
突き刺す:物理属性単体微小ダメージ(消費MP1pt)
おや?この子サキュバスの素質ありませんか?俺と特性の効果が被ってますよ?
まぁそれはそれとして、やっぱステータスが低いな。ゴブリンよりも弱いって話だし、Nならこんなもんかな?
あとは装備が貧弱かつ壊れ易いけど、バトル終了後に一度カードに戻してから再召喚すれば、初期装備は問題なく復活するし、あまり気にしなくても良いだろう。
とりあえず、こんなところかな?HNにランクアップさせる為にも、当面の目標はレベル10だ。
バトルにおける経験値取得はパーティで等分なのだが、その為には最低1発は殴るか、何らかのスキルを使用してバトルに参加していないと経験値の分配対象と見做されない。
パワーレベリングするにしても、本当にただ突っ立ってるだけじゃダメってことだ。
のんちゃんは攻撃スキルしか持っていないので、スキルを使って攻撃するか素殴りをしないと、経験値を取得してレベルアップをさせることが出来ない。
流石に1人で戦わせるのは無理なので、俺が護衛として残り、ピー助は一旦カードに戻って待機だ。
3人等分よりも2等分の方が僅かなりとも、のんちゃんのレベルアップも早いだろうという判断である。そもそもピー助が護衛とかサイズ的に無理である。
それにしてもこのダンジョン、色んな種類のモンスターが出現するな。
N:ゴブリン
N:ウルフ
N:スライム
N:ボア
N:ラビ
まだ第1階層だというのに既にこれだけ現れている。
初めて見たのはN:ボアとN:ラビかな?
スライムは公式戦でラージスライムを見たことがあるが、それと比べると遥かに小さい。せいぜいサッカーボールくらいのサイズだ。
N:ボアは猪だな。以上、説明不要。
N:ラビは兎だ。角が生えたりもしていない普通の兎である。ただしサイズが中型犬くらいあって、跳び上がって体当たりして来て、ちょっとビックリした。
バトルでは倒してしまわないように素殴りでモンスターのHPを削り、逆に相手の攻撃は薙ぎ払ったり受け止めたりと八面六臂の大活躍の棍棒くんである。
ワンパンで倒せるって段階までHPを削ったら、満を辞してのんちゃんの出番だ。
スキル【突き刺す】を使うか、普通に竹槍をブスっと突き刺してバトル終了。
完全に養殖プレイです本当にありがとうございました。
ある程度は自分で戦えるくらいにまでステータスが伸びないと、マジでどうにもならんのだから仕方がない。
あと、のんちゃんがレベル2になった時に気が付いたんだが、Nってステータスが1ずつしか上昇しないらしい。
レベル上限が低いだけじゃなく、ステータスの伸びまで悪いんかい。そりゃ誰も公式戦で使わんわ。
さっさとHNにランクアップさせないとマジで使い物にならん。
どんどん進んで行って第5階層を目指す。
第4階層になると時折N:農民兵が混じるようになって来た。偵察か何かかな?
「大丈夫か、のんちゃん?」
「え?何がですか、さっちゃん先輩?」
「いや、農民兵同士で戦ってるだろ?大丈夫かな?って思ってさ」
レベリングの為とはいえ、同郷出身者とかと戦わせるのは可哀想な気がするし。
「今の私はアーニャ様に仕えるサーヴァントですし、特に気にしませんよ?家族に関しても気にする必要はありません。私を妓楼に売ろうとしてたので、嫌がらせに農民兵に志願してやったくらいです。出会ったら真っ先に殺る所存です」
のんちゃんが意外と殺意高い件について。
「そ、そうか。まぁ嫌じゃないなら良かった。そんじゃ俺も遠慮なくガンガンぶん殴るぜ!」
「はいっ!私も早く先輩方に追い付けるように頑張ります!」
「今日中に第6階層のポータルをアクティベートしておきたいですね。この辺だと敵のレベルが低すぎてレベリングには非効率ですし」
敵が弱すぎるもんで、アーニャが指示する余地がないからな。ただ歩いてるだけなので暇そうだ。
「だな。せめてHN以上じゃないと経験値がショボすぎる」
ちなみに、俺が毎日のように「経験値の取得状況を分かるようにしろ」とクレームを入れ続けていたら、とうとう根負けしたのか、経験値バーが導入された。
数値こそ分からないが、レベルが低いのんちゃんならモンスターを1匹倒すだけでも目に見えてバーが増加したので、あと何匹倒せばレベルが上がるか、ある程度推測出来るようになった。
これが俺たちだけなのか、全マスターが対象なのかは分からないが、クレーマーの勝利と言えよう。いや、クレームは言い方が悪いな。俺はただユーザーとしての要望を伝えただけだ。
そんな至極真っ当な要望を受け入れて導入を決定したのはGRなのだから、俺が引け目を感じる必要はない筈だ。
俺はとても爽やかな気分になったので、そこらを彷徨いていたゴブリンをぶん殴って瀕死にし、口を開けて餌を待つ雛鳥の前に放り捨てた。