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カラフルなグミ☆理香 1

ちょっと現実ではありえない事もあります。そこはスルーして下さい


窓の外はシトシトと雨が降る。




こんな日はたいていやる気が出ない。




縮毛とカラーを繰り返した髪は痛んでいて、毛先は存在価値をうしなっている。




朝二時間かけて施したヘアやメイクも湿気を含んで努力の甲斐もない。




クラスで1番かっこよくて、テレビドラマ出ていそうと女子に騒がれている男の子も、私の席に向かって歩いて来ても視線を寄越すことなく通り過ぎていく。







『やっぱりね、期待なんてしてないけどさ』






心の中でそう呟いて、自分の自己評価の高さに気恥ずかしくなって何も考えたくなくってしまった。




私、山口理香は埼玉県の普通科高校に通っているごく普通の女子高生だ。






容姿普通、性格普通、家族関係普通、きっと非凡という言葉が1番似合わない女だ。






教室の後ろのドアからひょっこり顔を覗かせ、キョロキョロと辺りを見回す超絶美少女が一人。







「理香ちゃん!お昼一緒に食べよう!!」




非凡という言葉は確かに私には似合わない。



だか、私の唯一の非凡といえば幼なじみにつき超絶美少女。




西園寺マリアの事だろう。




「今日マリアね!理香ちゃんのためにアボガドとスモークサーモンのサンドイッチ作ってきたの〜!」




ふわふわの色素の薄い髪の毛、クリクリの瞳、ふくふくとした唇、

ほっそりした体つき…。




おまけに性格よし、趣味はお菓子作りとお料理。特技はピアノとバイオリン。






西園寺というゴージャスな名前に相応しく、父親は西園寺グループという会社の総帥でありマリアは由緒あるお嬢様である。







そんな金持ちお嬢様がなぜ平々凡々の埼玉の県立高校に通っているかというと、私のストーキングをするためである。




理由は遠い昔に遡る。

























































































































































































































































理香、五歳の事である。


幼い私はよく母に連れられて近くの古ぼけた公園で遊んでいた。



一人っ子という事で私は未だに人見知りをする質なのだが、母によれば小さいことは今以上に酷かったらしく、公園デビューから五歳まで一人ブランコでぶらぶらと揺れ、もくもくと孤独に遊んでいたそうだ。









今でもディテールだけ残る、曖昧な記憶のなかでマリアとの出会いは朧げでは有るが覚えている。



確か私は砂場で黙々と山を築いていた。



遠くの方ではめでたく公園デビューを果たし、仲良く談笑を続ける母親とその子供達が多少ギスギスしつつも遊んでいる。


何を考えるでも無く私はただただ山を築いていた。


『うぇーーーん』



唐突に子供の泣き声が聞こえて私は視線を手元から音の主へと移す。



フワフワの茶色の髪の毛、子供ながらに華奢な体つき、西洋の人形を想わせるその少女は何か不安な事でもあったのか、ただただ声を上げて泣いている。



品のよいマリアは質の良さそうなシャツに渋茶の短パンにサスペンダーつけた一昔前のフランスの小さな貴公子を思わせる格好をしていた。



オロオロとし始める母親達を尻目に私はマリアに近づく。

人見知りする私が何故マリアには気を許し、慰めようとしたのかは、私の短い人生経験の中で最大のミステリーである。



「お腹痛いの?」


私がマリアに言葉を発した初めてのものだ。


今でも私は何故マリアの腹の調子を伺った理由を見出だす事は出来ずにいる。




「うっぐずっ違うよ!じぃとはぐれたの!!」


彼女の言うじぃとは今時珍しい執事兼マリアの世話がかりの斎藤さんである。


斎藤さんは当時62歳と高齢ながら西園寺家に仕えていた。



そういうとまた盛大にマリアは泣き始める。


美しい人間とは不思議だ。普通の人間がこんな盛大に泣いていたら子供だって欝陶しいのに、流す涙がダイヤモンドの様に見えてくる。



しばらくその様に見とれて、マリアの鳴咽がおとなしくなったころにまた私は言葉を発した。


「おまわりさんの所に行こう」


困ったら警察。


家の近くに交番があった事もあり、私は幼いころから母の教えを忠実に守っていた。



交番につくと既に連絡を受けた警官が斎藤さんと西園寺家に連絡を入れ、私は大袈裟にもマリアの命の恩人だと感謝されたのだった。


マリアの父、西園寺勇助と母ミリアには御礼と称して色々世話になった。



私と同じく平々凡々の母が御礼をされるたびにしてやったりとニヤニヤしたのは言うまでもない。


西園寺の屋敷に遊びに行く度、私は言いようのない疎外感と劣等感を胸に抱いたが不思議とマリアとの関係は続いた。



出会いから数年経ち、友達から幼なじみへど格上げされた頃、マリアの私への執着は異常を垣間見せる様になった。





まず、夕食を食べ終わった頃に電話が来る。


今日何をして、誰といて、どう感じたか。


それをいちいち報告しなくてはならない。


当時インターナショナルスクールに通い、習い事に急がしたかったマリアと毎日会える筈もなく、会わない日は必ずといってこの電話がくる。



電話を無視すると私の機嫌取りにぬいぐるみや洋服などを送ってくるのだ。



始めの方はマリアの可愛いプレゼントに母はニヤニヤとしてあたが、その一つ一つのプレゼントが見た目に反して高価な物だと知ると、お返しに困って私は電話に出なくてはいけなくなった。



