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不思議な本のタイトル

「寝ちゃったみたい」


外はすっかり暗くなっている。カーテンを閉めるとチカチカとスマホが光っている。

まさか、沢口くんから何か返事来たのかもと思い、すぐに確認する。ドキドキと心臓の鼓動が聞こえる。


『文章硬過ぎでしょ(笑)連絡ありがとう。今日作ったグループも送っとくから参加よろしく。』

文章の下にはみんなで話しているグループへのお誘いが張り付けされていた。

タップするとグループ名2年2組と表示され、既にアタシ以外の全員が参加していた。

とりあえずアタシも参加しないとと思い、参加をタップする。

これでよしっと。


沢口くんに返信した方がいいのかな?迷惑かな?

ん~と腕を組んで悩んでいると、机の一冊の本に書かれていたある言葉が目に飛び込んでくる。


『心配性なあなたへ。人はあなたが思ってるほど、あなたの事を気にしてません。だったらやりたいことやらなきゃ損でしょ!あなたは今何したい?』


アタシは返信したい。

そう思い、文章を考える。さっきは硬すぎると言われたから今度はちゃんと送らなきゃ。


『グループ参加したよ~』


・・限界です。

返信したい気持ちはあれど、何書いていいのか全然思い付かない。涙が出てくる。もういいや、これでアタシの沢口くんとのやり取りはもう二度とないよね。そう思い、送信ボタンを押す。

そして、枕に顔を埋めて涙を脱ぐっていると、すぐにスマホが震える。


『ありがとう。これでみんな参加したみたい。いいクラスになるよう俺頑張るよ。』


沢口くんからのまさかの返信。内容はありきたりだけど、素直に嬉しい。返信が嬉しくて何度も読んでしまう。しかし読んでいると沢口くんから次の返信がきた。


『ところで、西宮さんは今何してた?俺漫画読んでたよ。』


「えっ!?」

あまりの衝撃の文面にアタシの呼吸が一瞬止まり、手にもっていたスマホが手から滑り落ちる。

なんとか呼吸を取り戻して、スマホを拾い再度文面を見る。

な、な、な、何してる?

さ、さ、さ、沢口くんがアタシに聞いてるの?

これは夢?

頬っぺたを指でつねりながらスマホを見る。頬っぺたは痛い。夢じゃない。夢じゃないよ~

喜びでベッドの上でスマホを抱きしめて高速でゴロゴロする。


「返信しなきゃ。アタシ今何してるんだ?」


落ち着いて自分の状況を見てみる。素直に寝てるともベッドでゴロゴロとも書きにくい。けれど勉強してたと言えるほど、成績はよくない。

再び一冊の本が目に留まり、パラパラと捲る。

そして、あるページの言葉を見つけた。


今何してる?とても簡単で同時にとても難しい質問のように感じてしまいますね。けど、今のあなたならこの質問もへっちゃらです。だって今、この本を読んでいるのだから。

コミュニケーションの基本は言葉のキャッチボールです。それは会話だけでなく、メールでも一緒です。会話の一方通行はよくないです。適度に質問を返してみましょう。


アタシは趣味で読んでいるこの雑誌に感謝した。タイトル【枕元に微粒子を】変わったタイトルだったから買ってみたけど、まさかこんな時に役立つとは。人生何が役立つかわからないものですね。ちなみに前の返信の時に読んでた雑誌のタイトルは【雲のくぼみが長靴だらけ】である。


『アタシも本読んでたよ。沢口くんはどんな漫画読んでたの?』


うわぁ~質問しちゃったよ。これで返信なかったらアタシもう死んじゃうかも。

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