第52話 さらに1ヶ月後
「そんじゃー☆1生活、最後のバトルに行くとすっか?」
「☆2の昇格もだけど、引っ越しも楽しみだわ!今よりも広くてリビングがある家に、エリカと一緒に住むんでしょ?」
「ルームシェアな。あと気が早ぇよ。今月分の家賃は先払いで既に払っちまってるからな。引っ越すのは3週間後の7/1だ。今の家にも当日の午前までなら居ても良いってことになってるから、朝飯食ったら荷物纏めて引っ越すって感じだな」
まだ必要な家具なども全て揃ってはない。特にベッドが決まってないのが問題だ。
俺的には一番重要だと言っても過言ではないだろう。
だって安物を買って壊れでもしたら大変だろ?
激しい運動にも耐えられる頑丈なベッドを選ばねばなるまいよ!
「あっ、あの時のおじさんだ」
おれが物思いに耽っていると、突然アーニャが声を挙げた。
「おじさんだぁ?」
俺たちにおじさんの知り合いなんか居ねぇぞ?
「ほらっ、あそこ」
んー?見たことがあるような無いような?
「だーれ?」
「ピーちゃんはまだ居なかったかな。私とさっちゃんが初めて闘技場に来た時に、話し掛けて来たおじさんなんだよね」
「あー、アーニャにビビって逃げたおっさんな。あれ?まだここにいるってことは負けたんか?」
新人狩りしてまで勝ち星稼いでたのに、結局負けたんかい。ダッサ。
「折角だし、あのおじさんにしようか?」
俺らと同じ9連勝中なら流石にちょっと可哀想だが、そうじゃないなら特に気にする必要はないだろう。
「あのおっさん元☆2だって話だし、まだRカードを持ってるかもしれねぇぞ?ピー助を餌に釣ってみようぜ?」
☆1バトルの10連戦程度で途中で転けるような相手に今の俺らが負けるとは思えない。Rカードを分捕って、引っ越し資金の足しにしてやるぜ!
「えいっ!」
アーニャが可愛らしい掛け声と共に、対戦申請を送信した。
公式戦対戦申込申請
送信者:アーニャ スメラギ
受信者:グラン トウドウ
公式戦希望日時:本日今すぐ
アーニャ スメラギ
アンティ:R妖精
アンティ希望:Rサーヴァント(種族問わず)
「返信来たよ!」
受けるか、それともNカードでお茶を濁すか、どっちかな?
グラン トウドウにより申込申請が受諾されました。
グラン トウドウ
アンティ:R狼獣人(♂)
本日 10:20までに☆1闘技場第2控え室にて待機して下さい。
選手の到着が確認出来なかった場合、理由の如何に拘らず不戦敗となり、アンティの強制執行が実施されます。
不明点がある方はGR:(*´꒳`*)までお願い致します。
そっちじゃねーよ!
いやでも、狼獣人(♀)だった場合、あのおっさんのお手付きの子なんだよな?
正統派な百合っ子としては、男と経験のある子はちょっと…一夜限りの火遊びなら、そこまで気にしないんだけど、俺のハーレムに入れるのは気が進まんなぁ。
「また狼獣人?しかも♂とか、ただのカモじゃん」
もう既に飽きるくらい戦ってるからな。
♀の場合は俺のセクシービームの魅了が効かないから行動不能に出来ず、多少は梃子摺るんだけど、それでも一度も負けたことはない。
♂なら、ピー助の言う通り本当にただのカモだ。
ちゃんと魅了対策はしてるのかね?
何も無いなら、2ターンくらいであっさり終わっちまうぞ?




