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俺のヒロイン候補が変態ばかりなんだが?  作者: 平井淳


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14/16

13:昼食の時間

感想をお待ちしております。

 職員室から教室に戻る途中、廊下で東野さんに出会った。これから昼食を取るのだろう。彼女はおにぎりやパンが入ったビニール袋を手に提げている。


「あら、中崎くん。どこへ行っていたの?」

「職員室だよ。入部届を出してきた」


 先程、届け出は塩見先生によって受理されたところである。


「これで正式に文芸部の仲間になったというわけね」


 そう言って東野さんは右手を差し出し、握手を求めてきた。

 俺は「ああ。よろしく」と返事して、彼女の手を握る。


 ひんやりとした感触が手のひらに伝わってきた。もう春だというのに、なぜか彼女の手は氷のように冷たい。


 ……そういえば、女子と手を繋いだのっていつ以来だっけ。幼稚園?


「昼飯、いつもどこで食べてるんだ?」


 俺は彼女に尋ねた。


 昼休みになると姿を消す東野さん。五限目が始まる数分前に教室へ戻ってくるのだが、それまでの間、どこで何をしているのかは不明だった。


「部室よ」


 と、彼女は答える。

 なるほど。そうかだったのか。部室は自由に使えるから、昼食を取るには持ってこいの場所だな。


「一緒に食う友達はいないのか?」

「ええ。私、食事は基本的に一人で取るタイプだから。そもそも、私に友達なんていないわ。いつでもどこでも一人で過ごしているわね」


 残念な事実を淡々とした口調で説明する東野さん。


 全校生徒から人気があるくせにぼっちなのかよ。普通に友達とかいそうなイメージだったけど、高嶺の花って感じがして誰も近寄ってこないのかもしれない。


「中崎くんは教室で食べているのかしら」

「ああ。浜口とな」

「あなた、彼と仲がいいわよね」

「そうだな」


 俺たちは同じ趣味で繋がる友人だった。休み時間は主にアニメの話をしている。


「どっちがウケでどっちが攻めなの? 彼の方から告白してきたのかしら」

「そういう関係じゃねぇわ」


 勝手にカップル認定されていた。

 この前の小説といい、彼女のホモに対する執着心は何なんだ? 何が彼女をそうさせるのだろうか。

 

「違うのね。残念だわ」

「いや、残念がる必要ないから」


 いつか俺と浜口が彼女の小説のネタにされそうで恐い。いくらフィクションとはいえ、モデルにされるには勘弁してほしいものだ。


「そうそう。さっき塩見先生から教えてもらったんだが、文芸部には五つの掟というものがあるらしいな。知ってたか?」

「ええ。古くから伝わる大切な決め事よ。あなたにもこれを遵守してもらうわ」

「東野さんも守っているのか? それ」

「当然でしょう。私は文芸部の部長だから。他の部員の模範になるべき存在よ」

「模範って……。今まで君一人だけだったのに?」

「いずれ部員が増えることを想定していたのよ」


 適当に考えた言い訳っぽくも聞こえるが、まぁそういうことにしておこう。


 俺はその場で東野さんと別れた。浜口を待たせてしまっているので、早く教室へ戻る必要がある。もしかしたら、アイツはすでに食べ終わっているかもしれない。


お読みいただきありがとうございます。

感想をお待ちしております。

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