第30話 いつから俺が魔法を使えると思っていた?
PV数がまた急に増えてる。何故だ?
アーニャ スメラギ
アンティ:600G、アレックス シンジョウの希望を何でも一つ叶える(カードに関連する事象及び回数増加は不可)
R:下級夢魔(♀) レベル4
VS
アレックス シンジョウ
アンティ:妖精(♀)
R:妖精(♀) レベル2
さて、ピクシーのHPはどんなもんかね?
妖精(♀)
レベル:2
レアリティ:R
HP :11
おや?俺がレベル1だった時と同じだな。体が小さい分HPも少ないのかね?
ちなみに、今の俺のステータスはこれな。
さっちゃん(仮名)
レベル:4
種族:下級夢魔
レアリティ:R
称号:男嫌い(男性との性的な身体的接触NG。マスターが男性の場合、全ステータス半減)
特性:封じられし魅力(相手の行動時、自身の魅力値−相手の魅力値%の確率で異性の行動を阻害する)
HP(生命力) :17 (6UP)
MP(魔力):26 (9UP)
STR(筋力):10 (3UP)
VIT(体力):18 (6UP)
TEC(精密性):20 (6UP)
MEN(精神力):27 (9UP)
AGI(俊敏性):19 (6UP)
CHR(魅力):30 (9UP)
LUC(幸運):12 (3UP)
レベルが1上がるごとに得意なステータスが3UP、普通が2UP、苦手が1UPである。
ステータスの伸び方が完全に後衛の魔法系なのに、魔法スキルが無いとか意味わからん。次はレベル5でゲーム的にはキリが良い数字だし、そろそろ魔法スキルを覚えてくれんかな?
記憶も一部封印されてるっぽくて、自分がどんなスキルを持っていたのか思い出せないけど、自分が魔法系なのは、種族的にもステータスの伸び方的にも間違いない。
とりあえず今日のところは『レベルを上げて物理で殴れ』を実行しますかね。
第1ターン
先手は俺だ。AGI:19もあるし、レベル2相手には負けられん!
「さっちゃん、プランBです!」
「OK!」
アーニャとは事前に戦術を話し合ってある。プランBとはBintaのB。つまり【往復ビンタ】である。物理攻撃だとバレない為の撹乱だ。
「プランBだと?警戒しろ、アーニャ!」
ちっ、拗らせ童貞が紛らわしい真名を付けやがって。戦闘ログがアーニャばっかりになっちまって分かり難いだろうが!
「行っくぜぇ!」
「えー?突っ込んで来た!」
魔法を警戒していたところに、俺が全力ダッシュで向かって来たので、アーニャは…って面倒くせぇ。ピクシーで良い。ピクシーは驚いて硬直してしまった。すぐにこの場に留まっていたら拙いと気付いて逃げようとしたが、時既に遅し。
「おらぁー!」
バッチーン!!
二発目の衝撃でピクシーが右に10mくらい吹っ飛んで行く。
今の手応えはクリティカルヒットしたな。これでピクシーの残りHPは半分を切った。
「サキュバスが物理属性スキルだと?」
「今の時代、魔法一本じゃ食って行けないんだよねぇ」
本当は使えないんだけど、このバトル中だけバレなければ良い。そうすれば、向こうはビンタと魔法の両方を警戒しなければいけなくなる。
俺から離れ過ぎれば、自分の魔法を避けられてしまう可能性が高いし、かと言って近付き過ぎれば俺に接近されてビンタで反撃されてしまう。マスターの判断力を問われる場面だ。
「アーニャ【マジックアロー】発動」
「やべっ、思ったより速っ!?」
避けきれず足に掠ってしまった。
システム上、ほんの毛先であろうとも当たりさえすればダメージ計算が発生するので、肉体的には何ともなくとも、HPが4pt減ってしまう。
あれ?ちょっと待って?
俺の唯一の装備である【夢魔のビキニ】は、魔法ダメージを1pt軽減する効果があるんだよ?
それなのに4ダメって俺の【往復ビンタ】よりもダメージ上なの?
遠距離攻撃の上にダメージまで上って卑怯だぞ!汚いさすが魔法系サーヴァント汚い!
こうなったら、もう一発クリティカルヒットを出して、このターンでバトル終了にしてやる。
第2ターン
「さっちゃん、プランDです」
「おう!」
「今度はDだと?BがビンタのBだとすると、Dはダ?いやドか?くそっ分からん!アーニャ、とりあえず飛んで逃げろ!」
バカめ!意味などないわ!精々無駄に思考に没頭して、ピクシーへの指示をコンマ数秒でも遅らせるが良い。
「また来たぁー!」
また叩かれては堪らないと、ピクシーは空に飛び上がる。
「へへーん。来れるもんなら、ここまでおいでー♪」
ピクシーは、地上から4mは離れた場所でホバリングしており、とてもジャンプで届く距離ではない。
「面倒くせぇ奴だ。ならお望み通り行ってやるよ!」
羽が見当たらないからって、いつからサキュバスが飛べないと思っていた?
脳内サブタイトルの回収完了!と思いきや微妙に違うな。俺が魔法を使えるか使えないかは、現状シュレディンガーの猫って奴だ。
アレックスが俺のことを「魔法が使えない魔法使い」だと看破してくれなければ、ドヤ顔で言うチャンスがない。
バトル終了直前、なんなら終わってからでも良いから気付いてくれよ、アレックス。
話を戻すが、俺の見た目は人間と対して変わらん。敢えて言えば、美少女なことと耳がちょっと尖ってるくらいだ。
羽は日常生活では邪魔なだけだから消してる。だって羽があったら、ソファーの背もたれに寄りかかったり、仰向けで寝たり出来ないじゃん?普通に不便だよ。
背中に意識を集中し、パッと見コウモリの羽みたいな形の魔力で出来た真っ黒な羽を出現させ、空中へと飛び上がる。
「ちょ、やだ。こっちくんなー!」
「てめえが来いっつったんだろうが!」
ちょっと飛び過ぎちゃったので、右斜め上から打ち下ろし気味に【往復ビンタ】を放つ。
「キャー!」
パシンパシーン。
最近飛んでなかったから、バランスを崩しちまった。クリティカルヒットを出せなかったので、ピクシーのHPは1pt残っている。
また妖怪1タリナイかよ。何処にでも出張って来やがるな。ぶっちゃけ世界一有名な妖怪だと思う。
数字という概念さえあれば、異世界にすら出張を辞さないとか勤勉過ぎじゃね?
物欲センサーさんと双璧を成していると個人的には思うわ。