でも私はそこまで苦痛ではなかった。たまたま寝てしまったりで電話を無視する事はあったが、昔から友人の少ない私にしてみれば、マリアの行動は普通に思えたからだ。



それから数年経ち、中学に入っても私達の仲良しぶりは健在だった。

マリアの小さい背はぐんぐんと伸び、かわいらしい容姿に似合わずモデル並に背は高くなった。


この背が高いというのは彼女にとって唯一の欠点だと思う。


お互いに忙しくなり会う回数こそ減ったし、泊まりに行く事もなくなったが、相変わらず休日はマリアと遊び、本を読んだりお茶を飲んだりと有意義に過ごしていた。


そんなつかず離れずの中学時代も終盤に差し掛かり、受験であれよあれよと忙しくなる冬に突然マリアに呼び出された。




場所はシックな雰囲気の喫茶店。


アンティークが店内を飾り、暖色のライトが照らすその店に私は不慣れ故か威圧感すら感じていた。



「ごめんね!待った?」

彼女が現れた時にどれほど安心したかわからない。



彼女通うインターナショナルスクールは私服制らしく、ついさっきまで学校にいたと言ったマリアの格好はいつもと比べてとてもラフなシャツとジーパンの上に品の良い色のコートを羽織るだけだった。


そんな決して非凡とは言えない服装もマリアが着るとキラキラして見えた。



私は口の両端を吊り上げ左右に首を振る。


そうするとマリアは目を細めるように笑い出てきたお冷やを一口含むと話し始めた。


「高校はインターナショナルスクールに進学しないで、理香ちゃんと同じ学校にしたいんだ」



あまりに唐突に言われたその言葉に、私は虚をつかれた様に目を丸くする。



「なんで?インターナショナルスクールは楽しいって言ってなかったっけ?」


マリアの通うインターナショナルスクールは国内でも随一の設備であり、通う生徒も皆芸能人や資産家の子供達であり、頭も良いが皆ノビノビと勉学に励んでいる。


そうマリアから聞いていた私は、なぜ小学、中学と仲良くしていた学友と離ればなれになる一般的な県立高校を選ぶのか謎だった。




「理香ちゃんと一緒に勉強したいんだ、親友だから」


困ったように眉を寄せて、まるで許しをこう様に躓きながら話すマリアに私は何も言えなくなった。


あんなに可愛いマリアが私と一緒に学びたいと言っている。


嫌な顔をしたら失礼だ。




「大丈夫だよ。そう言ってくれてありがとう」



笑ってみたがわざとっぽく見えなかっただろうか?



マリアの表情を見てみると、嬉しそうに涙ぐんでいるからそうは見えなかったんだろう。



よかった。マリアは絶対私の言動で機嫌が悪くなったり、怒ったりはしないけど、すごく落ち込むから……







「そう言ってくれてありがとう。実はママとパパには反対されてるんだけど、理香ちゃんがそう言ってくれて良かった」






両親に割と従順なマリアが意見に抗うのは少し驚いた。





「そっか」



そう言ったきり私は何を話せば言いかわからなくなってしまった………












































































そして現在、私はマリアの異常なまでのストーキングに悩まされている。




「理香ちゃん!!一緒に帰ろう!!」



フワフワの髪の毛を揺らしながら、彼女は私に近づいてくる。



「うん」




ぶっきらぼうだと思われるだろうが、私は結構疲れているのだ。




「今日の授業なにやったの?」




「世界史Aで人類の歴史みたいなのやった」



「隣の男子とか話さなかったよね??せっかく親友の私がいるんだから、誰とも仲良くしちゃダメだよ??特に男の子とは絶対話しちゃダメなんだからね!!分かった??」






ストーキング??


いや違う



これは束縛だ、友人間ではありえないくらいの……







「うん」



それに言い返せない私が恨めしい。



でも言い方はキツイがマリアのウルウルした瞳には抗えないのだ。






「よかった!!理香ちゃん大好き!!」



そういって私の手に手を絡ませてニッコリ笑う彼女に私は内心嬉しくもあった。



読んで下さってありがとうございます☆またのご閲覧お待ちしております☆☆

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