第22話 ギャンブラー伝説アーニャ
【祝ブクマ100件】にも拘らず、今回はかなり短くて1,000文字ちょっとです。すいません。
前話が第三者視点、次話は日付が跨いでしまうこともあり、どちらかに纏めるには微妙でした。
次話以降は2,000文字くらいが続きます。
何か俺の出番がモブに奪われた気がする。自分自身何を言っているのか分からないが、なんとなくそんな気がした。
漫画の解説キャラがポッとでの新キャラに解説役を横から掻っ攫われた。みたいな心境になったのだ。
今はもうそんな気配はない。観戦前に色々あったし疲れてるのかもしれないな。そろそろ良い時間だし帰ろうかな?
「アーニャ、そろそろ陽が沈むし帰らねぇか?」
「そうだね。最後に面白い物も見れたし、帰ろっか?」
あの悲痛な叫びを『面白い物』とは、やはりアーニャの通っていた学校は修羅の国だったようだ。
「おー、結構儲かった!」
スマホを見ながらアーニャが不穏な単語を口にする。
「…儲かった?」
「200Gくらいかな?オーガのマスターに感謝だね」
「賭けてたの?」
いくら賭けてたのかは知らんが、200Gも利益が出たってことは10Gや20Gではないことは明らかだ。
「大丈夫だって。最悪外れても、頑張れば週末までにダンジョンで稼げる金額で勝負したから」
「週末までの食費とか銭湯代とかは確保してあったのか?」
「…今日もいい天気だねぇ」
こんなあからさまな話題逸らしを現実に聞く日が来ようとは。
俺は1Gたりとも掛からんけどアーニャは違う。人間は日々生きて行くだけでも金が必要だというのに、それを忘れてトトカルチョに注ぎ込むとは、アーニャはソシャゲガチャに食費まで使い込むタイプだな。
「アーニャは今後トトカルチョ禁止」
「そんな!?」
俺の判決に絶望の表情を浮かべるアーニャ。
「さっちゃん、許してよ〜。さっちゃんにもご飯食べさせてあげたかったんだよ〜」
なんか、浮気した彼氏が「別れないでくれ」と彼女に縋り付いているような光景だ。
「むぅ」
俺の為と言われると弱い。金が無いせいで俺だけメシが食えず風呂にも入れないことを、アーニャはずっと気にしていたからな。
「…次からは事前に俺に相談するように。破ったら今度こそ禁止だからな?」
日和った。我ながら教科書に載せても良いくらいの日和りっぷりである。
「やった〜!ありがとう、さっちゃん!」
俺の腕に飛び付いてくるアーニャ。腕におっぱいが押し付けられ、柔らかく幸せな感触が心地良い。
「ほら、暗くなる前にさっさ帰るぞ?スーパー寄ってメシ買うんだろ?」
俺の分は菓子パンとかおにぎりを1個とかで十分だ。
栄養摂取が目的ではなく、一緒に食べているという事実こそが重要なので、実際にはアーニャの食費の半分も掛からないだろう。
まぁ何かの記念日とかには、一緒にケーキを食べるくらいはしても良いかな?