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は・な  作者: Reiko
7/14

4月26日10時23分

私の部屋で、宿命を果たすことなく横たわる時計

針は10時23分で止まったまま

動くことないその時計は頭のなかの時間を止めてくれた


……なんてね、本当は私が止めた時計

電池を入れればすぐ動くけれども、ね

それでも10時23分に留めておきたい


あの幸福を一生忘れぬように

今日で、私は25歳

人生4回目の一人ぼっちの誕生会


5年前の4月26日10時23分、あなたは隣にいてくれた

あなたがいたずらしたせいで

時計は10時23分で止まった


そしてその後すぐに消え去ってしまったあなた……

私は電池を抜きました


カレンダーの横で静かなそれは思い出を掘り返すよう

今日から私は25歳

動かぬ時計がそれを知らせた


5年前の今日、いま、私はあなたと寄り添っていた


5年後の今日、いま、他人と寄り添うのでしょうか


手に入るなら偽者でもいいや

そのときに幸福を感じられるのなら、なんでも…


いっそ一人になってみて、ちょっとすっきりした

太陽が控えめに照る真昼間の10時、私は独り


なにをするでもなく、ただぼーっと……

ぽつぽつぽつ、なんて雨が降っても知らんぷり

大はしゃぎで水溜りを飛び越えて笑ってた20年前を思い出す


押入れの奥に大切にしまわれている水玉模様の長靴と傘

少し色あせているけれど、まだ使えそう


長靴は入らないから…いいや

幼稚園児みたいな、頭がやっと入るくらいのちっちゃい傘

可愛いからって差して、外に出てみた


冷たい雨が肩にかかる

無邪気だった頃が懐かしい、、、、何年ぶりだろう?


やっぱり、家のなかの時計を思い出すよ

まだ10時23分で止まってるのね


でも、現実いまはもう10時30分

そろそろお別れの時間かな?


4月の七夕、私たちが唯一出会える日なの

それは、4月26日10時23分

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