第57話 昇格祝いパーティ
マスター協会を後にした俺たちは、カードショップに寄って狼獣人(♂)を7,500Gで売却した。
ゴブリンキングよりも少し安かったのは、回復要員が居ない分、ゴリ押し戦法でも倒し易く、その分在庫があるからじゃないかな?
当初の予定以上の軍資金をゲット出来たので、スーパーに寄ってお菓子やケーキなどを大量に買い込んで行く。
今夜はエリカのアパートで、アーニャの☆2昇格祝いパーティを行う予定なのだ。
「いらっしゃい。アーニャちゃん、さっちゃん、ピーちゃん」
「お邪魔します、エリカさん」
「お邪魔しまーす」
「おじゃましまーす!」
エリカの家は、キッチンとトイレがちゃんとある6畳1Rだった。
我が家よりも設備が充実している。
それに、既に料理の準備も万端だ。
まぁ今日はたこ焼きパーティなので、大した準備は要らないんだが。
とはいえ、流石にたこ焼きだけじゃ足りないので、デリバリーピザも買ってあるようだ。
今日はお祝いだからエリカが全額出すと言っていたのだが、こちらは3人だし俺とピー助は底無しだ。
アーニャとエリカの互いに一歩も譲らぬ折衝の結果、メシはエリカ、ジュースやお菓子などはアーニャ持ちということで落ち着いた。
「それでは、アーニャちゃんの☆2マスター昇格を祝って、カンパーイ!」
「乾杯!」
「かんぱーい!」
「ありがとうございます。なるべく早く☆3に昇格出来るよう頑張ります」
アーニャは照れ臭そうにしながら、今後の抱負を語った。
「まぁまぁ今日のところは、そーゆーのは無しよ!さぁどんどん焼きまくるわよー!」
「おー!」
ピー助は元気良く相槌を打っているが、お前は食うの専門だろ。
「アーニャ、あーん」
「あーん」
たこ焼きが焼き上がるまで暇なので、アーニャにピザを食べさせる。
「ちょ、2人はいきなり何をしてんのよ!?」
「何って『あーん』だが?」
「はい」
エリカは一体どうしたんだ?
「アンタたち、毎日そんな羨ましいことしてたの?」
「毎日ってゆーか、毎食じゃない?2人とも良く飽きないよねー?」
ピー助は数日に一回くらいだろうか?
アーニャはピー助にもやりたがってるんだが、その前に料理に文字通り飛び込んでしまうので、やる暇がないのだ。
「さっちゃん、私って今たこ焼き焼いてるから、両手が塞がってるんだけどなぁ?」
エリカめ、アーニャに嫉妬しておねだりとは可愛いヤツよ。
「ほらエリカ、あーん」
ピザを一口サイズに切ってフォークに刺し、エリカにも『あーん』をしてやる。
「あ、あ〜ん」
恥ずかしそうにしながらも、目を閉じて顎を上げ口をちょっとだけ開けるエリカ。
お前それ、あーんじゃなくてキス待ちの顔じゃねぇか!
お望み通りキスして舌を絡めてやろうか?
正直したいかしたくないかで言えば、今すぐエリカとキスしたいが、まだアーニャともしてないのに、それはどうなんだ?とも思う。
あくまでも俺の本命はアーニャであり、それ以外のエリカを含む全ての女は2番以降だ。
しかし、たぶんえっちする順番はアーニャよりもエリカの方が先になると思う。
アーニャはその辺まだまだお子様だ。
一方エリカは年相応にえろいことに興味津々で、百合えっちにも抵抗感は薄い。
同棲を始めたら、そう遠くない内に名実ともに俺のオンナになることだろう。
俺の初えっちの相手がエリカになる以上、せめてファーストキスだけでもアーニャに捧げなければ、俺の中でバランスが取れない。
引っ越しまでの残り2週間ちょっとでアーニャの唇にキスをする。
もちろん事故や無理矢理ではなく、アーニャにキスをしたいと伝え、同意を得た上でのキスだ。
その時にエリカを俺のオンナにすると伝えてるつもりだ。アーニャに隠れてコッソリ付き合うつもりはないので、万が一アーニャに自分だけを見て欲しいと言われたなら、残念だがエリカのことは諦めるしかない。
その場合はえっちなイタズラも止め、普通の友達として接して行く覚悟である。
そんな訳で、今はキスは無しだ!
「エリカ、もっと歯医者行った時みたいに口を開けろ。あーんに恥じらいなど不要!」
「あ、あーーーん」
「…へぇ、エリカって虫歯無いんだな。アーニャも無いし、美少女ってそーゆーもん?」
顔は可愛いのに歯が治療痕で銀だらけの子って、なんとなくちょっと萎えるよね?
「び、美少女って…あと変なとこ見ないでよ!」
おっ、エリカが恥ずかしがってる。
まぁ確かにエリカはもう成人して2年経ってるんだし、美少女って言われるのは変な気分なのかもしれん。
「可愛い女の子なんだから、美少女で良いじゃねぇか。俺がエリカを美少女だと思ってるってこと以上に、この世に大事な事なんてあんのか?」
人間とサーヴァントだとか、女同士だとか、そんな些細な事など気にならないくらい、既にエリカは俺に惚れている。
元々百合の資質もあったんだろうけど、俺が銭湯でオンナの快感を教えてやったことで『俺=自分にえっちな事をする相手=恋人=好き』と連想ゲームみたいな感じで刷り込まれてしまったのだろう。
交際の手順としては順番がちょっとアレだが、アーニャの許しさえ得られれば責任は取るつもりなので、多少のことは大目に見て欲しい。