第6話 美少女たちの愛の巣(仮)
ぴぴるぴる〜♪
撲殺夢魔サキュバスちゃん参上!!
第2階層に進んだものの、ゴブリンさんにこれといった変化はなかった。
敢えて言うならレベル2になった事と、時々レベル3が出て来る程度かな?
でも行動パターンが変わらないので、最早ただの作業と化している。
これ以上は語る事もないので以下省略。
第2階層もマッピングし終わったけど、流石に今日はもう疲れたので、第3階層へは進まず帰ることにした。
地図を見ながら最短距離で帰路に着いたのだが、第1階層のゴブリンがリポップしていたので何度か戦闘をしなければならなかった。
明日からは、帰り道でもある程度戦闘が発生することを想定して撤退タイミングを考えた方が良さそうだ。
本日のリザルト:ゴブリンの魔石×31個、棍棒?×2個(1個は破損により廃棄)
宝箱は出ませんでした。
魔石の買取価格が1個1Gだとしたら30G程度にしかならないので、ゲート代に加えて宿泊費&食費を考えると完全に赤字ですな。
まぁよく考えれば当たり前なのだが。
☆1ダンジョンをたった数時間探索しただけで、ホテル代と食費が稼げるなら『☆1マスターよりもフリーターの方がマシ』とか言われている訳がない。
でもそんなことは一攫千金を夢見るお金大好きアーニャちゃんには関係なかった。
第2階層でも宝箱が見つからなかったので、ぷにぷにほっぺがフグのように膨れている。
我慢出来ずに人差し指でプスっと突くと、プシューと息が漏れ「もぉ〜」と言いながらポコポコと俺を叩きキャッキャと笑う。
どーやら機嫌は直ったようだ。
来た時と同じように手を繋いでゲートを潜り、町の魔石買取所で換金した後、不動産屋に行くことにした。
ビジネスホテルはダメだ。設備は問題ないが単純に予算が足りない。安い所でもシングルルームの食事抜きの素泊まりで50Gは掛かる。
月契約か週契約の家具付き賃貸が望ましい。
ランニングコストはアパートの方が安いかもしれないが、家具を自前で揃えなきゃいけないので今は無理。
不動産屋で予算や立地などを色々吟味した結果、600Gで4.5畳1Rの月契約か180Gで6畳1Rの週契約のどちらかに候補は絞られた。
前者は前払いで600G掛かるので、財布の中身がかなりピンチになる。
後者はとりあえず今日払うのは180Gで良いし部屋も少し広いが、最終的には1ヶ月720G掛かることになるで割高になってしまう。
設備はどちらも風呂無しでトイレは共用(男女は別)。各部屋に水道はあるけどコンロは無し。
その代わりと言っては何だが、エアコンやベッド、折り畳み式ローテーブル、小型冷蔵庫、電子レンジ、電気ケトルなどが部屋に備え付けであるので、自炊こそ出来ないがコンビニ弁当を温めたりカップ麺を作ったり、食後にインスタントコーヒーを淹れるくらいなら出来る。
主な入居者は出張や単身赴任中のサラリーマンや金欠大学生、ついでに下級マスターも2人いるらしい。
3部屋空きがあったので、両隣が女性の部屋を選んだ。
部屋の壁も薄いだろうし、こっちの会話や生活音を聞かれたり、逆に男の生活音を聞かされるのも嫌だ。
隣に美少女が入居したと知ったら、一晩中AVの音声垂れ流しとかセクハラして来そう(超偏見)
その点女子なら問題ない。なんなら彼氏を連れ込んでくれても一向に構わん!
不動産屋のおっちゃん(30代なんて俺らからしたらおっちゃんですよ)に案内して貰い、部屋の内見をする。
普段はバイトに任せるらしいのだが、他に客がいなくて暇なことと、相手が若い女の子2人なこともあって、社員のおっちゃんが直接案内してくれることになった。
「狭いけど、家具付きで光熱費を含めて600Gならこんなもんじゃね?アーニャはどーよ?」
内見と言っても所詮は風呂トイレ無しの1Rなので、壁紙や家具などに破損や動作不良がないことを確認するくらいしかやることはない。
「うーん。ベッドが一つしかないけど、私とさっちゃんならなんとか2人で寝れるかな?」
えっ?俺も一緒のベッドで寝て良いんですか?
日中はまだしも、寝る時は流石にカードに戻されるものと思ってたんだが、マジで良いの?
おっちゃんもアーニャの同衾発言は予想外だったのか、俺とアーニャの顔を交互にチラチラ見ている。
この美少女2人が同じベッドで…とか妄想しているのだろう。今夜のオカズは決定だな。
「なぁおっちゃん。念の為カメラとか盗聴器とかないか、調べたりって出来る?」
不動産屋で話してた時とかは一応丁寧語くらいは使ってたんだが、理解出来るとはいえ俺とアーニャをエロい目で見て来たので、もはや使う気が失せた。
「あっはい。検査機器を持って来ていますので、一緒に確認して下さい」
俺にジト目で見られていることに気付き、慌ててバッグからゴツい機械を取り出した。
「これは俗に言う盗聴器のサンプルです。これにこの機器を近付けると電波をキャッチして音が鳴ります」
そう言って徐ろに二つを近付けると、何とも言えない不快な音が鳴り響いた。
「ぬぁ〜」
「凄い音」
俺とアーニャは反射的に耳を塞ぐが、それでもダメージは大して緩和出来なかった。
「ありふれた音に設定してウッカリ聞き逃したりしたら大変なので、敢えてこういう不快な音に設定しています」
なるほど。確かにこの音なら万が一にも聞き逃さないだろう。
それに、不愉快な存在であるカメラや盗聴器を発見した際の音が「ピロリン♪」じゃイラっとするわ。
おっちゃんが壁やら天井やらに機械を近付けて問題ない事を確認した後、共用の女子トイレへ移動。
俺たちと一緒とはいえ、作業中に女性住人がトイレに来るかもしれないのでおっちゃんは中には入らず、使い方を教えて貰って俺たちだけで確認することに(もちろん反応は無かった)
ここに決めることにしたので再び部屋に戻り、契約書の内容に問題ないことを確認してアーニャがサインをし、今月分の家賃をライセンスカードで支払ったことでこの部屋は正式に俺たちの物になった(賃貸だけど)
とりあえずこれで1ヶ月は野宿を回避出来るが、今日の収入は40G。そこからゲート代の10Gを引くと手元には30Gしか残らない。
このペースじゃ休まず毎日ダンジョンに行っても、家賃と食費ですっからかんだ。
ショップでカードを買ったり、ガチャを引いて戦力アップを目指すなど夢のまた夢である。
そもそも週末のバトルの為に最低500Gは確保しておかなければいけないので、既に使える金は殆ど残っていない。
ゴブリンがカードを落としてくれれば金ではなくそれを賭けの対象に出来るのである程度余裕が生まれるのだが、ドロップ率は1%と中々に渋く、週末までに一枚落ちるかどうかといったところだろう。
レオ○レスの設備とか盗聴器探知器の件は100%創作です(全く調べてませんw)
この世界ではそうなんだと緩く考えて下さい。