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第3話 花魁・朝霧ママの人生相談「朝霧と夕霧(仲間田由紀恵登場!)」

 どうも、皆様、こんばんは! お元気でありんすか? あちきは朝霧あさぎり花魁おいらんの生まれ変わりでありんす。先週からお聴きの方はご存知でしょうが、アシスタントの巫女ちゃんも一緒でありんすよ。


 みっなさ~ん、こんばんは~! 今週もやってまいりました、あげまん巫女ちゃんで~す! 先週の放送では、私が江戸時代の遊女の生まれ変わり、袈裟代けさよだって事がバレて、結構な反響がありました。これからは、巫女ちゃんでも袈裟代でもどっちでも良いですからね~!


 おや、そうなのかい? おんしの仕事を妨害したかと思って、心痛めておりんした。


 いや~、それがですね、吉原よしわらの話を聞かせてくれって、講演の仕事が増えたりして、いまや大忙しの毎日なんですよ。これも、朝霧姉さんのおかげですよ~! 感謝です~!


 そうかい、そりゃ、おめでたい事でありんすなあ。ところで今日は、おんしがお客様を連れてきたそうでありんすが、どなたさんでありんしょか?


 えへへ、実はですね、朝霧姉さんもよくご存知の方ですよ。どうぞ、お入りになってくださ~い!


 どうも、初めまして、朝霧ママ。


 ……えーっと、おんしは確か、よくドラマに出ておいでの、女優の……


 はい、私は、仲間田由紀恵でございます。朝霧ママのお噂は、以前から聞いておりました。いつかお会いしたいと思っていたんですよ。


 ああ、そうそう、有名な女優さんでありんすよねえ。お初にお目文字いたします、どうぞご贔屓ひいきに。


 朝霧姉さん、会うのは初めてじゃありませんよ。わかりませんか? あの、夕霧ゆうぎり姉さんですよ。


 えっ? ……夕霧? おんしは、あの、夕霧なのかい?


 はい、夕霧でございます。お懐かしいですねえ、朝霧姉さん。


 そ、そうなのかい? おんしもこの時代に、生まれ変わっていたのかい?


 はい。先日偶然、タクシーの中でお二人のお話を聞いておりましてね。遠い昔の思い出が蘇ったんでありんすよ。


 そうなんです。私もね、前からずっと、仲間田さんは夕霧姉さんじゃないかなあって思ってたんですよ。私、霊感がすごいでしょ? 朝霧姉さんと会って、仲間田さんの事が気になって気になって……。それで、連絡してお会いしたら、やっぱり夕霧姉さんでした。それで、朝霧姉さんにも会ってほしくて、今日来てもらったんです。


 そ、そうなのかい……。でも、夕霧は有名女優でありんすから、遊女だったって事が世間様に知れたら、大変な事になると思うのでありんすが……。


 そんな事はありません。朝霧姉さんや袈裟代が、隠さずに堂々と話している姿に勇気をもらいました。それに、元遊女が濡れ場シーンをやってたら、話題になりそうでしょ?


 そうですよ! それに、夕霧姉さんはただの遊女じゃありません。朝霧姉さんに次ぐ人気を誇った、吉原よしわらナンバー2の花魁ですからね! 私なんかとは格が違うんです、格が!


 袈裟代にそう言われるのは嬉しいですが、結局、朝霧姉さんには、最後までかないませんでしたねえ。朝霧姉さんは、今でも私が一番大好きなお人なんです……。あっ、すいません、この後スケジュールが入っていまして、もう帰らないといけないんです。申し訳ありません。


 そうなんですよね、お忙しいのに、私が無理に来てもらっちゃったから……。本当にすいません。


 あらあら、そうかい……。そりゃあ、悪かったでありんすねえ。もし良かったら、また来てくれると嬉しいのでありんすが……。


 はい、喜んで来させていただきます。それじゃあ、朝霧姉さん、袈裟代、今日はどうもありがとうございました。あっ、それから、リスナーの皆さん、他局ではありますが、「仲間田由紀恵のミッドナイトジャポネーズ」の方も、どうぞよろしくお願いいたします。仲間田由紀恵でした。


(慌てて出ていく夕霧を見送りながら)……夕霧姉さん、ちゃっかり、自分の番組の宣伝していきましたね。


 まあ、夕霧も大変なんでありんすよ。あちきたちと違って、この業界で生きている人間なのでありんすから。


 そうですよねえ。私も朝霧姉さんも、本業をしながらのラジオですからねえ。夕霧姉さんとは立場が違いますもんね。


 そうでありんす。他人を蹴落としてでもおのれを売り込む事が、芸能界で生きていくうえで必要なのでありんす。元遊女と言うレッテルを貼られて、週刊誌なんかが面白おかしく書くんでありんすよ。

 

 えー! そうなんですかあ? ひどいよ、ひどーい、ぷんぷん!


 まあねえ、でも夕霧なら、きっと、元遊女って肩書も、芸の肥やしにするのでありんしょう。……あの子ならきっと、大丈夫、うん……きっと……。


 (目を手で覆い、泣き顔を隠す朝霧を見て、思わず感情が高ぶる袈裟代)……あ、朝霧姉さん……うわーーーん! ううう……


 (涙を拭いて、凛とした表情になって背筋を伸ばす朝霧)泣くのはいけんせんよ、袈裟代。私たちが、夕霧の力になってやるのでありんす。リスナーの皆様も、夕霧こと仲間田由紀恵の事を、これからもよろしくお願いいたしんす。それでは、今週はこの辺で、おいとまいたしんす。ごきげんよう。


 皆さ~ん! 夕霧姉さんをよろしくお願いしま~す! まったね~!

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