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第9話 送り犬

 送り犬は地上に放たれ、外を走り回る。

 各地は炎で燃え上がり軍隊と妖怪達の戦いが起こっていた。

 ゾンビに噛まれた隊員は病原菌が感染し溶けて死亡、赤い顔の化け物と戦い食われた隊員もいた。


「ガルルルルル…」


(アア…私モ…人間ヲ、食ベタイ…肉ガ欲シイ)


 改造され妖怪にされた影響か、人間が食べ物に見えてしまう。

 瓦礫に埋まった人間の死体を見ると、口からは涎が垂れ、今にも丸呑みしたい衝動にかられてしまう。

 その時、後ろから耳を撃ち抜かれた。


「キャン!キャン!!」


 その痛みで我に返り、転げまわりながら、振り向いた。するとそこでは迷彩服の男がこちらに銃を構えていた。

 彼は一度こちらを確認した後、がっかりしたように肩を落とし、こちらに背を向けて歩き出した。


「なんだ、ただの野良犬だったか…妖怪かと思ったよ、悪かったな」


 迷彩服はその場から姿を消し、向こうへ行った。


「くぅーん、くぅーん……」


 傷口が痛む、辺りを見回すと、千切れた耳から血が溢れ、その中からチップのようなものが見えていた。

 その影響からか、意識が先ほどよりはっきりし、自分の意思で動けるような気がする。

 そして何故か人間への食欲も無くなった私は、目的地も無いまま走っていった。

 ゴミを漁っては食べてを繰り返し、数日間走り続けた。

 走り続けた果てに、迷彩服の人間達が守っている避難所があった。

 避難所に一軒ずつ部屋があり、そこで人間達が守られている。


「おー、健二じゃないか、遊びに来たのか?」


 知らない人間だった…しかし送り犬にとってこの匂いは覚えがある。

 何故かはわからないがこの人間といると少し落ち着くのだった。


「入れよ、確かに約束してたの今日だったよな。わりぃわりぃ、俺が忘れてたわ」


 この人間は、先ほどの迷彩服と違い、どこか違和感がある。

 犬である私を人間扱いし、非難した施設を自分の家だと言うのだ。

 挙句、今は学校帰りだと言うのだ、外は戦場で激しい銃声や爆撃音がすると言うのに。

 彼は部屋に私を入れると、一人で語りだし、まるで1人芝居のような事を始める。

 私は何も言っていないのに、彼は何か言われたかのように勝手に解釈し、それに答えるのだ。

 この人間は狂っている、妖怪になった私にもそれは明らかだった。

 首に「海人」と言うネームプレートがあった、これが彼の名前だろう。

 海人は「異世界の話」を繰り返し、外へでて何やら喜んでいた。


 「異世界召喚されたんだ」とか言っているが私には何のことやらわからなかった。


 外へ行くと、彼は「村がある」等といい、迷彩服の男達とゾンビが戦闘中の場所へ走っていった。

 何故かゾンビに話しかける海人、ゾンビは彼の顔に手を伸ばしている。

 すると、迷彩服の2人の男がゾンビに銃を打ち込んだ。


「おい貴様、何故こんなところにいる、さっさと戻れ!」


 海人はあまりにも驚いて、その場から動けなくなっていた。


「なんて酷い事を!このおばさんが何したって言うんだ!

違法営業でもしてたってのか?だとしてもいきなり撃つ事はないだろう!」


 海人は怒鳴り散らすが、迷彩服の2人は俺を可哀想な者を見る目になる。

 そして、二人はゾンビの遺体を回収し、その場から走り去った。

 その日は廃墟のベッドで眠り、彼はうなされながら夢を見ていた。

 月が綺麗な夜空だった、人間の匂いを嗅ぎ付けたゾンビ達が廃墟の中に入ってくる。


「ガルルルルルルルル!!!」


 私は海人を守るためゾンビと戦う、口から火の玉を吐き出しゾンビ数体を焼き尽くした。

 その際にゾンビが所持していた回復薬と、剣をゲットし、海人のリュックの中に入れておいた。

 それからは幻覚を見ておかしくなった彼に振り回されながらも、やがて森の中で青い壁に遭遇する。

 妖怪「送り犬」の私からすれば、初めて同格以上の妖怪を目にした瞬間だった。


「ウウウウウッ!!ワンッワンッ!!」


 壁から伸びてくる青い顔に牙を伸ばして食らいつく、しかし食いちぎっても別の顔が壁から生えてきて戦いは終わらなかった。

 彼はこちらが見えてないのか叫びながら逃げ出してしまう、追いかけるものの、森の中で見失ってしまった。

 合流出来たのは、数時間後の先に村に戻ってからの事だった。

 彼は無数の手と新たな妖怪に追われてここまで走ってきていた。

 今まさに、襲われようとしている最中だったのだ。



―――そして今に至る―――



 海人を襲う顔の妖怪の顔面を牙で粉砕し、敵を倒す事に成功した。

 私を作った人の話によれば私は妖怪「送り犬」で人間を襲う存在だそうだが、今では彼を主人と認めている。

 その日は結局、迷彩服の軍隊のいる施設に戻り、眠る事にした。

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