迷惑メール
失恋系、メール話です。日常系の恋愛ですねー。
ほら、もう20件目
着信音がぴりりりり、なんてうるさい
……あぁ、うざったい
ぜんぶ迷惑メール箱に移動させて、
携帯の電源をぶちり
用事もないくせにメールばっかして会ってくれない
分からないの?私、嫌がってるの
私がいくら頼んでも連絡してくれないくせに、自分からだとこれ。
もう嫌っ
携帯をぶん投げてみたり
電池を抜いてみたり
窓際で二度三度ときりなく鳴く機械
最初は嬉しかったその音も、いまではただの迷惑な雑音
耳を閉じてしまいたい
外の世界から閉ざされてしまいたい
携帯を握り締めて待っていた日々を思い出す……
いま、此処で、愉快に歌うCDプレーヤーの隣で居眠りしながら
聞こえてくる音色は忘れかけたものばかり
譜面にとじたその音色はもう歌うことなく消えかける
ねぇ歌って
非日常な休日を探しながら業務用の笑顔をみにつけたりして
最近眠れないの
後ろを向いて俯くしかできないの
正直疲れるの
求め続けて何も得ないことを思い知るのが…
ごめんね、もうアドレス変える
私にはそのメールを読む良心も、返信する勇気もないから
だからもう連絡しないで
本当は消えたくなかったんだよ
それを分かってほしいだけなの
また会えたら話そう、お互いの声で
枕元でまた携帯が鳴ったら、私は迷わずそれを床に叩きつけることにしよう
失ってから分かったんだ――
日常は刺激より遥かに大切なんだって
一度ヤル気をなくしたものはもう戻らないって
メールアドレスは、変えてメールが途絶えてから後悔するんだって
20件もきてたのにね
いまは、ゼロ
また新しい迷惑メールを探しに行こう……