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第46話 餓狼草原

 カードショップの女店員から仕入れた【餓狼草原】の第10階層ボスがR:狼獣人(♂or♀)であるという情報を基に、Rカードの自力入手を目指すべく【小鬼の巣穴】から狩場を変更することにした。


「ピーちゃんは空から索敵と、次の階層への入り口を捜索して下さい」


「おっけー」


「さっちゃんは、私の前を歩いて草をどかして下さい」


「これ草生え過ぎだろ。いっそ全部燃やしてぇわ!」


 まさに大草原不可避…って、いや全然意味違うわ。全く笑えねぇし。


 洞窟みたいに道がないから、何処を目指して歩けば良いのかも分からないし、目印になるような物もないから、地図を描くのも一苦労である。


「ピー助、お前が頼りだぞ?さっさと何か見付けてくれ」


「そー言われても、具体的に何を探せば良いのよ?草の中に隠れてたら、上からじゃ絶対見付けられないわよ?」


 確かに探す対象が漠然とし過ぎかもしれないが、形状が分からない以上、他に言いようがない。


 ネットでダンジョンの攻略方法を検索しても出て来ないのだ。これはまた自称GRが何か悪さしてるに違いない。


 どんなモンスターが出現するかくらいは大丈夫だが、ダンジョンの最短ルートやギミックまでは知ることが出来ない。


 例えばベテランが新人にダンジョンの攻略法を口頭で教えた場合、ベテランは確かに喋っているのに新人はそれを音声として認識出来ないのだ。


 時間だけが経過していることになるので、新人はキングクリムゾンを仕掛けられたような気分になることだろう。


「あっ、そのまま進むとウルフとバトルになるっぽいよ?」


「ピーちゃん、一度戻って来て下さい」


 今更だが、アーニャはダンジョンや公式戦で指示を出す時は丁寧語である。


 そもそも、アーニャは誰に対しても丁寧語で話すのがデフォルトであるが、実は家では砕けた口調になることも多い。


 ダンジョンにいる今は、お仕事モードって感じかな?


 それはそうと、このダンジョンでの初バトルだ。


 まぁ俺らはレベル10で、相手の暫定N:ウルフはレベル1の筈だから、イジメにしかならんだろうけど。




 分かっていたことだが、レベル1のゴブリンとそう大差はなかったな。ゴブリンよりは足が速いけど、それ以外のスペックは同じ程度だ。


 MPを消費するのはもったいないので、地道に殴って刺して倒しました。


 カードは落ちなかったので、魔石を拾って探索を続行する。


 先日大金をゲットしたが、それはそれとして魔石はキッチリ回収するぞ。1Gを笑う者は1Gに泣くってやつだな。


 しばらく探索を続けると、第2階層への入口を発見した。まさかあんな所にあんな形状のあれがあるだなんてビックリだぜ!


 えっ?何も伝わって来ないって?たぶん自称GRが何かしたんじゃないか?


 第1階層である程度要領を掴めたので、第2階層からは多少探索が楽になったな。


 新しい棍棒のお陰で素殴りの与ダメも上がったし中々順調である。


 実は、Rカードのドロップ騒ぎで有耶無耶になっちゃってたけど、ゴブリンキングが持っていた武器もドロップしてたんだわ。アイツって、もしかして今素手なんかな?


 俺の新しい相棒がコイツである。




小鬼王(ゴブリンキング)の棍棒

レアリティ:R(レア)

効果:棍棒を使用した際、物理属性ダメージを2pt増加する。

備考:非常に硬い木材で出来ており、硬度は鋼鉄に匹敵する。そう簡単には壊れない。


 追加ダメージが2ptに増加した上、壊れ難くなった。ここ重要な!


 草原にはゴブリンがほぼ居ないだろうから、棍棒?が壊れてしまうと補充が出来ないので、非常に有り難い。


 ちなみに装備系アイテムは、サーヴァントが装備すると一体化?するので、俺の羽や尻尾と同様に好きな時に出し入れが可能だ。


 ボディチェックされても余裕で素通り出来ちゃうぜ!


 その後も第2階層、第3階層、第4階層と順調に攻略を続けた。


 当初は第3階層への入口を発見した時点で帰ろうかとも思ったんだが、同じ歩くならいっそ先に進んで第5階層のボスを倒し、第6階層のポータルをアクティベートしてしまおうということになった。




グレイウルフ(♂)

レベル:10

レアリティ:HN

HP:60


 中ボス補正で俺らと同じレベル10だ。HPもたぶん2倍になっている。


 今回は流石にスキル解禁だな。


「ピーちゃんは【アローレイン】です。さっちゃんはいつでも【セクシービーム】を出せるように待機していて下さい」


「いっけー」


「ガォォー!?」


 アローレインを浴びせ掛けるピー助と、サークル内をメチャクチャに走り回って避けようとするグレイウルフ。


 結果はグレイウルフの勝利。この勝利ってのは、生き残ったって意味な。流石に全弾躱せる訳がない。全弾直撃していたら死んでいた可能性もあったのだから、ギリギリとはいえ生き残ることに成功した以上、グレイウルフの勝利と言って良いだろう。


「むっかー避けられたー!」


「まだまだ修行が足りねぇな?」


 格下のグレイウルフに何本も避けられている様じゃ、同格のR:狼獣人には半分は避けられてしまいそうだ。


 あぁ、グレイウルフならとっくに仕留めたぞ?アローレインからギリギリ生還したことで油断していた背後へセクシービームを撃ち込んでやった。


 MENのステータス差とクリティカルヒットの合わせ技で、余裕の撃破ですわ。


 流石にサーヴァントカードは落ちなかった。そう何度も幸運は続かないってことだな。


 その代わりと言っては何だが、グレイウルフの毛皮が落ちた。


 こーゆー装備でもマジックアイテムでもない素材系って、カードショップで売れるんだろうか?まぁいつものショップ店員に聞けば良いか。

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