A Dandelion
今回は切ない系で、「たんぽぽ」を主として花を題材に書いてみました。
小さな黄色い花
緑の雑草の茂みで、揺れてる
女帝でもなく、王様でもなくて
偽りのない、単純な黄色さ
太陽ほどは赤くない、オレンジよりは黄色いに近い
それは私のなかに「感覚の左右」と名づけられた、一つの感情を生んだのです
花の第一印象――
それは綺麗、美しい……そんな人もいるけれど
私にとってはそうじゃない
私にとって、花、それは変化の象徴なんです
季節の変化、空の色の変化、気持ちの変化
人によっては和むかもしれないし、癒しかもしれないね
でも、私は?
私は、ものを見ると、形そのもので捉えてしまいます
ボールなら円、たんぽぽなら花……
当たり前ね、でもその形そのものでしか捉えられないまま――
私には何が足りないのでしょう、何を失ったのでしょうか?
雑草のなかで咲くたんぽぽは、女王でもライオンでもなかったのです
そう、たんぽぽは季節でした、春そのものでした
そういう存在としてこに大地に生まれたんです
感情も誇りも持たずに、春の「当たり前」として生まれてきた
形で捉える私には、そう感じられたの
でも、私たち人間は違う
別の意味で生まれてきた
心から、咲くことを願われ、それを生きがいとして、当たり前として生まれてきた花とは別、
違う目的のためにこの大地で生きていた
私たちはなぜ笑うのでしょうね
楽しいから、喜んでいるから、嬉しいから、面白いから、ただ笑いたいから
花は、その感情を持っていません
当たり前だと思いますか?
いいえ、違います
口を開かずに、ただ立ち尽くしている花たち
哀しみを、愛しさを、感情を持つことは許されない存在なんです
私たち人間は感情を失えば、どうなってしまうのでしょうね
どんな能力があっても、所詮は人形も同然
感情がなければ人としての豊かさを失ってしまう
そんなことも知らぬふりをして咲くたんぽぽは強い
草原のなか、一輪だけ咲いていても、平気
「寂しい」と思うことを知らないのだから
偽りのない無邪気さを持つたんぽぽは紛れもなく純粋で綺麗
でも、それが美しいとは限らないのです
なぜなら、たんぽぽは感情を持つことを許されず、持たない
残酷に気持ちを綿毛のように、飛ばす能力を持っているから、捨てられるから
感情はそんな軽いものなんかじゃない
ひとが持つと、そこで初めて人間として心が成り立つ
その美しいもの……
私は、持っているのでしょうか、
今回は少し重めになりましたが、いかがでしょうか?
なにかご想像されたことがあれば、ぜひぜひ評価欄等でお教えください。