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は・な  作者: Reiko
10/14

3匹の。

昨日、川原へ行った

なんとなくそんな気分で、水に浸かって遊んでいたら、サワガニを見つけた

着ていた上着にそっと入れて、足がぬれたまま家に帰って


近くの溝の水を取ってきて、じゃぼじゃぼ入れて

ゴソゴソ動くかにを、ずっと見てた

もう時間なんて関係なくなった


指でつつくとあしを動かして

えさを入れると、そっと口をもごもごさせて

可愛いな、そんな思いでずっと見てた


興味本位で色んなものを水につっこんで

ちょいちょい暇さえあれば手にのせて弄って、遊んで

時々水を抜いて、苦しそうにあばれるのを楽しんでみたり


ちょい、と指ではじくと踊りだす

えさをやって、水をとっかえながら笑った

かにも動物だな、なんて


愛犬が寂しそうにこっちを見てるのも無視して、かにを弄り続ける

そのちっこい三匹を、小さな水槽に入れて、日々楽しんでいた


でも、ある日、1匹が死んだ

一番大きくて、えさをよく食べていた記憶がある

あれだけ遊べばそりゃそうか、と亡骸を川に流した


残りの二匹は元気に動き回っている

また指先で遊び、えさをやって、電気を消して寝る

その繰り返し


三日後、二匹目が力なく水に浮いていた

ああ、こいつも。

その亡骸は田んぼに放った

今度は、さようなら、と


最後に残された1匹

体も小さく、食べる量も、動く回数も少なく

どうせ死ぬだろう、と私は庭に埋める場所を用意した


とりあえず、死ぬまで玩ぶためにえさもやるし水も替える

2匹が去ったいま、大きすぎた水槽で寂しそうに止まっていた

ああ、死んだな、と思って持ち上げたら、ぴくりと動いた


死んでいなかったらしい


……これまであんなに遊んでいたのに、なんだか、かわいそうになった

かにが、孤独に見えた

私も孤独で、辛かった


新しい家族なかま、それを探しに行こうと、もう一度あの川原へでかけた

そして、連れ帰ってきたのは2匹のかに


あの残された1匹を孤独にせぬように……






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