第1話 異世界召喚?
よくある異世界転生物の話では、トラックに轢かれて、ファンタジー世界に転生し無双するのがテンプレだ。
俺、碇海人もそんな世界に憧れる普通の高校生。
だが、いくつか問題がある。
「トラックに轢かれるのは怖いし‥痛いのも嫌だ」
結論から言って、無理と理解していた。
しかも問題はそれだけではない、トラックの運転手にとても迷惑がかかるわけだ。
よって海人は異世界転生は無理だと妄想に留めておき、実際に実行したいと思うことは無かった。
「ならば異世界召喚はどうだ?突然召喚させられるならトラックに轢かれなくても済みそうだ!」
よって、海人の願望は異世界転生から異世界召喚となった。
「よし、まずは異世界にいつ行っても戦えるように体を鍛えないとな」
海人は腹筋をして、体を動かしトレーニングをしている。
漫画か小説では、鏡から移動したケース、穴に落ちて移動するケース、色々あった気がする。
「ベットで寝て起きたら‥なんて事もありえるか、楽しみだ」
不可能な妄想をしながら、彼は勝手に盛り上がり、異世界召喚を期待している。
学校では「異世界オタク」と呼ばれ馬鹿にされているが友達がいないわけではない。
今日もアニメオタクの友人が家に来ていた。
「海人氏、もうそんな妄想はやめよう?異世界に行くなんて、絶対に実現する事はないよ‥漫画やアニメの世界は好きだけど、自分が行けるわけないじゃない」
友人の健二から見ても海人はおかしかった。
異世界に行く、ありとあらゆる手段を試す彼を友人としても不気味に思っていた。
「いいや、健二、甘いぞ、夢とは叶える物だ、俺は必ず異世界に行くぞ!美少女に囲まれたい!チートスキルを所有して無双する主人公になるんだ!」
「えぇええええ‥」
健二は青ざめた表情で若干引いている。
ピンポーン
チャイムが鳴った。
「お、これはモンスター娘が家に来るフラグかな?最近では家ごと召喚されるケースも少なくない、もしそうだったら健二、お前も覚悟を決めておけよ」
「あー、はいはい、セールスとか怪しい宗教の勧誘には気をつけてね」
海人はワクワクしながらドアを開いた。
すると、辺りは草原だった。
いつもの風景とは違っている、これはつまり‥。
「キタキタキタキタキタキターーーー!!!
健二!やったぞ!異世界召喚だぁぁぁっぁああ!!!」
勝手に盛り上がり走ってくる海人だった。
健二は信じられないが、外を見ると言葉を失ってしばらく放心状態だった。
「なんだこれ、僕は夢でも見ているのか?」
自分のほっぺをつねるが、痛みはあった。
「ひゃっほーう!やったぁあ!!異世界だ異世界だ異世界だぁあ!!どうだ健二、あの空を、あの見た事もない生き物を、きっとここには魔法が使えたり邪悪なモンスターもいるんだ!そして俺達は既にチートスキルを持っている可能性がある!」
「信じられない‥こんな事があるなんて‥」
晴れた空を見上げながら草原を進んでいく、その途中、軍服を着た男に呼び止められた。
「外出許可を出した覚えは無いぞ、戻れ」
海人は混乱した、外出許可?何を言っているのだろうと。
「ふざけんな!そっちが勝手に俺の家を異世界に召喚したんだろう!出て来るなとはどういう事だ?俺に助けを求めてここに呼んだんだろう!」
「貴様‥何を言っている‥?」
「健二、行くぞ、こんな奴は無視だ無視!」
「けん‥じ?」
軍服を着た男は健二を見ながらそんな事を口にした。
しかし無視をして俺は健二と一緒に草原を走って逃げていった。
するとその先には異世界の村が存在した。
「ああ、凄いなあ、これが本物の異世界の村だ!」
海人は大興奮して、その村の中を走り回る。
「待ってよ海人、早いってば」
健二はヘトヘトになりながら、海人を追ってくる。
村の市場には屋台があり、食べ物を売っている。
「いらっしゃい、安くしとくよ」
この世界の果物だろうか、残念ながらこの世界のマネーは持ち合わせていない。
「あれ?」
海人がポケットを探るとサイフがあり、中には十分な金貨が入っていた。
「おばさん、その果物1つ‥」
といった瞬間だった‥
「ぎゃあぁああああああああっ!!!」
おばさんの顔が軍服の男に銃で撃ち抜かれ、爆発し彼女は息を引き取った。
「おい貴様、何故こんなところにいる、さっさと戻れ!」
海人はあまりにも驚いて、その場から動けなくなっていた。
「なんて酷い事を!このおばさんが何したって言うんだ!違法営業でもしてたってのか?だとしてもいきなり撃つ事はないだろう!」
海人は怒鳴り散らすが、軍服の2人は俺を可哀想な者を見る目になる。
そして、おばさんの遺体を回収し、その場から走り去った。
「なぁ海人、僕もう怖いよ、家に帰ろうよ」
「駄目だ、まずは誰が敵で誰が味方なのか見極めなくちゃな!異世界探検に最も必要なのはまずは敵を見つける事だ、いっそラスボスでも自己紹介してくれればやりやすいんだけど‥来ないかな?」
そのとき、空に突然モニターが現れて、軍服の指揮官みたいな奴が話し始めた。
「諸君、今日も奴らから大切な国民を守ってくれてご苦労、引き続き頼む」
そしてモニターは消滅した、未来の技術だろうか?
「なるほど、あいつがラスボスか」
海人はワクワクしながら歩き始める。
「健二、とりあえず宿屋を探すぞ」
たまに街の中を走り回る軍服に健二は脅えながら、海人は歩く。
途中、宿屋を見付けたが、中に入ると誰もいなかった。
カウンターには料金が書いてあったので、金貨を置いておいた。
そして海人は2階へ上がりベッドで眠りについた。




