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第5話 花魁・朝霧ママの人生相談「豊胸したい女の子」

 どうも、皆様、こんばんは! 少し肌寒くなってまいりんしたが、いかがお過ごしでありんしょか? あちきは朝霧あさぎり花魁おいらんの生まれ変わりでありんす。そしてこちらは……。


 は~い、みっなさ~ん、お元気ですか~? 宇宙のエネルギーとリンクして、今日も元気いっぱいのあげまん巫女ちゃんで~す! 遊女の生まれ変わり、袈裟代けさよでもありますよ~! 今はこんなキャラですけど、遊女の頃はお色気たっぷりだったんです。見せてあげたかったなあ~!


 おやおや、袈裟代は今日も、元気いっぱいでありんすなあ。羨ましい限りでありんす。それでは今晩も、皆様からいただいたお便りを紹介させていただくといたしんしょう。


 朝霧ママ、巫女ちゃん、今晩は。私の悩みを聞いてください。実は私、昔から、胸が小さい事がコンプレックスだったんです。私には今、お付き合いしている男性がいるのですが、彼とこの前歩いていて、胸の大きな女性とすれ違ったんですけど、彼が目で追いかけていたのが気になっちゃって……。


 やっぱり男の人って、巨乳が好きなんですかね? それで、私も胸を大きくしたいと思って、豊胸手術を考えているのですが、どう思いますか?


 ふんふん……。胸の大きさでありんすか。いつの時代でも、女子おなごの悩みは変わらないのでありんすねえ。ところで、袈裟代はどう思うでありんすか?


 私? 私はしっかり豊胸してますよ。ほら!(胸を突き出す袈裟代) 私って昔、胸が小さかったじゃないですか? いっつも、朝霧姉さんの大きなおっぱいを見ながら、すっごく羨ましかったんですよ~! だから、この時代に生まれ変わって、豊胸出来たのがすっごく嬉しかったんです。ほらほら! 見てくださいよ~! あははは! ほらほら~!(胸を寄せて突き出す袈裟代)


 わかったわかった、わかったでありんすよ。女子おなごがそんな、みっともない真似はよしなんし。


 えへへ、すいまっせ~ん! でもね、私が手術したの、胸だけじゃないんですよ。目も、鼻も、顎も、ほら、わかります? 総額一千万はかかってますかねえ。


 へ~、そうなのかい? 言われなかったら、全然わからないでありんすねえ。この時代の技術の進歩には、目を見張るもんがありんすなあ。江戸の天才、からくり儀右衛門ぎえもんも、たまげる事でありんしょう。


 か、からくり儀右衛門ぎえもん


 知らないでありんすか? 田中久重たなかひさしげ、東洋のエジソンとも呼ばれた、のちの東芝の創業者でありんすよ。お偉い殿方たちの関心事かんしんごとを、いろいろ知っておくのも大事な事でありんす。でも、知識があるからと言って、それをひけらかしたりしてはいけんせん。でしゃばる事なく、さりげなく言葉を添えて、相槌を打つのでありんす。


 は、はい! 勉強になりま~す!


 さて、話を元に戻す事にいたしんしょう。袈裟代が言うように、胸を大きくして、おのれの体に自信が持てるようになるのなら、手術をするのも良いでありんしょう。でも、好きな男のためにと言うのなら、あちきはどうも、勧めたくはないのでありんす。


 あの人のためにしてやった、そういう想いは、後々になって問題を引き起こすのでありんす。男と女、いつまでも変わらぬ愛を誓えども、必ず心変わりというものがあるのでありんす。その時に、あんたのためにしてやったのに、という想いがふつふつと湧いてくるなら、愛情が憎しみとなって人を狂わせてしまうのでありんす。


 それはそれは、苦しいものでありんすよ……。胸が引き裂かれると言うのは、おのれを壊してしまう事なのでありんすから……。おんしには、そんな想いはしてほしくないのでありんすよ……。


(朝霧の哀切が伝わってきた袈裟代は、思わず感極まって)あ、朝霧姉さ~ん! うわ~~ん!


 う、うん……。失礼いたしんした。あちきが言いたいのは、誰かのためではなく、おのれ自身のためにやるんだって事なのでありんす。その辺の事を承知してくださるのなら、おんしのやろうとしている事を応援したいでありんすねえ。


 それでは今日はこの辺で、おいとまする事にいたしんしょう。皆様、風邪など引きませぬよう、ごきげんよう。


 バイバ~イ! みんな、風邪引かないでね! まったね~!

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